ボロアパート3
「あ!すいません!ちょっと待って!」
俺は慌てて階段を降りる。
驚いた様子で女はこちらを見た。
「なんですか?私急いでるんですけど。」
「あ〜、すんません。201号室の者なんですけど。102号室の方ですか?」一応確認しておく。
(っつーか、この母親ってこんな派手だったか?
化粧濃いな…。)
「そうですけど…何か用ですか?」イラついた声で母親が答える。
「いや、おたくのお子さん?ウチで保護してるんですけど、迎えに来てもらえないかと思って。」
その言葉を聞き、その女は目を見開く。
「なっ…!ウチには子供なんていませんけど!何か勘違いされてるんじゃないですか!?」女は慌てた様子で言う。
「いやいや、そんな訳ないでしょ?おたくのお子さんで間違いないと思うけど?」俺は食い下がる。
「なんでアンタにそんな事わかるのよ!いないったらいないのよっ!」そう言い、女は走って行ってしまった。
「え〜…どういう事なんだ…?じゃあ、アイツどこの子なんだよ。」俺は訳もわからず部屋に戻るしかなかった。
何も知らずに眠っている顔を見てふと思う。
母親がいないって言うって事は、もうコイツはいらない子供って事か…?
ニヤリと笑みを浮かべボソッと呟く。
「ラッキー…。」
その日から俺の計画が始まった。
「まずは、痩せすぎてるから少し太らせないとなぁ。」とにかくメシを食わせた。
(感覚的には育成ゲームだな。昔あったゲームにこんなのあったなぁ…。すぐ死んでたけど。笑)
性別 女 年齢 4〜5歳くらいか?
名前は…面倒だからいらん。
逃げられたり大声を出される可能性もあったが、そいつは喋れないのか声を出す事はなかった。
逃げられる心配は、大型犬用のケージに入れて鍵をかけたから大丈夫。
「一回人間を飼ってみたかったんだよなぁ。いらなくなったら殺せばいいだろ。さぁて、何して遊ぼうかねぇ…。」ニヤニヤが止まらない。こんな楽しい事がこの世にあったなんてな。
メシを食わせて少し元気になったそいつは何もわからないのか、不思議そうな目をしてこちらを見ていた。
それから数ヶ月。
もう飽きたなぁ。何しても反応がないんだよ。
最初の頃は痛がったりして面白かったのに。
そろそろ捨てるか…