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第六話です。

「おっ!、おかえり。大丈夫か?。」

教室に入ると、先程と変わらず同じ席に座っている笑顔のお調子者が声をかけてきた。

「あ、ああ。まぁ、大丈夫だ、、、。」

私は曖昧に返した。

私も先程居た席に疲れるように座った。前の席にお調子者がいる。

「お疲れのようだなー。今回は、何やらされたんだ?。」

お調子者は、人の不幸を笑うようにニヤニヤして聞いたきた。

「椅子縛りプレイ、、、。」

「うわっ。」

お調子者は、引いた。

「おい、私に引くなよ。引くなら、やんちゃ女にしてくれ。」「お前も大変なやつに絡まれたもんだ。」

お調子者は、可哀想だなという目で私を見ながら言った。

「だけどよ。言っておくが、市川だって、人気が無いわけじゃないんだぜ?。」

「そうなのか?。」

「ああ。そりゃ、一匹狼でみんなと触れ合いたくない感じの雰囲気は出してるが、外見に関しては佐藤と肩を並べる。もし、可愛い感じに走ったら化けるかもしれないんだぞ。」

確かに言われてみれば、やんちゃ女は別に外見は悪い訳では無い。それだけでは無いな。普通に、いい方だ。私自身も、美人な人だと思っている。しかも、スタイルもいい。スルりとした体のラインをよく描けている。やはり転校生と違うところは、美人の種類が違うのだろう。転校生は、可愛い方の美人な人だ。やんちゃ女は、カッコイイ方の美人な人だろう。

あと、転校生よりも胸がデカい。

「確かに、それは一理あるな。」

「だろ?。もし市川がメイドコスプレイとかしてくれたら、俺の人生に悔いはねぇよ。」

「お前の人生、薄っぺらずきるだろ。」

お調子者は、笑った。

「なぁ、優気、今度頼んでみたらどうだ?。」

「は?。本気で言ってるのか?。」

「ああ。市川と絡んでる人なんてお前ぐらいだぞ?。」

お調子者は、真面目に言った。

「いや、私は市川と絡みたくて絡んでる訳じゃない。」

「それは、分かってるんだけどさー。見たいもんは見たいじゃないか、、、。」

お調子者は、残念そうに言う。

「そんなに見たいなら、お前から言えばいいじゃねぇか。」

「いや、殺される。病院送りだわ。知らない天井パート来ちゃうわ。」

お調子者は、笑いながら言った。

「じゃ、諦めることだな。」

私も笑いながら言った。


そして、学校の授業が一通り終わり、帰る時。私は、廊下に出て家に帰ろうとした。みんなもグループになって帰っている。やはり、帰る時もあって騒がしかった。

「なぁ、この後、近くのマッツ寄っていかね。」

「それ、いいね。寄ってこ、寄ってこ。」

「ってか、お前、前貸した漫画返した?。家にないんだけど?。」

「あれ?。まじ?。ごめん、多分持ってるわ。」

男性グループがガヤガヤと階段を降りながら喋っていく。その後ろに続くように女子たちも降りていった。

「今回の小テストどうだったー?。」

「最悪。5点だったわ。マジで終わった。」

「5点ww。」

「笑い事じゃないってーーw。」

楽しそうに帰っていく。

さて、私も帰りますか。私も階段に向かって歩いた。


「おい。」


聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。今日で2回目に聞いた声だ。突き通すような冷たい声は、私の耳をつらぬいた。

私は、後ろを振り向いた。

「やんちゃ女、どうした?。」

私は、普通に聞く。

やんちゃ女は、廊下の真ん中で少しもじもじと恥ずかしそうにしていた。

らしくもない。

「あ、あのな、、、。」

やんちゃ女は、緊張しているように見えた。

「聞きたいことがあってよ、、、。」

やんちゃ女は、私を見ては目を逸らし、見ては逸らして、目を合わせてくれなかった。

「おう。なんだ?。」

「今日の事は、謝るからよ、、、、、だからよ、、、次にやる時俺をいじめるの辞めないでくれ、、、。」

なんだ、まだ気にしてたのか。

「なんだ、そんなことか。私自身、もう気にしてない。大丈夫だ。次やる時も、ちゃんといじめてやるから。安心しろ。」

「だ、だが、、、。」

やんちゃ女は、まだ不安だった。本当に許してくれてるのか?。次もちゃんといじめてくれるのか?。と。

信用されてないようだ。

「そうか。なら、、、」

そう言って、私はやんちゃ女に近づいて行った。一歩一歩近づいていく。

「ゆ、優気?。」

やんちゃ女は、戸惑っていた。あっちそっち目線が泳いでいた。

そして、やんちゃ女の目の前で歩くのをやめて止まった。

「ご、ごめんな、、、。」

やんちゃ女は、改めて申し訳なさそうに言った。

正直言うと、こうやってやんちゃ女が限度を超えていじめてくるのは今回で初めてじゃない。たが、多い訳でも無い。たった数回だ。私もそれぐらいなら許す。しかし、やんちゃ女は、責任感に強い。そのため、簡単には自分を許さないだろう。ならこれしかない。

私は、右腕を大きく上げ、手をパーの形にした。そして、そのまま、思いっきりやんちゃ女の頬を叩いた。

パチンッ。

私は、やんちゃ女に勢いよくビンタした。

「ほら、いじめてやっただろ?。」

やんちゃ女は、驚いた様子だった。

「優気、、、。」

やんちゃ女は、叩かれた頬を触って実感した。

優気がいじめてくれたのだと。

「な?。もう、心配すんな。次もちゃんといじめてやるって。」

「ありがとう。優気。」

やんちゃ女も何かと納得がいったようだった。

これで一件落着だな。

たが、そんなのもつかの間。やんちゃ女は、叩いたあとから少し様子が変になった。

「そ、その、ゆ、優気。はぁ。」

やんちゃ女は、少し興奮するように言う。

「もっと、、はぁ、もっと、、叩いたくれないか?、、。はぁ、はぁ、」

やんちゃ女は、息を荒くしと言う。口元がにやけながら私を見ていた。

「おい。反省したんじゃなかったのか。」

私は呆れるようにいう。

「は、反省はしたんだ。はぁ、だが、優気に叩かれたのでもう、はぁ、もっといじめてほしいと思っちまうんだ。はぁ。こんなの、俺のせいじゃない。はぁ、優気のせいだ。」

やんちゃ女から、今にでも襲いかかってきそうな威圧を感じた。口元は、歪み。目は、血迷っている。頬は赤くなり、興奮している。私は、1歩下がった。

そして、颯爽と廊下を走って階段を降りて、逃げた。

「えっ、」

そうやんちゃ女が、言ったのが聞こえた気がした。

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