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パン  作者: 山桜 笛
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 川西工房についていつものように中に入る。

「あら、今日も来たのね。」

いつものおばあちゃんが顔をだす。川西工房にはあまりお客が来ないらしく、俺が来るときは大体奥にいる。

以前、伊藤にココのパン場美味しいから一緒に今度行かないかと誘おうとしたことがあるが、伊藤に教えたことによって他の人にもこの店のことが知れ渡るかもしれないと思うとなんだか俺の秘密の場所がなくなってしまうような気がしてやめた。でも、たまにおばあちゃんが暇そうにしているのを見るとやっぱり紹介したほうが良かったのかもしれないと思ったりする。

 今日はコロッケパンを買った帰ってから食べても良いのだけれど家では落ち着いてたべれないので大体はここで食べる。

 店の片隅にある椅子に腰をかけているとおばあちゃんが話しかけてきた。

「今日は学校で何をしてきたんだい。」

 いつも来るたびにおばあちゃんは同じ質問をする。

「んー、今日はもうすぐある文化祭の準備とかかな。」

「おー文化祭はもうすぐなのかい?」

「はい。あと一週間です。」

「そうかい。それまでは色々大変だと思うけど当日は楽しいと思うから思いっきりたのしんできなさいね。」

「はい。ありがとうございます。」

「文化祭では何をやるんだい?」

「綿菓子屋ですかね。」

「あら、いいじゃない。」

おばあちゃんはにこりと笑った。

「コロッケパンなんか久しぶりにたべたなー、美味しいですね。」

「ありがとう。嬉しいわ」

そう言っておばあちゃんは僕の顔をじっくり見つめてくる。

「ん?何か顔に付いてますか?」

「あ、ごめんね。何も付いてないわ。ただあきちゃんに話したいことがあってね・・・。」

珍しく顔を曇らせるおばあちゃん。

「え、なんですか聞きますよ。」

「あのね。実は、私もう少ししたらここを閉めようと思っているの。」

「え!?」

「それでねここをあきちゃんに継いでもらいたいの。」

「え!?」

「ごめんね。急に変な話しちゃって急ぎの話じゃないから少し考えておいて欲しい。」

「はー考えておきます。」

俺は話を理解できていないまま店をでた。



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