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Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
鎌斬士の少女・サクヤ編
6/30

5.救命呼声



──ガシャガシャガシャガシャガシャガシャッッ!!


 やかましい音をたてながらヘビィ・キーパーの身体は崩れていく。

 その光景をサクヤはポカンとした表情で見ていた。


─Player_Level_Up!─


 不意にファンファーレとともにサクヤとユウヤの目の前に文字が現れる。

 どうやらヘビィ・キーパーを倒したことによってLVが上がったらしい。


─Player_Level_Up!─


─Player_Level_Up!─


─Player_Level_Up!─


─Player_Level_Up!─


 ユウヤの目の前に現れた文字はすぐに消えたが、サクヤの前には何度も文字が現れ、ファンファーレが鳴り響いた。

 ヘビィ・キーパーの経験値は確かに高いのだが、理由としてはサクヤのLVが4だったこともある。

 最終的に、サクヤのLVは43まで上がることになった。

 何度も何度もファンファーレが鳴り、最後のファンファーレがなったとき、サクヤの表情には疲れが見えていたが些細なことである。


─Occupation_Level_Up!─


 直後、先程とは少し違うファンファーレが鳴り響き、2人の前に再び文字が現れた。

 文字が表すのは2人の職業LVが上がったと言うこと。

 そしてユウヤの前に現れた文字は先程と同じようにすぐに消える。

 しかし……


─Occupation_Level_Up!─


─Occupation_Level_Up!─


─Occupation_Level_Up!─


─Occupation_Level_Up!─


 やはり先程と同じようにサクヤの前には何度も文字が現れ、ファンファーレが鳴り響くことになった。

 サクヤにとって幸いだったのは10回ほどファンファーレが鳴って終了したことか。

 むしろ一撃だけでここまで上がる方が難しいのだが、それは先程のLVと同じ理由である。

 ちなみに、ファンファーレが鳴り響いている間、サクヤは軽く泣きそうになっていた。



「LVが上がって良かったな」

「むしろあんなモンスターを相手にして上がらなかったら泣きます」

「上がっても泣きそうだが」



 疲れたように答えるサクヤにユウヤは目元を指差しながら言う。

 そんなユウヤの言葉にサクヤは顔を赤らめ羞恥に耐えていた。

 するとサクヤは思い出したように顔をあげユウヤの方を見る。



「約束です。さっきの龍の腕について教えてください」

「その前に技の確認をしておけ。職業LVが結構上がっているんだから」



 ユウヤの腕を指差しながらサクヤは言った。

 それに対してユウヤは空中にウィンドウを呼び出しながら答える。

 どうやら新しい技はなかったようでユウヤはすぐにウィンドウを閉じた。



「あ、新しく〝技能スキル〟と〝武技アーツ〟が増えてます」

「そうか。後でどんな技か確認しておけよ? さて、俺の技だったか……」



 ウィンドウを見て嬉しそうにするサクヤにユウヤは答える。

 そしてユウヤは自分の腕を見た。



「ん……まぁ、知ってるとは思うがこの世界には〝技能〟〝武技〟〝魔法スペル〟『創技オリジナル』の4つがあるな?」

「はい。〝技能〟は職業を変えてもなくならなくて、〝武技〟は物理系の技、〝魔法〟は物理系以外の技、〝創技〟は職業LVが20上がる毎に1つ創れるようになる技ですよね?」

「そうだ。で、俺の龍の腕は〝創技〟に当てはまる」



 サクヤの答えにユウヤは満足そうに頷きながら答える。

 ユウヤの言葉にサクヤの表情は驚きに変わった。



「え、〝創技〟は数々の冒険者たちが使いにくいと評価したものでは?!」

「そうだな。まぁ、俺もそう思っていたさ。だが、アイツに会ってその考えが変わった」



 言いながらユウヤは拳を握りしめる。

 まるで、自身の力を確認するかのように。



「ま、『迅龍爪滅牙しんりゅうそうめつが』は攻撃力と攻撃範囲を強化するだけだがな」



 パッと握りしめていた手を開き、あっけらかんとユウヤは言うのだった。



「以外と単純な効果なんですね?」

「まぁな。だが、単純だからこそ強い。さて、いつまでもここにいる必要はないな。ヘビィ・キーパーの戦闘報酬もいくつか売らねえと……」



 そう言いながらユウヤは歩き出す。

 そしてそれを追うようにサクヤも歩き出した。



   ‡   †   ‡



────ガレリア



「んじゃ、ここで俺はおさらばだな」

「え、何でですか?」



 ユウヤの言葉にサクヤは首を傾げながら尋ねる。

 それに対してユウヤは呆れたようにサクヤを見た。



「いいか? 俺がお前を助けられたのは俺がガレリア(ここ)に用があったからだ。そしてあと一ヶ所で用も終わる」

「つまり、ここよりも上位の町に行くと?」

「そうだ」



 そう言ってユウヤはサクヤに背を向けた。

 と、不意にサクヤは思い出す。



「あの、この防具は……」

「ん、ああ。使わないからやる。一応その防具には『救命呼声エマージェント』っつー『付与能力アビリティ』が付いているから」

「〝救命呼声〟? 〝付与能力〟?」

「分からなくていいさ。発動しないことが望ましいからな」



 そう言ってユウヤは歩き去っていった。

 そんなユウヤをサクヤは頭を下げつつ見送る。

 そして、ユウヤの姿が見えなくなりサクヤもこの(Vivid_)世界(World)からログアウトしたのだった。







鎌斬士の少女・サクヤ編-Fin





創技オリジナル

〝Vivid World〟にて設定されている〝能力〟の他にプレイヤー自身が創った技の総称。

〝習熟LV〟を特定のLVにまで上げた者のみ技を創ることができ、創った本人からのみ教わることができる。

〝創技〟は〝習熟LV〟を20上げる毎に1つ創ることができる。

使いにくいとされており、使用者は少ない。



迅龍爪滅牙しんりゅうそうめつが

ユウヤが創った〝格闘士〟の〝創技〟。

5分間発動者の両腕を包むように巨大な龍の腕を創り出す。

攻撃力と攻撃範囲を強化する。

龍の腕は発動者の腕の動きと連動する。



救命呼声エマージェント

この〝付与能力〟の付いたアイテムを破壊すると特定の人物か、周囲にいる呼び掛けに答えてくれた冒険者を近くに呼び出すことができる。



付与能力アビリティ

武器や防具についている能力の総称。

装備者のステータスを上げるものや属性を付与するもの、相手をバッドステータスにするものなど種類は様々。







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