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自分のプレイスタイルが分からない

もうしばらくは毎日更新致します。

 何かえらい事になった。


「お、思ってたのと違う……」


 リンは自らが作ったクレーターを見渡す。当然の如く、そこに動くものは1つとしてない。


「……取り合えず急いでここから離れよう」


 ここまで派手に暴れたのだから、すぐに誰かしらが駆け付けてくるだろう。自分が犯人だとバレれば面倒だ。


 リンは遺伝子を全て【シャドウウルフ】に振り直すと、器用に4足で脱兎の如く走り出した。


 森は既に6割方消滅してしまったが、それでも身を隠すには打って付けだ。


 リンは再び森に入ると、人のいない奥深くまで向かう。


 ある程度走ったところでようやく息をついたリンは機甲種(オートマタ)になってから、先ほど大量に流れてきたログとステータスの確認をする。なお機甲種(オートマタ)を選択した事に理由はない。取り合えず人型になりたかっただけだ。


「う、うーん……これは想像以上にやらかしちゃってるかなぁ」




~~~~~


リン


混合種(キメラ)(+機甲種(オートマタ))


Lv.23


所持金:1,518,246


HP:168/168[68(+100)]

MP:168/168[68(+100)]


STR:115[28(+87)]

VIT:108[28(+80)]

INT:28[28(+0)]

RES:103[28(+75)]

AGI:63[28(+35)]

DEX:83[28(+55)]


装備

武器:

頭:

胴:布の服

手:

足:革の靴


スキル:

【遺伝子組み換え】【悪食】


【カノン砲(消費MP10)】【粒子砲(消費MP10)】


称号:

【虐殺者】【格上殺し】【殲滅者】【殺人鬼】


保有遺伝子:

森精種(エルフ)】【機甲種(オートマタ)】【天翼種(ケイレム)】【ゴブリンロード】【シャドウウルフ】【レッサーワイバーン】【ロック鳥】


~~~~~


 まずは【混合種(キメラ)】のスキル。


【悪食】──VIT無視の物理ダメージを与える。対象を経口摂取することで遺伝子を獲得する。但し対象と出来るのは、存命の生物か死後間もない死体に限る。


「これは……私にモンスターを生で食えと……? それとも踊り食い?」


 このスキルの効果を見るに、ただ倒しただけでは必ずしも敵の遺伝子が手に入るとは限らないということだろう。


(虫とかは流石に食べれないかなぁ……)


 ともあれ有益そうなスキルではある。

 続いて【機甲種(オートマタ)】のスキルだが、これに関しては申し分ない。


 【カノン砲】【粒子砲】ともに遠距離攻撃用のスキルであり、消費MPの割に威力が高い。

 その代わり機甲種(オートマタ)の種族特性として、短時間にスキルを多用し過ぎると“過熱状態(オーバーヒート)”となり、暫く動きが大幅に制限されてしまう。

 なお、今回のレベルアップで使えるようになったのは【粒子砲】の方で、【カノン砲】が物理攻撃なのに対して【粒子砲】は雷属性攻撃のようだ。


 次の称号は取り合えず飛ばして、先に新しく獲得した遺伝子、【天翼種(ケイレム)】と【ゴブリンロード】を確認する。


 それぞれに極振りしてみると、【天翼種(ケイレム)】は天使のような外見。RESが高く、スキルは対象のHPを回復したり毒などを治す為の【回復魔法(小)】【範囲回復魔法(小)】【状態異常回復(小)】がある。


「これは完全なヒーラー用かなぁ。香苗と一緒にやるときは役に立つか」


 続いてゴブリンロードは、味方のステータスを1.2倍にするスキル【統制】というものがあった。


「誰かとパーティーを組む予定もないし、これも今のところ使う事はないかな」


 これで一通りスキルの確認は終わった。残るは一番問題の称号だ。


【虐殺者】

 自身よりステータス総合値の低い相手に与えるダメージが1.2倍になる。

 取得条件:一定時間内に、自身よりステータス総合値の低い相手を100体倒す。


【格上殺し】

 自身よりステータス総合値の高い相手に与えるダメージが1.3倍になる。

 取得条件:一定時間内に、自身よりステータス総合値の高い相手を100体倒す。


【殲滅者】

 相手の人数が味方の人数を上回っているとき、その人数分ステータスが上昇する。

 取得条件:一定時間内に単独で100体の敵を倒す。


【殺人鬼】

 他のプレイヤーに与えるダメージが1.1倍になる。

 取得条件:300人のプレイヤーを倒す。


「えっ……」


 果たしてリンは何体のモンスターを、何人のプレイヤーを殺してしまったのだろうか。まあ最低でも300人PKをしてしまったのは確かだ。


「これ、私はどこに向かってるんだろう……」


 まずまともなプレイヤーではない。白か黒で言えばバリバリの黒だ。


 まだ大量PKの犯人は分かっていないだろうが、これだけの被害者がいるのだ。すぐに情報が拡散され、いずれ自分だとバレるだろう。

 悪いことをしたとは思うが、それでも報復などされたらたまったもんじゃない。


「……もういっそのこと開き直るかなぁ。簡単に手出し出来ないぐらい強くなれれば報復なんか怖くないし。せっかく香苗がくれたんだもん。遊び倒さなきゃ!」


 都合の良い事に、リンが効率良く強くなる方法は実に明確だ。


「【ロック鳥】の力で暴れて、【悪食】で強力な遺伝子をかき集めればいいはず」


 そうと決まれば時間が惜しい。このまま行き着くところまで行ってみよう。きっとそれはそれで楽しいに違いない。


***


 まず【ロック鳥】ほどとはいかなくても、強力な遺伝子を手に入れたい。

 その為に必要なのは強いモンスター。

 ではその強いモンスターは何処にいるか。


 というわけで、リンは城下町北西にあるダンジョンへと来ていた。

 構成遺伝子は【ロック鳥】と【天翼種(ケイレム)】を5対5になるように振っておいた。

 右の肩甲骨の辺りから【天翼種(ケイレム)】の羽が、左からは【ロック鳥】の大きな羽が生えている。両腕は人のそれだが、足は鳥のものだ。

 なお、本人は確認できないので知らないが、重瞳は健在だ。

 というかいつも、それこそ【ロック鳥】で暴れたときも常に健在だった。

 左目の2つの瞳だけはどんなときでもギョロギョロと動いていた。


 現在のステータスはこうだ。


~~~~~


リン


混合種(キメラ)(+天翼種(ケイレム))(+ロック鳥)


Lv.23


所持金:1,518,246


HP:198/198[68(+50)(+80)]

MP:174/174[68(+50)(+56)]


STR:95[28(+18)(+49)]

VIT:105[28(+30)(+47)]

INT:90[28(+33)(+29)]

RES:113[28(+38)(+47)]

AGI:101[28(+23)(+50)]

DEX:72[28(+25)(+19)]


装備

武器:

頭:

胴:布の服

手:

足:革の靴


スキル:

【遺伝子組み換え】【悪食】


【HP回復魔法(小)】【範囲回復魔法(小)】【状態異常回復(小)】


崩天(テンペスト)(1日に1度だけ使用可)】【鎌鼬(消費MP10)】【暴風(消費MP18)】【風塞(消費MP1/10秒)】


称号:

【虐殺者】【格上殺し】【殲滅者】【殺人鬼】


保有遺伝子:

森精種(エルフ)】【機甲種(オートマタ)】【天翼種(ケイレム)】【ゴブリンロード】【シャドウウルフ】【レッサーワイバーン】【ロック鳥】


~~~~~


 【ロック鳥】の新しいスキル【風塞】は、自分の周りに風を纏い近付いてきたものに微ダメージを与え続けるというものだ。消費MPは10秒毎に1。実に燃費の良い、相手に嫌がらせする為にあるスキルである。


「はぁ。外なら【ロック鳥】に極振りして楽勝だったのになぁ」


 リンはゆっくりとダンジョンの洞窟に入っていく。


 このダンジョン、『腐蝕毒の洞穴』はその名の通り毒攻撃をしてくる敵が多く面倒な割に、雑魚モンスターから得られる経験値が少ない事から、あまり人気がなかった。


 リンの今回の目的は、経験値稼ぎではなくこのダンジョンのボス、【腐蝕竜】の遺伝子だ。


 【腐蝕竜】はSTRやINTはそこまで高くないが、その強力な毒はHPを一気に奪っていく。初期HPのままなら10秒程度で削り切られるそうだ。


 暫く洞窟を進んでいると、奥からナイフを持ったゴブリンが2匹やって来た。彼らのナイフはヌメリと怪しく光を反射しており、毒が仕込まれていることが分かる。


 今回はボス戦の為に戦力はなるべく温存しておきたいので、可能な限りスキルの使用は避ける。


 考えてみればまともな戦闘はこれが初めてだ。

 リンは気を引き締め、拳を強く握りしめる。武術の心得などないので、取り合えず右足を半歩引いて無骨に拳を構えた。

 彼女の左右非対称の翼が、ゴブリンたちを威嚇するように広がる。

 大きく見開かれた彼女の左の重瞳が先程までの忙しない動きを止め、ゴブリンたちを捉える。

 そこにあったのは初々しいゲーム初心者ではなく、憐れな獲物の命を刈り取る化け物の姿だった。


 怯えるゴブリンたちを他所に、リンはその馬鹿らしいまでのステータスに物を言わせ、高速で殴りかかる。

 その拳は僅かに彼女に近かった方のゴブリンの左頬に刺さり、バァン!!という炸裂音を響かせた。


 ゴブリンだったそれは一撃で頭部を炸裂させ、唯の肉塊と化す。


「……全年齢のゲームにしてはちょっとグロすぎない? 骨が砕ける感覚とか伝わってきたんだけど」


 残念ながら彼女は設定で描写の過激さを調整できることを知らない。


「スキルなしでも結構戦えるっぽいし……経験値稼ぎも兼ねて戦闘は回避しなくていいかなぁ」


 リンはもう一体のゴブリンの方を見やると、無事に戦えそうな事に安堵の笑みを浮かべる。


 笑みを浮かべながら全身を返り血で染め、恐怖に震えるゴブリンを見つめるその姿はやはり誰がどう見ても化け物だった。

明日は18時に更新しますので、よろしければどうぞ

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