30 再会
“不可侵入区域”での特訓にひと段落ついたシリウス一行が次に向かったのはエデン帝国だった。
旅の目的である氷の大地を探す傍ら、2人目の会談相手としてエデンに会うことにした。
人間王である皇帝エデンは、シリウスらにとある仕事を依頼する。
―極東連合国 サン某所―
イルズ・ロスト。言わずと知れた、【禁忌狩り】の実力者だ。
彼は今、政府からとある禁忌について調査依頼を受けている。
最凶の妖族。通称“人喰いの陌鬼”。その憑代の少年の調査。
イルズは、その依頼を受けた直後、何者かに襲われて、意識を失った。
しかし、カンナ・ミツルギという人間の女性に助けられ、彼女と協力関係を組むことになった。
カンナらが調査しているのは、イルズが調査している、陌鬼の憑代となっている少年が所属しているとされる組織。
イルズはその組織の調査で得た情報――少年についての情報を互いに共有することになったのだ。
昼下がり、イルズは街道を歩いていた。
これまでの調査でなんとなく察していた。奴らは思った以上に勘が鋭い。下手にコソコソするよりも堂々と姿を晒していた方が、民衆という第三者の目もあり、むしろ都合が良かった。
だが、明らかに周囲の人々と異なり、冒険者然とした姿は良くも悪くも目立っていた。
故に、見知った人は、彼に声をかけるのである。
「よっ、『隠世』ぶり」
聞き覚えのある飄々とした声に、イルズは顔を上げ、前を見た。
腰あたりまで伸びたクセのある蒼銀髪、大きな獣耳、抜群のプロポーションを誇る身体、足元は質素な革紐のサンダル。再びその顔を見ようと視線を上に向けると、左上腕には鞘に納められた短剣が巻き付けてあった。
「――なんで……ここにいる!?」
思わず疑問が声に出た。時に感情的になるのはイルズの悪癖だ。
【禁忌狩り】、通称【白銀の狩人】。
彼女は、イルズの言葉に眉を顰めた。
「なんで、って……ここに来たから」
「違う。アンタは中央大陸に居たはずだ。それが、こんな短い期間で、なんでサンまで来れるんだ?」
言われると、察したように言った。
「あぁ…………それは、まぁ、企業秘密ってやつだよ」
片目を閉じ、右手の人差し指を口元で立てた。その手の甲には不思議な紋章が刻印されている。
「でも、私が中央大陸にいるって、よく分かったね」
訊かれたイルズは、淡々と答えた。
「ただの推測だ。禁忌識別名:【道化】の発表日時、ソイツに関する、アンタの調査報告日時、それを現在の【道化】の居場所から引き算すれば、大体の場所は分かる」
「フフッ、頭良いね」
「俺ぁ、【禁忌狩り】だぞ? 頭キレてナンボだろ?」
「君の術式は、特にそうだもんね」
数ヶ月前の『隠世』での禁忌討伐、その他の共同任務で、イルズの術式は幾分か【白銀の狩人】に割られている。
「――アンタはただの動体視力と瞬発力と身体能力だけで、俺を抜いてランキング1位だけどな。自覚してるか? 自分のイカれっぷりを」
「当然。【禁忌狩り】は、イカれてナンボでしょ?」
「四十路手前で現役バリバリだもんな。――堂々と言うのも何だが、アンタには世話になってるから、死んでほしく無いんだ」
冒険者。特に、【禁忌狩り】の殉職率は驚異の99パーセント。そして、一人ひとりが【禁忌狩り】になるとともに全ての経歴を破棄され、一般市民に知られることはなくなる。故に誰にも惜しまれる事なくこの世を去ることなんてざらだ。
【白銀の狩人】は鼻で笑いながら、イルズの肩をコツンと殴った。
「人狼族の寿命は人間の約1.5倍なんだよ。大丈夫。私はちゃんと、天命を全うする。その義務がある。先代からの呪いみたいなものだからね」
殉職。それは【白銀の狩人】にとって最も遠い言葉だ。彼女が死ぬということはあり得ない。
「ま、立ち話はこの辺にしておいて、私は行くべきところがあるから。また、助けて欲しかったら呼んでね」
「っ、誰かアンタの手なんか借りるか! この前のは、人数が必要だったんだ。 ……で、行くってどこに?」
「――それ聞く必要ある? まぁ、君が関わるのも時間の問題だし……。 これから行くのは、帝国だよ」
「は? 帝国? エデン帝国、だよな?」
「そうだよ。私の勘は鋭いんだ」
「………………………そうか、気をつけろよ」
「ありがと」
【白銀の狩人】は、それだけ告げると瞬きのうちに消えていた。
残ったイルズは、【白銀の狩人】の言葉を脳内で何度も再生して考えていた。
「――やっぱそう上手くはいかねぇか」
◇◇◇
―エデン帝国領 “不可侵入区域”―
魔族が次々と無に還った。何度も魔力が唸りを上げ、魔族を屠っていく。
何度も何度も、シリウスは反転術式を連発した。
何度も、何度も、何度も。最早ネオ達の出る幕はなかった。
そうして何度も同じ術式を繰り出して、残り1体となった。
一度入れば生きては帰れぬ。そんな噂の立つ、かつての“不可侵入区域”は見る影もなく、今や術式の鍛錬をするに相応しい修練場となっていた。
現代の魔導技術は、目まぐるしい成長を遂げている。
生まれつき『究極魔法』を持っているものもわんさか出てきた。
技術の進歩が、新たに生まれる生命のレベルを引き上げた。
今まで生きてきて、ネオはそれを感じていた。
眼前の才能の塊は、また一つ上のレベルへ到達しようとしていた。
『“虚弾・砲撃銃”』
数十回目の反転術式。
行ける。そう確信したシリウスの思惑とは裏腹に、彼女の魂が危険信号を発した。
シリウスから蒸気が立ち上り、魔族に攻撃が直撃する寸前で、より一際大きな蒸気を上げて、シリウスの魔力は凪いだ。
こつん、とシリウスの拳は魔族の腹に触れただけだった。
過去に一度だけ体験した感覚。
術式が、焼き切れた。
完全に無防備になった。我流とは言え、使用しているのは魂に刻まれた固有術式『窮極魔法【氷】』に付随した魔力。固有術式でのカバーもできない。
属性が【氷】なだけあって、回復までに時間はそんなに必要ない。だが、相手からの反撃を許すほどの隙を晒すには充分すぎる時間だ。
「嘘だろ……?」
魔力の輪郭を把握できていても、総量を把握することは難しい。その証拠に、魔力には『潜在魔力』という概念がある。
シリウスの場合【氷纏装身】の際にその『潜在魔力』を組み上げることで術式の練度を高めている。
しかし、そんな『潜在魔力』は本来、意識とは遠く及ばない場所で眠っている。
それなのに魔力総量を綿密に把握するというのは、2つしかない眼球で一度に全方位を視認する程度には難しい。
ジークですら一部までしか把握できていないそれを、才能の塊と呼ばれたシリウスが把握できるわけもなく、術式の過熱不良は必然的に、避けられる問題ではなかった。
シリウスの隙を埋めるように、いち早く動いたのはカリストだった。
逆手に持っていたダガーを順手に持ち替え、魔族の下顎目掛けて突き刺した。そのまま魔族は霧散した。
「シリウス、だいじょうぶ?」
「あ、あぁ、ちょっと無茶しすぎたな」
「今のが過熱不良なのか? あんな風になるんだな」
カムイは心配を通り越し、初めて見た現象にどこか感心しているような声音で言った。
しかしネオは否定した。
「いや、ここまでなるのは、シリウスの我流術式の能力と、固有術式の【氷】ゆえだよ」
魔力枯渇と術式の過熱不良は紙一重だ。
過熱不良は、術者を魔力の枯渇から守るための安全装置とも言える。少し無理をすれば、安全装置を一時的にオフにできることだって可能だが、そうすれば当然、魔力枯渇のリスクも上がる。
「まぁ、あとどれだけ時間があるかは分からないけど、着実に慣らしていこう」
「あぁ」
シリウスの特訓もひと段落し、カムイは大きなリュックを背負うと、シリウスに問いかける。
「――それで、これからどうする?」
訊かれたシリウスは、西の方を見て答えた。
「帝国に行こう。エデンとも話がしたいし、それに、【道化】も」
「あのさ、僕は行っていいの?」
当然の疑問だった。ネオがシリウスの配下であるというのは周知の事ではない。
相手は種族王四強の一柱。たとえシリウスとて、黙って犯罪者を配下にしていることを良くは思われないだろう。
「あー…………、いいんじゃね?」
「いいのか、それで…………」
………
……
…
「頼むよぉ! コイツ、いい奴だからさぁ!」
「そう言われましても、人狼王殿――」
「そこをなんとか!」
案の定、ネオは検問で弾かれた。
懇願するシリウスの肩を、ネオは優しく叩く。
「シリウス、君たちだけで行ってきなよ。大丈夫。僕なら飲まず食わずでも10年くらいは生きられる。適当に平原で暇つぶしでもしておくさ」
「――でも……」
「仕方ねぇよ、シリウス。全員入れないよりマシだろ」
「…………そうか、そうだな。悪いな、ネオ」
ネオは悲哀の笑みを湛え、頷くと、名残惜しそうに踵を返した。
「――良い」
しかし、ネオを引き止めるように、門番の背後から声がした。とても厳かな声色だ。
「エ、エデン様……!? 今、なんと?」
なんと、そこに立っていたのは帝国の皇帝であり、人間王クヌム・ゲブ・シュー=エデンだった。
周囲の兵士は跪き、首を垂れた。
流石は皇帝。威厳ありありだ。
「元精霊王のことだ。良い」
「っ、しかし……」
「構わん」
「……本当に――」
「構わんと言っている。入れろ」
エデン帝国、王城。シリウスらは観光すらままならず、一直線に王城へ連れられた。
「禁忌のことは聞いている。災難であったな」
城の長い廊下を歩きながら、エデンはシリウスに問いかけた。
「やめてくれ。オレそういうの結構引きずるタイプなんだよ」
項垂れるシリウス。そんな彼女の眼前に、1人の女性が立った。
城に入ってからずっと、強い気配を感じていた。それがこの人間の女性だ。
「貴様、誰に向かってそのような口を……!」
「イヴ、控えよ。その者は“ブラウ”だ」
エデンが言うと、イヴなる女性はシリウスの顔をまじまじと見た。
「……失礼致しました」
あっさりと引き下がるイヴ。その真意を、シリウスは理解していなかった。
エデンは話題を変えた。
「元精霊王、貴様は何故人狼王の下についた?」
問われたネオは、即答した。
「生きるためさ。生に未練はあっても、国に何か思うこともなかったからね。世界を獲るのに、僕が誰かを率いる必要は無いと思ったんだよぉッ!!」
言い終えたネオの腹に、シリウスの強烈なエルボーが飛んだ。
「後半は嘘だな」
「余計なことを言うなよ」
「…………そうか」
やはり、エデンはネオに興味は無いようだ。
「人狼王――」
「シリウス」
「…………シリウス、貴様に面倒ごとを押し付けたいと思っているが、聞いてくれるか?」
「えぇ……」
即答で断ろうとするも、背後の殺気に気付き、ギリギリで抑えた。
「内容による」
一行が案内されたのは、あまりにも空間を持て余した会議室だ。
中央の長テーブルを取り囲むように、10数席の椅子が等間隔に並べられていた。
エデンはその中でも装飾の施された椅子に座り、イヴともう1人の男性はその後ろに控えた。その向かいにシリウスが座った。残ったカムイらは適当な場所に座る。
「話の続きだ。貴様に任せたいというのは、平原についてだ」
「平原?」
「俗に言う、“不可侵入区域”というものだ。我が王家では、代々この東の区域の管理をしてきた。貴様も知っている通り、アレは魔族の巣窟だ。少々煩わしいと思っていたのでな、貴様には魔族の掃討を任せたいと思っている」
エデンは知っていた。気付いていたのだ。なぜ人間王としても代々受け継がれてきた者たちが、“不可侵入区域”を管理で済ませているのか。
「禁忌のことは知っているだろう。アレから何度か殺してみたのだが、どうも絶命する様子もない。それどころか、最近になってまた“不可侵入区域”の魔族が活発になりだした。余も東にばかり構っている暇もない。本当は魔人王に一度頼んでみたが、奴が言うには、貴様が最も適任とのことらしい」
――あの野郎……。
どうやらジークが本来“不可侵入区域”の始末をする予定が、たらい回しにされていたらしい。
「…………分かったよ。ただ、なんの支援も無しにやるってのも、こっちにはまともに戦えない仲間が2人もいるからな。何か無いのか?」
訊かれたエデンは、背後に立つ男性に目配せした。
「コレを付ける。名はアダム。ただの人間だが、この城では余の次に強い」
種族王四強ナンバーツーのエデン。そんな彼が認めるほどの強者だ。実質的に種族王がもう1人味方についたのと同義。シリウスとしては十分すぎる支援だ。
「それと、衣食住も提供しよう。貴様が望むならば、それなりの報酬金も用意する。どうだ? 最早断る理由もあるまい」
口角を釣り上げるシリウス。流石は世界でもトップクラスの帝国の皇帝様。もはや戦慄さえしていた。
「ッ、おいおい、太っ腹すぎやしないか?」
「戯け、余は神であるぞ」
「引き受けるよ。カムイ、ネオ、良いよな?」
「僕に口出しする権利は無いさ」
「あぁ、良いぜ。ちょうど、魔族についても調査してみたかったし」
ほとんどシリウス1人の判断だが、2人は二つ返事で快諾してくれた。
「では決まりだな。アダム、客室へ案内しろ」
「承知いたしました。シリウス殿、一行の皆様、ご案内いたします」
「ありがとう」
◇◇◇
案内された客室で荷物を整理し、ひと段落ついたシリウスは、カムイと共に街を観光していた。
向かった先は、とある武器屋。多くの冒険者が行き交う通りでも一際異彩を放つ外見。何より目を引くのは、歪な形が特徴的な魔剣の数々。
工房と武器屋が一体型となっている、魔剣鍛治師ヒノトのお店である。
「いらっしゃいま…………なんと!!」
冒険者時代に愛用していた双剣の手入れをしていたようだ。手に持ったまま、シリウスのもとに駆け寄った。
「これはこれは、人狼王と放浪家カムイ殿ではありませんか!」
「久しぶり、ヒノトさん」
「相変わらず、元気そうだな」
再会の挨拶はそこそこに、ヒノトはシリウスの腿に巻き付けてある鞘を見た。
「ところでシリウス、魔剣は、もしや無くされたのですか?」
本来そこに収められているはずの魔剣が存在しないことに、ヒノトは気がついていた。
「あー、それがさ、かくかくしかじかで――」
シリウスは魔剣がどうなったのかを話した。
プロキオンのこと、魔剣とプロキオンが一つとなったこと。そして、現在進行形で、ネオやカリストと共に街を観光していること。
「………なん、だって……!? 魔獣が、魔人で、魔剣と――」
混乱するのも無理はない。自ら生み出した魔剣だから尚更だ。
「実に興味深い。長生きもしてみるものですね。しかし、魔剣とはいえ、武器と生物が統合進化する、か。そんなものがあり得るとは」
「俺が思うに――」
カムイは言った。
「俺たち生物にも“色”が存在するように、武器にも“色”が宿るんじゃねぇのか?」
「なるほど、確かに、あの魔剣はシリウスの“色”に呼応した。武器に“色”が宿る……それは何か関係あるかもしれないね」
プロキオンについての謎は深まるばかりだ。もしかしたら、旅の最終目標である、氷の大地で得られるものがあるのかもしれない。
「そういえば、カムイ君も魔剣の姿が見受けられないのですが?」
ヒノトに訊かれ、カムイは少しそっぽを向いた。
「いやぁ、それが、西の大陸で大型魔獣とやりあって、壊れたんだ……」
「………………こわ、れた……? 私の魔剣が、壊れた? その魔獣とは、一体……?」
シリウスでも信じられない話だ。魔獣との戦いで魔剣が壊れるなんて、どれだけ雑な扱いをすればなるのやら。
カムイは自作の魔獣図鑑を開きながらヒノトに見せた。
「『鋼竜』だよ。西の大陸、炎の国サラマンダー近辺に棲む大型の竜種だ」
俗に『鋼竜』と呼ばれるそれは、圧倒的耐熱性と強度を誇る鱗に覆われている。鋼竜から獲れる素材は加工が非常に難しいが、その分圧倒的耐久性と魔法耐性があることから、防具に使用されることが多い。
カムイも、特に使い道はないが、西の大陸土産に一狩りしてみたが、その際にヒノトから貰った魔剣が壊れてしまったらしい。
「そうでしたか……それは残念です」
「お、怒らねぇのか?」
「ハハッ、まさか。鋼竜は昔何度か相手にしたことがあるんですがね、あれは武器鍛治師泣かせの外殻を持っているからね。仕方がないさ」
「……まぁ、お陰でいいモンが手に入ったからな。再会の土産に、どうかなと思ってさ」
がさごそとリュックの中身を漁るカムイ。
そこから取り出したのは、美しい銀色の鱗だった。
「な、なな、なんと……!!」
「ただでさえ武器を通さないからな、剥ぎ取りも苦労したんだぜ? ヒノトさんの魔剣作りに役に立つと良いんだが」
カムイが持つそれを、ヒノトは震える手で受け取った。
「素晴らしい……! 保存状態も完璧だ。本当に宜しいのですか?」
「あぁ、金もいらないよ。正直、コレ意外とリュックのキャパ使うんだよ」
そう言うカムイだったが、もはやヒノトには届いてはいなかった。
「そうだな、コレをアレに使って、こうしてこうやって――」
シリウスとカムイは苦笑しながら互いに見合わせた。
「じ、じゃあ、邪魔になりそうだし、オレたちはこの辺で……」
「あぁ、そうですか、久しぶりにお話しできて嬉しかったですよ。今度来た時は、ぜひ、魔剣を買ってくださいね。……おぉ、降りてきたぁ!!」
帰り支度をするシリウスらを他所に、ヒノトは奥の工房へと消えてしまった。
「またな、ヒノトさん!」
カムイが去り際に言うと、奥の工房からちらちらとヒノトが手を振って返してくれた。
「行こう」
「……だな」
そして、シリウスとカムイは、ヒノトの武器屋を後にしたのだった。
「“不可侵入区域”の魔族の掃討。人狼王様は、どんなプランを考えてるんだ?」
店を出たシリウスとカムイは、人間王からの依頼について話をしていた。
「エデンの話聞いたろ? 【道化】を何度か殺したけど、殺しきれなかった。それと“不可侵入区域”の魔族の活発化。覚えてるか? 【道化】の術式。魔族を呼び出すやつだよ」
それは、シリウスが初めての反転術式を行使した、記憶にも新しいZ級魔族との一戦。
「ネオが言ってたよな。【道化】は他人から奪った術式をストックして、命を配分する。殺した時には奪った術式を消費して自らは生き返る。きっとその中に、『魔族を操る術式』があって、エデンたちが殺しているうちに消費された。それが“不可侵入区域”の『何か』に返還されたんだと思う」
「つまり、魔族を一掃するより、その『何か』を何とかすれば良いのか?」
「そう言うことになるな。まぁあくまでも、『魔族を操る術式』の持ち主が“不可侵入区域”にいるって仮説が正しかったら、だけど」
その術式の持ち主は魔族なのか、あるいは禁忌なのか――
「何にせよ、明日やってみないと分からないし、準備は怠らないようにな」
「分かった。アダムの実力も測っておく必要もあるからな」
そうしてシリウスとその仲間たちによる、“不可侵入区域”の開拓が始まるのであった。
ステータス
〈アダム〉
・No data
〈イヴ〉
・No data




