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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「皇帝夫妻に会うなんて緊張する」―聖なる乙女と聖獣④―

「はぁ……」




 その日、伯爵家の庶子であるマリアナは大きなため息を吐いた。



 その隣には真っ白な毛並みの小さな生物がいる。――その小さな生物が、聖獣と呼ばれる存在だと知った時にはそれはもうマリアナは驚いた。

 ただの小さな犬だと思っていた。


 けれど……、マリアナが危険に陥った時、この聖獣は姿を変え、力を発した。




(私が貴族の令嬢になるだけでもびっくりなのに、皇帝夫妻に謁見しなきゃいけないなんて……。母さん、どうしよう)



 マリアナは元々平民として生きてきたからこそ、自分が貴族の娘になったというだけでも夢のようなことだった。だというのに、今度は聖獣に認められたからと、皇帝夫妻に謁見しなければならない。

 マリアナは皇帝夫妻を社交界デビューしたパーティーで見かけただけである。

 マリアナにとってはずっと上にいるような、手の届かないような皇帝夫妻。




(……お父様は私が聖獣に認められたことに興奮していた。そしてもしかしたら皇帝陛下に見初められるかもしれないなんて夢物語を言っていた。皇帝夫妻が仲睦まじいことなんて元々平民だった私だって知っていることなのに)



 マリアナは引き取られる前から、皇帝夫妻の噂を聞いたことがあった。下町にも、二人の仲睦まじい様子は噂されていた。そもそも元々が『暴君皇帝』と呼ばれ、気に食わない存在を許さないような人と噂されていた。その皇帝が愛妻家と噂され、何も行動しない時点でそれは真実であろう。




(……お父様は私のことを可愛い可愛いと言って、皇帝陛下を落とせるとか馬鹿なこと言っていたけれど、仲が良い夫婦の邪魔をして割り込むなんてそんな真似するわけない)



 マリアナの両親は身分違いの恋をしていたらしい。貴族であった父親と、平民であった母親。元々屋敷の侍女をしていた母親は父親と恋仲になり、妊娠した母親は逃げ出し――、一人でマリアナを産んだ。そして、母親が死んだ後にマリアナは父親に見つけられた。

 ずっと父親はマリアナの母親を探していたらしい。

 そしてそんな父親だからこそ、忘れ形見である可愛い娘を世界で一番可愛いと思っている様子である。






(平民から貴族の令嬢になって、夢を見そうになったこともあるけど……。平民だった頃の友人やその家族にも言われたもの。幾ら貴族になったからってあまり夢を見て暴走したらいけないって。そういう言葉を言われてはっとしたのよね。確かに私は平民から貴族にはなったけれど……、だからって私の人生が全部上手くいくわけではないもの。貴族の令嬢になったし、結婚はしなきゃかなって思うけれど略奪愛は駄目よ。あと不倫も浮気も駄目)




 昔、知り合いのパン屋のお姉さんが旦那を若い女性にとられた話とか、女遊びの激しい大工のお兄さんが結果的に不幸になった話とか……そういう話を下町でマリアナは聞いたことがあった。



 なのでマリアナはお相手のいる相手に近づく気はない。……遊びだと割り切って、結婚していても愛人を囲ったりは貴族社会ではそれなりにあるらしいが、元平民なのでマリアナはそういうのは嫌だと思っている。



「……皇帝夫妻に会うなんて緊張する」




 なるべく位の高い存在にはそもそもマリアナは近づきたくないと思っていた。




 マリアナは自分の見た目が良いことを自覚している。皇妃を溺愛しているという噂の皇帝は問題ないだろうが、家よりも身分が高い男に目をつけられたら……と考えるだけでうんざりする。




(皇帝夫妻に私が無礼な行いをしてしまったら……、家にも迷惑をかけてしまうかもしれない。楽観的なお父様は私が皇帝陛下に気に入られるかもなんて馬鹿なことを考えているけれど、それよりも不興を買って処罰されたら……怖いわね)




 マリアナはそんなことを考えながら、自分の心を落ち着かせるために一心不乱に膝の上の聖獣を撫でる。

 気持ちよさそうに撫でられている聖獣を見ながら、ふと、この子が欲しいと言われたらどうしようかなどと考える。




(……皇帝陛下が噂通りの人ならば、聖獣であろうとも欲するかもしれない。でも神殿にも聖獣は認められたもの以外がどうにかすることは出来ないと言われている。無理やり皇帝陛下がこの子を奪おうとしたら、皇帝陛下だけではなく、この国自体が大変なことになるかもしれない。責任重大だわ……)




 マリアナは『暴君皇帝』のことを遠目に見たことしかなく、噂でしか知らない。皇妃が嫁いできてから丸くなったという噂だが、それでも『暴君皇帝』と呼ばれている存在である。



 マリアナはやっぱり不安だった。

 もしかしたら自分の手にこの国の運命が握られているのかもしれない……なんて大げさなことまで考えてしまう。




(……皇帝夫妻からの呼び出しに答えないわけにはいかない。なんとか乗り切らないと)



 そんな風にマリアナは決意している。



 ちなみに当の皇帝夫妻はというと、




「ヴィー様、マリアナに会う時、このドレス着ようと思うけどどうですー?」

「よく似合ってる」

「折角マリアナに会うからって特注したんですよ。すっごく楽しみです!!」

「よかったな」



 そんな感じでマリアナに会うのを大変楽しみにしていた。

 



マドロールは楽しみすぎてはしゃいでます。

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