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心の中に君

作者: U-1

僕には誰にも話せない秘密がある。話したところで誰も信じないであろう夢のような話なのだ。人間の体には一つの体に一つの人格が存在しているのは誰もが知っている当然のことである。しかし、物心ついたころから僕には二つの人格が存在していた。


「唯。ちゃんと、数学の勉強したのかよ」僕は、僕の中の存在に話しかけた。

「したにきまってるじゃない。祐一のテストの出来が悪かったら、私だって一緒に怒られるんだからね。祐一こそ国語の勉強ちゃんとしたの?」と唯。

「ちゃんと勉強しました。今日のテストは赤点じゃないと思うよ」と冗談めかして自分に話しかけた。

「はぁ〜満点取れるくらいの自信が持てるまでちゃんと勉強しなさいよ。なに考えてるの。信じられない。」僕の中で、僕に対する文句は続いているけど、学校に間に合わなくなりそうになったので、無視して家を出ることにした。

「バカ〜ちゃんと聞きなさいよ!!」

怒る唯の言葉を適当に聞き流しながら、学校に行く準備をてきぱきと行った。


「さて、そろそろ学校に行くかぁ。テスト前にちゃんと勉強しないとダメだしな。」と唯のことを気に留めながら自分に問いかける。

「・・・・」

「分かりました。怒られないようにちゃんと勉強します。だから許して。」素直に謝ってみる。

「もう、遅いよ。今さら勉強したって祐一の頭じゃ良い点取れるわけないじゃない・・・けど、許してあげるよ。最後の一問まで気を抜かず頑張ること。分かった?」

「はいはい、了解です。」

「返事は一回!」

「は〜い。」

僕にとって唯との、何気ない言い合いがたまらなく大切で大好きな時間なのだ。お互いの信頼関係が成り立っているからこそ出来る言い合いが・・・

こんな僕たちだが、一旦、外に出れば僕たちは話すことを止める。独り言を歩きながらしているってのは、周囲から見ればおかしなことってのも理由なのだが、唯の存在が世間に知れれば、僕たちのこの不思議な関係が壊れてしまうと思ったからだ。


僕と唯が通う学校には、僕たちの事情を知っている人が二人いる。一人目は、僕の担任である明日香先生だ。ちょっと天然のふわふわ系だが、僕の心の中の存在を知っても驚かなかった唯一の人なのだ。

もう一人は、後輩のシンジだ。幼馴染だったシンジは、物心がついた頃から唯の存在を知っている。僕たち二人が一番長く付き合っている親友だ。

一つの体に二つの人格が存在する高校生、担任の先生、幼馴染の後輩、この変わった四人の変わった関係は、とても心地よかった。『これこそ青春!』と思える大切な時間なのだ。


それはから三ヶ月の時間が流れた。

不思議だけど幸せなこの時間が、崩れていくことになるとは今の僕には想像することは出来なかった。

今日は、僕と唯の十八歳の誕生日。唯の存在は家族には話していないから、唯を含めた家族そろっての誕生祝いはできない。だから僕は十七年間、二人だけの秘密の誕生日会を行ってきた。他愛のない話をしながら二人だけの誕生日を楽しく過ごした。

二人だけの誕生日会を終えた僕たちは疲れたのか深い眠りについてしまった。心地の良い眠りの中、僕は現実なのか夢なのか分からない世界にいた。そこには、一本の大きな木があった。青い空、白い雲、緑の芝生、北海道の平原のような風景だ。隣には、見たことのない女の子が静かな寝息をたて眠っている。この懐かしい光景に心は揺れ動いた。正確には、懐かしいであろう光景なのだろう、、、僕はこの平原を十八年の人生で一度も見たことがないからだ。でも、一つだけ確かなことがある。僕は涙を止めることが出来なかったことだ。止めようとさえ思わなかった。この涙が誰かのために流しているものだと感じることが出来たからだ。

それはある日突然に訪れた。

目が覚めるとそこは僕の知らない場所だった。「なんだ!何が起こった!おい、唯?」

「やっと起きた。」予想外の反応だった。

「驚いてない?」この状況に驚いていない唯の態度の意味が分からなかった。

「覚えてないの?ここで祐一が私に言ってくれた言葉。『どんなことが起こっても僕が君を守る。』って言葉。嬉しかったなぁ。でも、地球と言う星に飛ばされて起きた時は驚いたよ。私は、祐一の言葉通り、守られていたそれも貴方の心の中で守られていたんだもの。」

僕の頭の中でフラッシュバックが起こる。僕と唯が、どうすることも出来ない脅威から逃げていたこと、大切な親友たちの死、涙が止まらなかった。夢という現実逃避から、強制的に過酷すぎる現実に意識を戻された。夢の続きを見たくて見たくて仕方がない、、、現実逃避を続けたくてたまらない。でも、僕たちの答えは決まっている。この現実を夢の続きに繋げることだ。それが、僕たち二人のするべきこと、いや、僕たち五人が誓い合った現実にしなきゃならない夢なのだ。

僕はすべての記憶を取り戻した、僕たちが倒すべき敵の存在を。



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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、悪くはないですが、何かが足りないですね。二つの人格両方が宇宙人のように読めてしまいますが、僕は地球人で、唯が宇宙人なんでしょう。それなら、この短編で終わらせるなら、唯とお別れした方が…
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