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折れた翼

作者: 如月 飄薫

〈〜infant〜〉



幼き日々の愚かな夢追い


何のチカラも持たず


何の想いも宿さず



ただひたすらに


上へ上へと…


前へ前へと…



ただただ

進み飛び続けることしかしなかった日々




いつかその翼が折れるとも知らず‥



いつか

絶望という名の大地にひれ伏すとも知らず‥




空は

愚かな者を抱いて

青と咲く…







〈〜despair〜〉


もう飛べない


だって

僕の翼は

もう折れてしまったから


夢は奪われ…


希望は朽ち果て…


守るべき大切なモノすら失った…


もういい…


もう疲れた…


早く終わってしまえ


何もかも…


すべて消えてしまえ



折れた翼は静かに

その身を骸と化す…







〈〜hope〜〉



なんだろう


すべて失ったはずなのに


未だこの胸に残る


この暖かさはなんだろう


まだ生きたいと云うのか?


すべて失った俺が?

またいつか飛べるんだろうか?



何かが残る限り

命は再び翼を広げる







〈〜again〜〉



翼が欲しい



どこまでもどこまでも‥


時翔る天翔る翼…



一度は自分の手で

へし折ったはずの翼

だのに

何故今になって


どうして

今再びその翼を求めるのだろう




また飛びたいのだろうか



夢を‥未来を…


ただひたすらに

己が先を信じる事のできた


あの頃のように…




いや違うな


「あの頃」のようにではない



かつて

翼を捨て去ることで知ることのできた

薄氷の道


その道を歩んで得ることのできた

「己が確かなモノ」




それを抱いて‥


僕は新たに飛びたい




大切な空を


大切なモノを抱いて


大切な未来へ…







〈〜brilliant wing〜〉



がむしゃらに『何か』を求め飛び続けた日々



翼を失い絶望という『世界』に身をおいた日々



闇の中に『光』を見つけ立ち上がろうとした日々



『夢』を見つけるために薄氷を歩んだ日々




そして今


『何か』を見つけ

『大切なモノ』を抱く僕



もう迷いは無い



己が『翼』で


己の信ずる『空』を


己が見つめる『未来』へと




翼は永遠の輝き放ち

羽ばたき行く…

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