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第八話

「あぁああぁあぁあ!。」

そう叫んだのは、ゲーム内の私のアバターだった。ボスの攻撃を食らい、地にパタッと倒れる。そして、

[ ゲームオーバー]

と画面が移り、リスポーン地点へ。そして、リスポーン地点には、先輩がいた。

「お疲れ様です、、、、。」

私は、呆気にくれたように言う。

「うん、、、。これで、死んだ回数は15回目、、、。強すぎるよ、、、。」

先輩は、落ち込むように言う。

「もう、そんなにですか、、、。」

「うん。どうする?。応援呼ぶ?。」

「そうですね。呼びましょう。」

私は、そう言って、ポケットからベルを取り出した。

正直、我々がどうこう太刀打ちできる敵ではなかった。バチくそに強い。先輩も私も別に悪い動きではなかった。しかし、単純に敵の攻撃が凄まじく、避けるのに気が取られてしまい、攻撃が全然出来ない。そして、相手のダメージを削れないまま、やられる。2人だけじゃ、無理な相手だった。

私は、ベルを取り出した後、左右に揺らし、鳴らした。

「先輩。応援呼びました。」

「うん。ありがとう。」

先輩のアバターは、目の前で屈伸をした。

そして、数分後。

上からキラキラと水色に輝く粒子がではじめた。その粒子は、段々とアバターを、形成していった。

[ 臨界点突破降臨の舞吹雪 が世界に入りました。]

左下のメール欄に、メールがそう来た。

臨界点突破降臨の舞吹雪、、、。すごいやつが来たな、、。

目の前でアバターが足から頭まで粒子がくっつきあい、生成された。

「優気くん。来たね。」

先輩は、嬉しそうに言う。

「そうですね。」

私は、相槌をうった。

まずは、挨拶だな。

[ こんにちは。]

私は、左下のメール欄にメールを送った。

[ ちくわ。]

すると、私のメールに返信するようにメールが送られた。

ん?。ちくわ?。どういう意味だ?。最近流行っている、ネット語の挨拶の仕方か?。ちくわ?。どう繋がるんだ。挨拶と。いやまて、挨拶かどうかもあやしいな。挨拶ですらないのかもしれない。と言うと、ちくわが食べたいのか?。それとも君たちちくわみたいと言いたいのか?。はたまた、自己紹介?。なんなんだ?。

[ ?。]

私は、はてなマークを送った。

[ ?。]

相手もはてなマークで返した。いや、私がはてななんだよなぁ。

しかし、このままではらちがあかない。相手にとって普通のことだろうと思うことが私にとっては普通じゃないのだ。[ ちくわ]と言われても相手にとって挨拶されたら返すのに当たり前だと思っている。それに対して、私は当たり前じゃない。では、この場合どう会話するのか。

それは、相手の当たり前にあわせることである。

私は、相手にメールを送った

[ ちくわ。]

そう、ちくわをちくわで返すのだ。相手が使ってきている挨拶の返し方はちくわを使う。では、私もちくわで返す。ならば、会話として成立する。

そして、数秒後返信が来る。

[ ちくわ。]

来た。ちくわだ。会話が成立した。完璧だ。きっと世界で初めてだろう、ちくわだけで会話を成立させたのは。

[ じゃあ、敵どこ?。どこに行けばいい?。手伝うよ。]

ってか、ちくわをちくわで返してよかったんだな。まぁ、やっとまともな会話が出来そうだ。

ちなみに、臨界点突破降臨の舞吹雪さんのアバターは左の腰に剣を持っていた。そして、右の腰には杖を持っていた。魔剣士か。結構、魔剣士はMP管理とスタミナ管理と操作が難しくて玄人向けと言われている。すごいな。服装は、黒いマントが首から足まであり、大きなフードを深く被っている。顔はよく見えない。

そして、そのメールを見た先輩は、馬を呼び出して先導していった。臨界点突破降臨の舞吹雪さん、ってか長いな。自分で短く改名しよう。んーー、じゃあ、リトさん(仮)と呼ぼう。

リトさんは、先輩に続くように馬を出して走り出した。私もその後に着いていく。



この人、バチくそ強ぇ。リトさんがいるだけで、私と先輩が凄く戦いやすくなった。基本的に先輩が侍で敵の前衛に行き、相手の攻撃を避けながら攻撃をする。私は、後ろから味方にバフと敵にデバフ。また、たまに魔術で攻撃をする。ここで一番の問題は、ヘイトをかってくれる人がいないことである。侍であるため盾がない。そのため、ずっと避けていては、攻撃するタイミングが少なくなる。また、私もたまに敵の攻撃が来たり、魔術で攻撃は、味方へのバフなどがあるため頻度が低い。これらにより、敵への攻撃が少ないため、長期戦になり、負ける。そのため、リトさんがヘイトをかってくれたのには、すごく助かった。

リトさんは、魔術で自分の防御力や攻撃力、魔術力などを増大する大きなバフをかけ、そして敵のヘイトを自分にかうようにするバフもかけた。それにより、ボスはリトさんのところしか攻撃しなくなった。リトさんは、そのボスを軽々と避け、ヘイトを買い続けた。また、避けた後、ボスの隙を見ては、剣を取り出し呪いのバフをかけ、華麗に切る。呪いは、継続的に敵にダメージを与える、いわば、毒のようなものだ。しかし、毒よりも威力が高く、継続しやすい。

そのような動きをリトさんは、継続的に動き、私と先輩はボスに攻撃を大きく当てやすくなった。

結果、ボスに勝てた。私と先輩も別に弱くはない。攻撃力も十二分にある。だが、ヘイトをかってくれるひとだけがいなかったのだ。

ボスと戦闘後、報酬を貰った。その後、メール欄にメールが来る。

[ お疲れ様ー。君たち、いい火力だすね〜。]

お褒めの言葉を頂いたわ。地味に嬉しい。

[ そちらこそ、巧みにヘイトをかい続けるの凄かったです。]

素直な気持ちを送った。

[ 自分もそう思います!。]

先輩もメールを送った。

[ 褒めてくれて、ありがとう〜。フレンドにならない?。君たち、強いからさ。]

願ってもない話だ。もし、やばいボスに出会ったら、この人を呼ぼう。

[ 分かりました。フレンドになりましょう!。]

[ よろしくお願いします。]

先輩も続くように送った。

[ ちくわ。じゃあ、送っとくねー。それじゃ、またパーティー組もうね。さらば。]

そうメールで送って、リトさんのアバターは、上空へ消えていった。

「行っちゃった。」

「そうですね。それにしても、臨界点突破降臨の舞吹雪さん強かったですよね。」

「そうだよね。強かったよね。凄く、やりやすかったよね。」

「はい。あんな感じで、ヘイトを買ってくれるとこんなにやりやすいとは思いませんでした。」

「だね。じゃあ、そろそろ私も寝ようかな。じゃあね。」

「そうですね。お疲れ様でした、先輩。」

そう言って、ゲームと通話を閉じた。

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