第2章・4節:ギルドでの再会
夕方、学園の厨房をガルドさんに任せてギルドを訪れた。
ギルド本部は相変わらず賑やかで、冒険者たちの笑い声が響いている。
「リアムさん!」
カウンターの奥で、さっき食堂に来たユースが手を振った。
「ちょうど良かったッス!北部支部から新しい報告が届きました!」
「報告?」
「氷晶山脈の調査班が“霧の塔”を確認したって!で、その塔の上部から“鐘の音”を聞いたそうです!」
「塔の上から……?」
「しかも、音が聞こえた後、周囲の魔力が急激に減衰したって。
まるで、魔力が霧に吸い込まれるみたいに」
霧が魔力を吸い取る——リーナが言っていた患者たちの症状と同じだ。
「で、その霧の中で支部長が発見したっていうんですよ」
「何を?」
ユースが小声で答えた。
「古びた石碑です。そこにはこう刻まれてたそうです——
“霧鐘の響きが導く、眠れる魔導の鍵”」
霧鐘の響き、眠れる鍵……これは古代魔導施設か?
「石碑は写真写本で転送されたんで、記録係が調査中です。ただ——」
「何かあるのか?」
「石碑の台座に刻まれてた“調査者の名”が……エリオット・グレイだったそうです」
「——エリオットが?」
4年前のあの日、霜糖晶の下に何かを見つけていたエリオット。
彼がこの異常の鍵を握っているとしたら——。
「リアムさん、どうします?」
ユースの問いに、俺は迷わず答えた。
「明日、氷晶山脈に向かう」