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パン  作者: 山桜 笛
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2

俺は特に音楽が好きとうわけではないが、いつかの日、電車で隣に座った女性がイヤホンをしていて、なんかすごい格好良かったから次の駅で降りてその女性がしていた色と同じ黒いイヤホンを買った。それ以来音楽を再生してない時でも基本的にイヤホンをしている。だって格好いいから。

 だか、今日はしっかり再生ボタンをおしてイヤホンからは近くの図書館で適当に借りた洋楽が流れている。俺は日本のアーティストよりも外国のアーティストの方がすきだ。だって英語の方が格好いいから。

 

 アーティスト名もあやふやな歌に身を揺らせながら俺は家の前についた。

 バッグから鍵を出してドアを開け家の中へ入る。

 入った瞬間気持ち悪くなる甘い臭いがした。玄関に置いてある玄関用の消臭剤だ。俺が学校へ行っている間に新しいのを母さんさんが買ってきたのだろう。そういえば昨晩、母さんが「あら もうなくなっちゃのね、じゃあ、明日買いに行こうかしらあのいつもCMやってるのがいいかしらねぇ」と言っていたのを思い出す。中原家の玄関にはつねに消臭剤がおいてありいつも気持ち悪いにおいがするのだが今回のはとくに甘ったるくて吐き気がする。どうして母親という物はこんな趣味の悪い香りをを好むのだろう。不思議だ。俺には理解ができない。

 靴を脱ぎ家のなかに入り、リビングを覗くとテレビを見ながらポテチをばりばりと食っている母さんの後ろ姿が見えた。いつも「太るぞ」と言っているのに全然言うことをきかない。俺に気づいた母さんは振り返り、

「おかえり、今日こそは勉強しなさいよ。明日テストなんでしょ。」

「わかったよ。 はい、はい」

「もう、あんたが勉強してくれないと家の空気も悪くなるのよ。おかげで父さんは毎日ストレスでお酒飲んでくるし私はもう気疲れがすごくて―――。」

 母さんの口から大きなため息がこぼれた。

「父さんが酒を飲んで帰ってくるなんて俺が小さい頃からずっとのことじゃん。それは俺のせいじゃない。なんでも自分の息子のせいにしたり、人に八つ当たりするのはよくないよ。そのくせやめなよ。」

 俺はそれだけ言って階段を上って自分の部屋に向かおうとした。

「もう!何よ。なんで、あんな子に育っちゃったのよ!私のせいじゃないわ!私はあんな子に育てた覚えはないわ!!」

 母さんが叫んでいる声が聞こえたが俺は構わず階段を上った。こんなねじ曲がった性格になった原因はお前と父さんのせいだろ。

 イライラしていたから自分の部屋に入りわざと大きな音を立ててドアを閉めた。


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