表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

330/338

「となると私やヴィダディが目指すべきは、別の形の皇帝夫妻を帝国や周辺諸国に広めることよね」―新米皇妃、頑張ります①―

花嫁探し編の後の話です。

「ふぅ……」



 ランジネットは、息を吐く。

 彼女は最近、皇妃になったばかりの明るい茶髪の愛らしい少女である。周りから祝福され、ランジネットは皇妃という立場になった。

 夫になったヴィダディや周りから助けられている。とはいえ、苦難がないわけではない。



(やることは盛りだくさんだから、少しずつ進めないと)



 そんなことを考えながら、書類と向き合うランジネット。

 元々ただの小国の公爵令嬢でしかなかった彼女が、大国である帝国の皇妃なんてものになってしまったのだから、足りない部分はそれなりにある。




(……お城勤めの方々は問題ないけれど)



 お城に勤めている使用人達は、ランジネットに笑顔で接している者達ばかりだ。皇帝であるヴィダディのランジネットを大切にしようという意思はちゃんと彼らに伝わっている。

 とはいえ、外からお城へ訪れた者達はランジネットと前皇妃――マドロールのことを比べる者も居なくはない。もちろん、彼らに悪気があるわけではないことはランジネットにも分かっている。



(あまりにもお義父様とお義母様は有名だった。私だってかなりその逸話を知っているぐらいだもの。それにお義母様はあまりにも多くの人達に慕われていた。……お義父様は『暴君皇帝』と呼ばれるほどに容赦のない方だった。そしてそんなお義父様のことを止められたのはお義母様だけだった……か)



 皇妃になってからというものの、ヴィダディの両親の話は聞くことがあった。

 ヴィダディの口から聞くこともあれば、周りの使用人達から聞くこともある。




 ――偉大なる帝国の皇帝夫妻。

 その印象はあくまでヴィダディの両親に向けられているものであるというのをランジネットは知っている。

 その存在はあまりにも帝国や周辺諸国へ広まり過ぎていた。どれだけ仲睦まじい様子だったのか、どんなことを行ってきたのか。 それをランジネットは幾らでも耳にする。





(ヴィダディはお義父様のことをそれはもう慕っている。知れば知るほど為政者として素晴らしい方だったことは分かる。だからこそ余計にヴィダディも……そんな皇帝の地位を継ぐことに思う所はあるだろう。私もヴィダディのお母様にいつか会う日が楽しみで、だけれどもその素晴らしさを知れば知るほど、少しだけ心配になる)




 ランジネットは前皇帝夫妻とは顔を合わせたことはない。彼らは皇位を譲った後、旅をしているから。そして末っ子の皇女が産まれ、その影響でしばらく帝国に戻ってくる気配はない。

 手紙のやりとりをしているだけでも、マドロールの優しさなどはランジネットにはよく分かる。

 ただその素晴らしさを知ると、自分が本当にやっていけるだろうかという不安が芽生えるのは当たり前だった。

 彼女はそもそも、大国の皇妃になんてやる予定はなかったのだから。





(お義母様も小国から嫁がれたのよね。……私と同じように不安などを感じていらっしゃったのかしら。お義母様が傍に居てくださったら心強かっただろうな)


 皇妃という重圧を感じながら、彼女は生きている。まだその地位に就いたばかりなので、慣れていない面もとても多いのである。




(ただお義母様は外に公務に行かれる時は必ずお義父様と一緒だったのよね。本当に溺愛というのにふさわしい表現だわ。私とお義母様は違う。ヴィダディは私が一人で公務に行くのも許可してくれる。夫婦の在り方が違うのだから、全て一緒にする必要はない。でも比べる人は少なからずいる……)


 そのことは仕方がないとは、ランジネットだって分かっている。



(となると私やヴィダディが目指すべきは、別の形の皇帝夫妻を帝国や周辺諸国に広めることよね。そうしてお義父様やお義母様が帰ってきた時に任せられるって思ってもらえるようになりたい。それにまだ会ったことのない末っ子の皇女様とも仲良くなりたい。帰ってきた彼らが過ごしやすい場所を作らなければ……!)



 ランジネットは張り切っている。



 皇妃になって間もないうちに、周りから皇妃としてはどうなんだと疑問視されないようにならなければいけないから。

 皇妃として受け入れられている状況だからこそ、もっと頑張りたいとそればかりをランジネットは感じてしまっている。

 ただそれで空回りをしてしまうのは望ましくないことはランジネットには分かっていた。

 だから甘いものを食べたりといった息抜きを適度にしながら、皇妃としての公務に望む。




 でも周りからしてみればランジネットは無茶をしているように見えたらしい。



「ねぇ、ランジネット。無理をしてない? 私はあなたに倒れられたらとても悲しいわ」



 ミドロールからある時、声をかけられた。

 ミドロールとランジネットの仲はとても良い方である。ランジネットは帝都での暮らしを沢山サポートしてもらっていた。


 皇帝一家の長女であるロルナールは既に嫁いだ身なので、まだ皇女という立場で城に居るミドロールは社交の場をよく知っていた。



「無理をするつもりはないのだけど……、折角皇妃になったのだからもっと頑張りたいなと思ったの」



 ランジネットはミドロールの言葉にそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ