表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
双子の魔導師・ルリ&リル編
8/30

1.悪魔の逆位置



《Stand_By──》

《The_Player_Name:■■■■/■■■■──》

《The_Distinction_Of_Sex:■■■/■■■──》

《An_Occupation:■■■■/■■■■──》

《A_Decision_An_Individual_Information──》

《──Starting》



──────────



────────



──────



────



────???



「っ、あああ〜……」



 町の道具屋から出てきてユウヤは伸びをする。

 サクヤと別れてから5日が経過していた。

 そしてついさっき、ユウヤの用は終わったのだ。



「まさか『アステア』まで来るはめになるとはな……」



 ユウヤはぐるりと町を見回し、呟く。

 見ればユウヤ以外に冒険者は数えるほどしかいない。

 〝アステア〟、この町は特に目立つ建物もないため、あまり冒険者は立ち寄らないのだ。



「ま、これが手に入ったから良しとするか」



 言いながらユウヤは紙の束を取り出す。

 紙の1枚1枚には0〜21の英数字と様々なイラストが描かれていた。

 所謂、『タロットカード』である。



「さっそく使ってみるか。タロット、スタート」



 ユウヤが言うなりタロットカードは空中に展開されていき、シャッフルされていった。

 当然ながら、カードの反対側からも絵柄は見えないようになっており、どのカードが選ばれるのかは誰にも分からない。

 カードはユウヤの周囲を囲うように回り、やがて2枚のカードが選出された。



「っと、まずは近い未来を示すのはNo.(ナンバー)XV(15)悪魔ザ・デビルの逆位置か」



 選出された2枚のカードの内の片方が明らかになりユウヤは呟く。

 悪魔のタロットカードの逆位置。

 そしてその意味は……



「回復、覚醒、新たな出会い……だな」



 示された近い未来にユウヤは首をかしげる。

 どれも思い当たる節がないからだ。

 そして2枚目のカード──未来に関係するものを示すカードが明らかになる。



「……対象を示すのはNo.I(1)魔術師ザ・マジシャンの正位置か」



 明らかになった2枚目のカードを見て、ユウヤは一先ず息を吐く。

 何故なら魔術師の正位置の意味は……



「物事の始まり・起源、可能性、エネルギー、才能、チャンス、感覚、創造。……少なくとも悪い意味じゃないな」



 2枚のカードが示す近い未来にユウヤは少しだけ安堵する。

 何故ユウヤがタロットカードの意味について詳しいのかと言うと、興味本意でタロットカードについて調べて気に入ったからなのだ。

 ちなみに、ユウヤの気に入っているカードはNo.X(10)ホイール・オブ・フォーチュンだったりする。



「2枚から推測できるのは才能や可能性の覚醒、もしくは物語の始まりとチャンスとの新たな出会い、ってところかな」



 予想を呟きながらユウヤはタロットカードをしまう。

 そしてユウヤは歩き出そうと第一歩を踏み出し……


──バッ……ザザザザッ!


 ……素早く後ろに飛び退いた。


──ドドドドドンッッ!


 直後、ユウヤが立っていた場所に無数の球体が飛来する。



「クスクス、避けられちゃったね。リル」

「ふん、僕に関係はないよ。ルリ」



 ユウヤが周囲を警戒しながら見渡すと2人の子供が現れた。

 片や、白のローブに蛇がうねった杖を持ったややたれ目の子供──ルリ。

 片や、黒のローブに同じく蛇がうねった杖を持ったやや鋭い目の子供──リル。

 髪や眼の色は違っていても2人の外見がそっくりなことから双子だと言うことが伺える。



「『魔導師』か。なんのつもりだ」

「えっとねぇ、私たち貴方に用があるんだよ。〝刻死の劫爪〟さん♪」

「さっきのは挨拶代わり。あの程度でやられるなら必要ない」



 警戒を怠らずにユウヤが尋ねるとルリは楽しそうに、リルは興味なさ気に答えた。



「『フレア』」

「なっ?!」



 唐突にリルが炎でできた蛇を生み出す。

 目の前でいきなり攻撃動作に入られてユウヤは驚き、ルリは苦笑した。



「これくらいは防げるよね?」

「食らえ」

「くっ……」



 ルリは小首をかしげながら笑い、ユウヤに炎蛇が迫る。

 それをユウヤは歯噛みしながら横に跳んで回避した。

 しかし、それだけで〝魔導師〟の攻撃が終わるはずがなく、リルが杖を振るうと炎蛇は向きを変え、再びユウヤに迫っていった。



「アイテム。右腕うわん装備『クリスタルセイバー』、左腕さわん装備『武星刀むしょうとう夜万斗やまと』」



 迫り来る炎蛇を見ながらユウヤは素早くウインドウを呼び出し操作していく。

 すると、ユウヤの右手には刀身が水晶のような素材で造られた西洋剣が、左手には刀身に星空のような波紋がある日本刀が現れた。

 クリスタルセイバーと武星刀・夜万斗、どちらもユウヤがダンジョンを探索しているときに見つけた武器である。

 どちらも〝付与能力アビリティ〟が付いてはいるのだが、〝剣士〟ではないユウヤにとって意味がないのが残念なところか。

 そして、何故ユウヤがクリスタルセイバーと武星刀・夜万斗を取り出したのかと言うと、〝フレア〟が触れるだけでダメージを与えるタイプの〝魔法スペル〟だからである。



「っせい!」



──シュキィィイイインッ……


 短い掛け声とともにユウヤは2本の刀剣を交差させ、すれ違いざまに炎蛇を斬り裂く。

 斬り裂かれた炎蛇は細かい火の粉となって消えていった。

 その様にルリは拍手をし、リルは僅かに眉をしかめる。



「すごいすご〜い♪ これなら大丈夫じゃない?」

「……そうだね」



 跳び跳ねながらルリが尋ねるとリルは間を空けながらも頷く。

 そんな2人の様子にユウヤは顔をしかめるのだった。











・アステア

〝Vivid World〟にある町の1つ。

特に目立つ建物もなくあまり冒険者は立ち寄らない。

ただし、物語の進行に関係はないが貴重なアイテムがある。



・魔導師

〝Vivid World〟での職業の1つ。

文字通り〝魔法〟を扱う職業。

魔力は高いが他のステータスがかなり低い。

〝魔法〟の発動ができればどの距離だろうと戦うことができるのが特徴。

〝魔導師〟の想像力が高ければ自在に〝魔法〟を操ることもできる。



・フレア

〝魔導師〟の中級〝魔法〟。

炎を操って相手にぶつける。

触れるだけで相手にダメージを与える。

発動者の想像力によって形状を変化させることが可能。



・クリスタルセイバー

刀身が水晶のような素材の西洋剣。

付与能力名・〝ラピッドセイバー〟



武星刀むしょうとう夜万斗やまと

刀身に星空のような波紋がある日本刀。

付与能力名・〝斬空星閃ざんくうしょうせん










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ