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15話 時代遅れのオッドアイ

 吹き飛ぶ際に頭や肩、そして太腿(ふともも)などを地面に打ちつけた春夜は、あまりの激痛でのたうち回ると、顔をしわくちゃに歪めながら涙を流した。


「……い、いでえッ!! くそいでえよぉ! 折れた………これ絶対あばら逝ったぞ!?」


 デコを泣かすと豪語しておいて、こんな結果になるとは実に嘆かわしい。


 それにしてもあの一瞬で一体何が起こったのか。


 デコの背丈を揶揄(やゆ)した事で春夜が攻撃を受けるのはまあ容易に想像できるが、問題はその攻撃方法と威力。


 あの時、春夜はデコに投げ飛ばされた事で、彼女との間に10m程の距離が空いていた。


 なのに何故、デコのチビじゃないという主張を否定した瞬間、コンマ1秒も経っていないあの一瞬で、春夜の体は宙を舞ったのか。それも洒落にならない破壊力を乗せて……


 もしや台風がデコの味方をし、冷蔵庫やトラックなどの巨大な物体を春夜の身体まで運んできたのではと考えてはみたが、生憎そこまで強い風は吹いていなければ、それらしい物も辺りには見当たらない。


 ならば考えられる可能性はただ一つ。

 彼女が持つ能力だ。

 外見は人間と何ら変わりはないが、仮にも彼女らは妖怪の娘を語っている。

 だとしたら妖怪が異能を使用する際に必要な妖力を、体の内に秘めていても何もおかしくはない。


 例えば念力……つまりは春夜を対象としたサイコキネシスを使って、彼の体に衝撃を加え容赦なく吹き飛ばしたか……


 その様な思考を巡らせる春夜は、東家(あずまや)の方に視線を向けてデコを確認しようとするが、彼女は既にそこには居ない。

 それどころか先程、自分が立っていた場所にデコは移動していたのだ。


 春夜が悶え苦しんでいる間に場所を変えたか……

 いやしかし、彼女の様な高慢ちきがわざわざ自分の立つ位置を変えるとは考えづらい。

 それに雨具を着用したところで、露出した顔や下腿(かたい)に雨があたっているなら尚更。


 すると無様に倒れ込む春夜に対し、デコは嘲弄(ちょうろう)する。


「──あらあらあら! ちょっと蹴飛ばしただけでそんなに痛がるなんて、随分と大袈裟ねえ! チッ、このオーバーリアクションのクソカス野郎がとっとと死ねェッ!」


 わかりやすく煽ってきたかと思えば突然暴言を吐き捨てるデコは情緒が安定しない。


 しかし彼女の今の発言で能力をだいぶ絞り込む事ができた。

 ──『蹴り飛ばす』

 それは文字通り、物を蹴って飛ばす事を意味する。つまりは春夜の体は念力によって吹き飛ばされたのではなく、デコの足が己の身体に触れて飛ばされた訳なのだが、あの時春夜とデコの間には10m程の距離があった。

 その距離を一気に縮めて蹴りを入れたとなると、デコは空間を瞬時に移動する能力、又は時の流れを止める能力でも持っているのだろうか。


 春夜は敗者を装い、デコが持つ能力について探りを入れてみる事にした。


「つ、強すぎるー。この俺が一瞬でやられてしまうなんて、面目丸潰れだー。デコー、モデル体型のデコさまー。一体どんな能力を隠し持っているんだー」


 恐ろしく不自然な棒読み。

 顔はイケメンでも演技はブサイクすぎる春夜は、役者としての才能は微塵もないとみた。

 故にボコは下顎を落として驚愕している。

 が、単純脳のデコは満更でもない様子で前髪をいじって照れ隠し。恐らく幼児体型には無縁の『モデル体型』ワードが十分に効いたのだろう。


「へ、へえ、とんだゴミ野郎でも見る目は意外とあるのね。でも、私の秘密そんな簡単に教えたくないしなー。どうしてもって言うなら、ちょっとだけ教えてやってもいいけど、その代わり私をもっと褒めなさい! ほら、デイジー◯ドリーみたいに長身でカッコよくて素敵とかさ!」


「チッ、めんどくせーな。おーいボコー! この単純脳の能力って何なんだ?」


 少し(おだ)て上げただけで直ぐに調子に乗るデコは、憧れのハリウッド女優の名を挙げて自身を褒め称えるよう命令するが、やはりチビ猿が良い思いをするのは間違っていると、舌打ちをした春夜はデコを諦め、妹のボコに単刀直入に聞いた。


「……デコの能力は、高速移動と怪力だよ」


「──ちょっとボコォッ!? アンタどっちの味方なのよ!」


 妹の突然の裏切りに大声を上げて目を見開くデコ。

 ボコはケーキの恩がある為、この程度の情報であれば春夜に伝えても問題ないと踏んだのだろう。


 それにしても、デコの能力をこうも簡単に聞き出す事に成功するとは……無駄に頭を悩ませた自分は間抜けではないかと柄にもなく反省する春夜。


如何(いか)にも脳筋って感じの能力だな。まあこんなチビガキが大層な異能持ってる方が異常か」


「私を騙すとはやってくれたわねアンタ。よくも乙女の純情を踏み(にじ)りやがって」


「お前にあるのは純情じゃなく非情だろうが。それにもうお前の能力は判ったんだ。この程度の能力なら俺でも簡単に攻略で────ぬゔはぁッ!」


 デコを攻略できると言おうとした矢先、目にも留まらぬ速さで顔面を踏みつけられる春夜は地面に後頭部を強打する。

 ……だけなら良かったが、彼女はそのまま馬乗りになると春夜の右頬、左頬、そして下顎の順に暴行を開始した。


「攻略される前にお前の意識を落とせば何の問題もないのよ、このクソったれ男が!」


「ちょっ──ぶへっ! まっ、がはぁっ!! はなし、ぼほォっ!」


 せっかく自分の番が回ってきたと思ったら、速攻で潰される春夜は喋る暇すら与えてもらえない。

 激情に委ねてここまで春夜をタコ殴りにするとは、よっぽど彼のことが嫌いになったのだろう……でなければ、男の返り血を浴びて白い歯を剥き出しにする彼女は性格破綻者として認定されてしまう。


 春夜は朦朧(もうろう)とする意識の中、この窮地を何とか脱しようと考えるが、今の彼女の耳にはどんな言葉すらも届かない。

 というより春夜がまず言葉を発する事が出来ない為、絶望しか感じない。

 このままでは一矢報いる前に、デコを泣かす機会そのものを失ってしまう。

 しかし、それは何としてでも避けたい。

 ならば今取れる行動はこれしかないと、春夜は両手を使い、デコの小尻をがっしり掴むと、パンをこねるかの如く刺激を与え始めた。


 これにはデコも動きを止めざるを得ない。


「ちょ!? ああッ、アンタ……何やってんのよ」


 デコはこういったセクハラに耐性がなかったのか顔を真っ赤にして身を震わせる。

 側から見れば小学生相手に猥褻(わいせつ)行為を働く犯罪者なのだが、一応春夜も無慈悲なる暴力を受けている被害者でもある。


 だが、ここで彼女の動きが止まったのは好機。

 この機会(チャンス)をみすみす逃せば、彼は今以上の暴力を振われかねない。


 デコが行動するよりも速く、春夜は咄嗟に東家(あずまや)の方を指さすと、ヒリヒリ痛む口を強引に動かして大きく叫んだ。


「──ぼ、ボコが暴漢に襲われてるぞ!!」


「はぁッ!?」


 勿論、これは春夜の嘘。

 しかしデコはただでさえ騙されやすい性格の上、その嘘の対象が大事な妹ときた。

 デコは春夜の言葉を鵜呑みにし、左後ろにグイッと首を曲げて確認するが、そこにはスンとした顔でこちらを見つめてくるボコの姿が……

 ここで彼女はまた騙されたと気付くのだがもう遅い。

 妹に気を取られ、無意識に力を緩めてしまったデコの体を春夜は勢いよく突き飛ばした。


「妹想いなのは悪くねえ。けど、騙され過ぎだアホ」


 デコが尻餅をついている間に蹌踉(よろ)めきながらも立ち上がる春夜は、まだ心が折れてはいない。

 洒落にならない痛みで体のあちこちが悲鳴をあげているが、春夜の嫌がらせに対する情熱がここで消えるわけがないのだ。


 春夜は濡れた前髪をかきあげると、右の瞳の色を深紅色から群青色へと変色させ、淡い光を放っていた。

 心が(すさ)んだ春夜には似つかわしくない幻想的な瞳に、凸凹姉妹は呆然とした様子で見つめている。


「それが私の能力を攻略する鍵ってやつかしら。はっ、オッドアイっていつの時代よ。今時そんなもんが流行ると思ってんの?」


「流行る流行らないは今関係ねえだろ! この能力(ちから)を使うと勝手に目の色が変わるんだよ! 俺だって好きで変色させてる訳じゃねえ!」


「ふーん、嘘くさ。で、それはどんな能力なのよ」


「……アホか? お前は天性のアホだろ。誰がてめえみたいなお子様に俺の能力を馬鹿正直に開示するか、このチビタレ」


「ぐっ、コイツまた私のことチビィって……おーいボコー! このクソったれ春夜の能力についてパパ何か言ってなかったー?」


「あ、おいっ、てめ!」


 これは要はアレだ……完全に春夜の真似事だ。

 先程、デコの能力をボコ経由で知ったのが(しゃく)(さわ)ったのか、今度は春夜の能力が晒される番だと、デコは妹から情報を貰おうとするが、彼女の期待を裏切る様にボコは首を横に振って『知らない』の一言。


 春夜の日常生活の情報は筒抜け状態にあったが、華火も流石に彼の能力までは教えなかったか。


 するとデコは尻餅をついた状態で、自身の頭より高い位置に右足を上げると、ぬかるんだ地面に対して(かかと)を勢いよく振り落とした。


 春夜の情報を得られなかった事への腹いせで地面に当たったのだろうか……しかし、彼女の狙いがそこでない事は直ぐに判明する。


 デコは自慢の脚力で地面に半径5メートル程のクレーターを作ると、その衝撃に巻き込まれた春夜はバランスを崩して前方に倒れる。


「先手必勝ッ!!」


 デコはこのタイミングを逃さなかった。

 春夜が地面に向かってその身を倒しているこの瞬間……

 つまりは足場を崩され、一時的に動きに制限がかかっている状態()つ、思考も乱されているこの大きな隙を狙って、デコは春夜の顔目掛けて全力で殴りかかった。


 春夜が如何なる能力を持っていたところで、自身の高速移動に体が追いつく筈がないと思うデコ。


 だが、彼女の目論見は物の見事に外れてしまう。


 デコの右の拳が顔に触れる手前で、上体を左に傾けた春夜。

 まるで彼女の攻撃を初めから予測していたかの如く、彼は迫り来る鉄拳を華麗に回避した。


「──お仕置きだ」


 それどころか、デコの両目に右の二本指を向けた春夜は慈悲の心を一切持たずに、力を込めてぶっ刺した。

 なんと、ちびっ子相手に目潰しというカウンター技を繰り出したのだ。


「ぎぃやあああああッ! 目ッ、私の目がァッ!!」


「体は丈夫でも眼球は脆かったみたいだな……にしても、お前の目ん玉硬すぎんだろ! 俺の指折れたんじゃねえか!?」


 ようやくデコが悶え苦しむ番が来て、晴れやかな気持ちになる筈の春夜であったが、鉄板のような硬さを誇る彼女の眼球によって、人差し指と中指が変な方向に曲がってしまった春夜は涙目になる。


「デコの動きを見切るなんて、凄い」


 無闇に真正面から突っ込まなければデコもこんな目に遭うことはなかったのだろうが、それ以上に姉の高速移動に反応できる春夜の能力(ちから)に関心を示すボコ。


「確かにこの目はどんな物でも見通せるから、使い勝手はいいんだが……デコがもっと複雑な動きしとけば、簡単に破られてたぞ。俺自身、そんな速く動けねえからな」


「つまり……デコの考えが浅かった?」


「ああ、もう単調も単調。せっかくの能力をここまで雑に使えるとは、もうある意味才能だな。トップクラスの単純脳だ。それにオッドアイを貶した事も浅はかだしな」


「──何、勝手に私を敗者扱いしてんのよ! 私が目ェ突かれたくらいで、やられる訳ないでしょ!? 何がオッドアイよ! 左右目の色が違って、ああッ気持ち悪い!」


 負傷した両目を限りなく細めて、頑なに負けを認めようとしないデコは実に往生際が悪い。

 たった一度の攻撃でやられたなんて、口が裂けても言えないのだろう。

 しかしプライドが異常に高いデコがそう発言するのは想定の範囲内。

 春夜は半目のデコを尻目に東家の方へ歩を進めると、ベンチに腰を下ろし、隣に座るボコを自身の膝の上に乗せた。


「……春夜、いきなり何」


「ちょっと良いこと思いついてなぁ。協力してくれボコ」


 春夜の良いことは他人にとっての悪いこと。

 それは周知の事実なのだが、ケーキをくれた春夜をボコはえらく気に入っている。

 嫌な予感はするものの、春夜の協力要請を無下に断る事は出来ないボコは軽く頷くと、春夜に協力する姿勢を見せた。

 姉に対する配慮とかはないのだろうか……


「それで、私は何────フゴォッ」


 ボコが手伝ってくれると知るや否や、乙女の鼻穴にある物体を突っ込んだ春夜。

 それはツンと鼻腔を刺激するもので、これまで何度か嗅いだ事のある様な匂い。特にお寿司屋さんで……


 デコは恐る恐る視線を下に向けると、チューブ容器に入れられた大量のすり下ろし山葵……通称『わさびチューブ』が二つの鼻穴を塞いでいる事に気付いた。


「ちょっとアンタ! 私の妹になんて事してんのよ!?」


 妹に突如迫った危機もそうだが、何より年端もいかぬ外見をした少女に相応しくない顔をさせる男に、デコは声を張り上げて威嚇する。


「お前の妹に対する想いは既に確認済みだからな。さあ、選べデコ。素直に負けを認めて、ぬかるんだ地面を泣きながら舐めるか。それとも己のプライドを優先して、妹の鼻にワサビが注入されるのをジッと眺めるか」


「春夜……ほ、本気?」


「ああ、俺はいつだって本気だよボコ。そして一緒に信じようではないか。お前の姉さんが泣きながら地面にしゃぶしゃぶする姿を」


 まさに悪党が提示するような二択をデコに突きつける春夜は爽やかな笑みを浮かべている。

 まさかその人質の対象に自分が入っているとは……不意をつかれたボコは青褪(あおざ)めた表情で狼狽(ろうばい)する。


「ちょっとボコは関係ないでしょ!?」


「華火の娘で、デコの妹。関係ない要素を教えて欲しいな」


「アンタ本当に鬼畜外道ねッ! ボコに懐かれといて、そんな非情な事ができる神経が信じらんない! アンタには人の心がないの!?」


「あははー、それよく言われる。あ、それと言い忘れてたんだが……俺、お前達のこと知らないフリしてたわ」


「「──はっ?」」


 ボコの鼻にわさびチューブが突き刺さったこのタイミングで衝撃的な発言をする春夜。


 彼女たちは一瞬、自分の耳を疑ったが、この男は平気で他者を(あざむ)き、それを(たの)しむ異常性癖者。


 故に、春夜の言う知らないフリ……それは即ち、彼女たちと出会う前から、デコボコの存在を知っていたという事が真実味を帯びてくると、春夜に強い非難を浴びせるデコはともかく、短い間だが楽しい時間を共に過ごした──つもりのボコは失意に陥ってしまう。


「いやあな、華火が近々娘を波高に転校させるって言ってたもんだから、暇さえあれば学校を覗きに行ってたんだよ。勿論、妹の保護者として。したらある日、名前と前髪がおかしい双子が小春のクラスに入ってきたのを知ってだな……初めはウサギの見た目じゃなかったから、関係ない奴が転校して来たのかと思ったんだが、後でアンタらの担任に聞いてみたらデコボコの親はウサギの華火だってな」


「……そう言うって事は、私たちを騙したのは本当なんだ」


「まあ結論言えばそうなるが、全てが全て嘘って訳でもないぞ。ほら、例えば今日会ったのだって偶然だし、ボコを好きになったのだって至って本気だ。それこそボコを見た時はどうイジメ抜いてやろうかと思ったが、気付いたら純真無垢なその心に俺は惹かれていた」


 右手にわさびチューブを持ちながらも、もう片方の手でボコの頭を優しく撫でる春夜は、他者の気持ちを和らげる(すべ)を知っていた。

 春夜に騙された事ですっかり気落ちしていたボコも、神妙(しんみょう)な顔をした彼の言葉に加え、心安らぐ愛撫(あいぶ)を受けるとそっと目を閉じて、そのまま春夜に体を預けた。


「……その言葉、信じていいの」


「ああ、俺は正直者だ」


「パパに嫌がらせする為だけに、私を籠絡しようとした訳じゃない?」


「ああ、ボコは俺の全てだからな」


「全て?」


「ああ、ボコが信じてくれるなら俺は何も求めないし、華火やデコの存在など、もはやどうでもいい。だから俺を信じてくれ」


「…………ん。なら信じる」


 自分を正直者と語っている時点で春夜は既に嘘を吐いている訳だが、色々と混乱している今のボコの頭では、それすらもまともに判断出来ないのであろう。


 ボコの質問にズレた回答をする春夜……これで会話が成り立っていると錯覚している事が何よりの証拠だ。


「──そんな奴の言葉なんか聞いちゃダメよボコッ!!」


 妹が目の前で悪い男に落とされているというのに、ただその光景を見ることしかできないデコはせめて、せめてもと、大声を出してボコの目を何とか覚まさせようとする。

 しかし春夜の手に触れられ安堵するボコには当然その声も届かない。もはやこれは一種の洗脳状態なのではないか……


 すると次の瞬間、春夜の右手に力が込められた。


 彼は何を思ったのか、突然ボコの鼻の中に大量の山葵を容赦なく流し込んだのだ。


「悪いなボコ。苦情は後でいくらでも受け付けてやるから、今は俺の目的の為、せいぜい裏切られる辛さを味わいながら悶絶してくれ」


 ボコの人質としての扱いは一体どこへ行ったのだろうか……


 チューブに入った山葵を丸々、同時に二つの鼻穴に詰め込まれたボコは、身体をビクンビクンと痙攣(けいれん)させて口から泡を吹くと、即座に意識を失った。


 痛みからくる涙か、それとも信じる者に裏切られた哀しみの涙かは知らないが、華火の娘を一人泣かすことに成功した春夜の顔は平然としていた。

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