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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「私はヴィダディの妻じゃなければ、彼の人間味なんて知ることが出来なかった」―新米皇妃、頑張ります④―

「皇妃様、ごきげんよう」



 今日はパーティーが行われている。先代皇帝の時代では、此処までパーティーが行われていなかった。

 だけれどもヴィダディの代では、その頃よりもパーティーの頻度は多い。それはヴィダディが社交を頑張ろうと思っているからだろう。

 とはいえ、他の国に比べると少ない。



 ランジネットも皇妃として、パーティーによく参加している。祖国に居た頃もパーティーにはよく参加していたけれども、やっぱりその頃とは立場も違うから色々と大変だ。

 こんなにも様々な人達から挨拶をされると、疲れてしまうのも当然だった。



 他国から来ている方も多く、彼女もなんとか対応を出来ている。ヴィダディはこの国では喋られない言語についても問題なく話せていた。正直言語に関しては、ランジネットはまだまだ勉強中だ。

 祖国で必要な範囲でそれらの勉強はしていたけれどもそれだけなのだ。

 まだまだ皇妃として生きて行くには、足りないことが多すぎると彼女は思ってならなかった。




「ごきげんよう」



 基本的にランジネットに対して、好意的な存在の方が多い。皇帝が自分の意思で選んだ皇妃相手によからぬ行動をする者は、あまりいない。

 ただヴィダディは、異性にとてももてる。あの『暴君皇帝』の息子であり、美しい。皇帝としてはとても有能である。



 そんな存在と一度でいいからお近づきになりたいと、そう思っている者はいる。

 皇妃になりたいわけではなく、一夜だけでもいいからお手付きにされたいなどと夢見ている者もいたりするようだ。それだけ帝国の皇帝に手を出されたという事実だけでも価値はあるということなのだろう。

 あとはランジネットという帝国の属国、それも小国の公爵令嬢でしかない少女が皇妃の座についたことに対して思う所がある者も居る。ランジネットに皇妃が務まるのならば、自分でも皇妃になれるのでは――という淡い期待を抱いている令嬢もいるだろう。




(ヴィダディは皇帝で、色んな人に囲まれている存在。だからこそ、こうして女性陣が近づいてくるのは仕方がないことではある。パーティーだと特にその傾向は顕著ね。とはいえ、思ったよりは数が少ないけれど……)



 社交界に参加すると、夫となったヴィダディの人気ぶりが伺える。ヴィダディは近づきがたいイメージを周りから持たれており、あの『暴君皇帝』と呼ばれた先代皇帝の息子である。

 それも相まって、想像よりは夫を囲う人々は少なく、ランジネットは驚いた。

 ヴィダディは全て華麗に躱していた。

 幾ら着飾った女性陣に囲まれても興味がないといった態度だった。その様子を見ると、ランジネットはほっとした。




(冷たくされてショックを受けている女性陣には申し訳ないけれど、ヴィダディがこうして周りに言い寄られても問題ないといった態度をされると安心する。私にだけは優しいんだなと思うと優越感も感じてしまう……って、こんな感情抱いているのを知られたら、ヴィダディは嫌がるだろうか)




 ランジネットは他の女性と接するヴィダディを見て、安心した。夫が自分以外にはこういう態度なのだと、優越感さえ感じていた。



「相変わらずお兄様は人気者ね。ランジネット、楽しんでいる?」



 そう声をかけてきたのはミドロールである。



 美しい赤色のドレスを見に纏う彼女は、とても美しかった。ただしあまりミドロールに話しかける男性というのは多くない。どちらかというと怯えた様子の者も多かったりする。



「ええ。楽しいわ。ヴィダディはパーティーの場ではああいう感じなのね」

「お兄様はいつもああよ。昔よりも愛想はよくなっているけれどね。お兄様はあまり異性に関心を持たれていなかったけれど、ランジネットという奥さんが出来て、お兄様も人間なんだなって思った層が居るみたいなの」

「人間なんだなって、そう思われてなかったの?」

「お兄様ってお父様に似て、驚くほどに美しいもの。それでいて何もかもそつなくこなすタイプで、人間らしくないとそう思われていたりしたのよ。同じ人間だと思えないみたいに感じる人も多いらしいのよ。私の知り合いの令嬢もそう言っていたわ」

「そうなのね……確かに私も妻にならなければそう思っていたかもしれない」


 ミドロールとランジネットは小さな声で、微笑みながら言葉を交わす。



 皇妃と皇帝の妹が会話を交わす様子は、大変注目を浴びている。どんな会話がなされているのかと興味津々なのだろう。


(私はヴィダディの妻じゃなければ、彼の人間味なんて知ることが出来なかった。情などない人だと思ってしまっていたかも。そうじゃないんだよなぁ。ヴィダディはどれだけ情が薄いように見えても身内には凄く優しい人)



 ランジネットはヴィダディがどれだけ身内には優しいか、情が厚いか。

 それをランジネットは知っている。


(妻である私にだけ見せる姿と、家族であるミドロール達に見せる姿。それは凄く人間味に溢れている。だけど、こういうパーティーの場では話しかけてくる相手への対応は全て同じなんだな)



 ランジネットはちらっと参列者たちへの対応を進めるヴィダディを見て思った。


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