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第1章・2節:霜糖晶とガルド総料理長の言葉


 昼過ぎ、食堂の片付けがひと段落した頃だった。


「リアム、いるか?」


 現れたのは、総料理長のガルド・ベイスン。

 軍仕込みの逞しい体格と、渋い声が厨房を引き締める。


「ガルドさん、珍しいですね。何かあったんですか?」

「ミレイア先生から、魔法薬学研究室の連中が疲れ切ってるって相談があってな」

「なるほど。甘いもので元気づけてやりたいってやつですね」

「その通りだ。で、お前に任せたい」

「了解です」


 俺はクラリスと相談し、魔力回復効果のある〈霜糖晶パルフェ〉を作ることにした。


「クラリス、霜糖晶は倉庫に残ってる?」

「えっと……あれ?最後の一袋です」


「最後?あんなに買い置きしてあったのに」


 霜糖晶は氷晶山脈で採取される天然砂糖で、魔力疲労に効く。しかし、最近市場での供給が減っているとは聞いていた。


「実はな——」と、ガルドが口を開いた。

「霜糖晶が産地の氷晶山脈で原因不明の“魔力枯渇”が起きてるらしい」

「魔力枯渇?」

「ああ。霜糖晶だけじゃない。魔法植物が次々に枯れてるって話だ。軍時代にあの山脈に行ったが、あの場所が枯れるなんて考えられん」

「ガルドさん、軍時代に北部に?」

「北部特別任務部隊だ。詳しいことは話せんが、霜糖晶がらみで妙な噂があった」


 魔力が枯れる山、希少になった霜糖晶、ガルドの過去——何かがつながっている気がした。


「ま、今は甘いもんで研究室を支えてやれ。後の調査は学園の魔導生態調査班がやるらしい」

「了解です。霜糖晶パルフェ、全力で作りますよ」


 俺はそう言い、最後の霜糖晶を丁寧に削り始めた。

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