第九話
そして、次の日の放課後、私は学校に忘れ物をした。
毎回、睡眠による注意散漫が原因だろう。そのため、帰宅中に気ずくことは多々ある。そして、今日は家の鍵を忘れた。我ながらとんでもないものを忘れたことに驚いた私は、すぐさま学校に戻った。走って戻った。空はだんだんと光を失い、雲は太陽に照らされて綺麗なオレンジ色を表していた。夕方の幕開けである。
さて、学校に着いたが校門が閉まっている。よじ登るしかないな。よい、しょ。何とか、校門を通り越すことはできたもののこれは、、、、、服が汚れてしまった。私の制服には、サビの汚い茶色がついてしまった。最悪だ。
だが、まぁ、家に帰って落とせばいいだけだ。さっさと鍵を取りに行こう。学校の生徒玄関を通り、前方にある階段を上がる。そして、自分のクラスの階まで上がりきると、廊下に出て、右の方向に歩いていく。そのまま、歩き続けて自分のクラスの前まで来た。
じゃ、私の家の鍵を取って帰ろう。
そう思い、教室の後ろの扉を開けて入ったのだが、、、、。
「え?。優気くん??。どうしてここに、、、、。」
そこには、転校生がいた。転校生は、教卓の上で座っていたのだ。思いもしなかった状況。どうして転校生がここにいるんだ。
「転校生、お前どうしてk————」
私が言いたいことを言い終わる前に、転校生は大きく強気な声でしゃべり始めた。
「目を瞑って!!。」
そう言いながら、転校生は座っていた教卓を降りてたった。
「は?」
唐突すぎて、訳がわからない。どうして、目を瞑らなきゃならないんだ?。どうして、ここに転校生がまだいる?。転校生は何を言っているんだ?。
「いいから、目を瞑れ!!!!。」
転校生は拳を握り、思いっきり言った。その言葉に体がビリビリときた。こいつが今、発した言葉は今までとは比べものにならないぐらいの重みを感じ取れる。ガチの言葉だ。この言葉に反したら、必ず後悔する。そんな、気がした。私は、すぐさま転校生の言葉を信じ目を瞑った。
そして、数秒経った時、転校生が喋りかけてきた。
「優気くん。目を開けていいよ。」
私はゆっくりと目を開けた。
あ、明るい?。先程いた教室と何一つ変わらなかった。だが、窓から差し込んでくる光は夕方の光ではなくまるで昼間のような白い光だった。ひ、昼になった?。
「転校生、、、。これはどういうことだ、、、。」
転校生を見ると、案外冷静に突っ立っていた。
「こ、これはいろいろとやばいかも、、、。でも、どうして、、、?。」
転校生は、私の話を聞かず1人でブツブツ喋っていた。
「転校生。転校生!。おい!転校生!。」
私は大きな声で喋った。
「とりあえずそれは後回しだ。今を回避しよう。よし!。優気くん!。僕の手を掴んで!。」
「は?。ちょっと待て、本当にどうゆうことなんだ?。どうして、今が昼間の時間帯のようになっているんだ!。」
私はパニックになる。
「そろそろ来ちゃう、、。優気くん、生き残りたいなら僕の手を掴んで。」
なんだよそれ。なんなんだよ、。
「どういことなんだ。説明してから言えよ!。」
「今は、時間が無いんだ。後で説明する。だから、はやく!。あ、後5秒、、、。」
5。
「はぁ、分かった。後で説明しろよ。」
4。
「走って!!。時間が無い。」転校生は机と机の間を通って私の方に走り出した。
3。
「お、おう。」私も走り出し、机と机の間を走った。
2。
「はやく!!。」転校生は、私に手を差し伸べる。
1。
私は、転校生の手を握った。そして、
「優気。少し我慢してね。」
「ん?。」
0。
世界が変わった。私は絶句した。わ、私が見たのはトランプだ。ただのトランプ。普通のサイズのトランプだ。しかしそのトランプは、先程まで立っていたこの床、先程まであった壁、椅子、机、教卓、黒板消し、チョーク、下駄箱。全てをトランプに変わったのだ。壁や床にはぎっしりとトランプが埋めつくしている。もし、本当に普通のトランプだったら、ここの建物は崩れる。
「お、おお、お、お、おい。こ、こ、これは、どういうことなんだ!?」
私がびっくりしている中、転校生は私を抱き上げた。
「優気くん。逃げるよ。」
そう言って転校生は、私を抱き上げたまま窓の方に走り出した。トランプの机や椅子を蹴散らして、トランプが舞う。そして、トランプの窓と壁にジャンプした。ジャンプした体は、トランプの壁にぶつかった。そして、トランプの壁は崩れていく、、、。大きく飛んだジャンプは、ビル3階から落ちていった。
「ちょっ、まっt。」
「よいっしょ!。」
転校生は、私を抱き上げたまま約ビルの3階からジャンプして降りても平然としていた。
そして、私を抱き抱えたまま校門の外まで走って学校から出た。そこで私を下ろした。立った私はすぐさま転校生を見た。
「お前、、、。」
「見て、くずれるよ。」
そう言って、転校生はトランプになった学校を見る。私も学校を見た。すると、トランプは段々と崩れ始めて、さっきまであった学校がただのトランプの小さな山になった。理解不能である。
「もし、優気くんがあのまま入ればトランプに圧死されてたね。」
「こ、怖いこと言うなよ。はぁ。これはどういうことなんだ?。説明してくれ、、、。」
私には理解ができない。目を瞑れって言われて瞑り、開けたらいつの間にか昼になって、学校がトランプで構成されていた。
夢でも見ているのか?。私は、転校生を見た。
「逆に聞きたいよ。なんで、優気くんは僕と一緒に来られたの?。優気くん、本当に君はあそこの人間?」
もう何を言ってるのかも、分からない。
「本当に意味がわからない。あそこってどこのことを言ってるんだよ。私はここにいる人間だ。あそことかそことか関係ないだろ。さて、答えたんだ。次は私の質問に答えt。」
ドゴーン、、、。
なんだ?。ああ、なるほど。校門の外に出られたのはいいものの、他の建物もトランプに変化してしまうそうだ。先程の音の原因は、奥に見える大きなビルがトランプに変化したのだ。それによるトランプの崩れ。ということは、ここには長居は出来ないな。いつ、私たちがいる周りの建物がトランプに変化し倒れてくるか分からない。
「とりあえず、開けたところに行くか。」
「そうだね。」