プロローグ
────???
──ゴシャァァアアアンッ!!
どことも知れぬ平原。
その場に不釣り合いな音が響き渡り、その後に何か大きな物が倒れる音がする。
見れば平原の一角にて砂煙がまき起こっていた。
──ザッザッザッ……
直後、砂煙の中から足音が起こる。
砂煙の中から現れた人影は2つ。
1人は笑いながら、もう1人は呆れた様にしながら会話をしていた。
「いやはや、やっぱりあれくらいじゃなきゃ遊びにもならないわね」
「あの敵で遊ぶって……」
右手をひらひらとさせながら言う女性に男性は呆れながら答える。
砂煙が晴れると2人の背後には巨大なドラゴンが倒れ伏していた。
どうやらこのドラゴンはこの女性が1人で戦って倒したものらしい。
「なに言ってるのよ。ユウだって〝あれ〟さえ使えば余裕じゃない」
「いや、〝あれ〟を使った時点で俺は遊んでいることにはならない。それに、俺はあまり〝あれ〟を使うつもりはない」
女性の言葉に男性は首を横に振りながら力強く宣言した。
〝あれ〟と言う物が如何様な物かは不明だが、男性の口調からして忌み嫌っていることが窺える。
「そっか……。ユウがそう言うなら私はなにも言わない。ただ私の持てる全てをユウに教えるだけよ」
「ありがとう、師匠」
女性は少しばかり寂しげな表情を浮かべるもすぐに表情を切り替え構える。
それに対して男性は頭を下げ、同じように構える。
瞬間、2人の姿が交錯しぶつかり合う音が辺りに響き渡るのだった。