表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

 話し合いましょうとは言ったものの、六歳相当の幼女の身長しかないシーアルから見れば、プライマル・フォルツェが放つ圧迫感がやたらと強い。

 立っているだけなのに、無駄に強い圧迫感。


 シーアルは弱気になりかけた。

 ロボットは大きい方が格好良くて強そうで、変形しそうだよね、とか。

 うきうきと、プライマル・フォルツェをメイキングした前世の自分に会えるものなら、二時間ほど説教をしたい。

 因果応報。

 自己責任か。


 シーアルはまっすぐにプライマル・フォルツェを見上げる。覚悟を決めて言い放つ。

「正座」

 大きな声ではない。

 だが、プライマル・フォルツェは即座に従おうとする。二メートル近い金属の体をかがめ、シーアルの前に、プライマル・フォルツェは姿勢を正して座った。

 足を折って膝をそろえ、かかとも合わせる。

 古式ゆかしい日本文化伝統の座り方。

 正座だ。


 目線の高さが近づいて。

 ちょっとだけ、シーアルの気持ちが落ち着いた。

 話し合う体勢ではないかもしれないが、見た目は成人男性と幼女なのだから、ハンデということで許容範囲にして欲しい。


「まず、私たちは恋人同士ではありません」


 シーアルに容赦はない。遠慮だとか、気遣いだとかは、そんなものは投げ捨てた。できれば後で拾いたい。

 プライマル・フォルツェは、シーアルの話をおとなしく聞いている。

 シーアルは言葉を続けた。


「あなたは私との親密度の高さを、恋愛感情だと勘違いしているだけなのよ。私があなたの創造主だから」


 シーアルは、自分自身にも言い聞かす。


 忠誠を誓ってくれても。

 愛を語ってくれても。

 プライマル・フォルツェの言葉を、本気にしてはいけない。


 だって、私のNPCだもの。

 私に逆らわず、理想通りの反応をする私専用のNPC。

 転生前はそれだけで良かった。

 

 ………なんだろう。

 自分で言っておきながら、次第に気持ちが落ち込んでくる。

 そこまで言わなくても、とか、少しぐらい、とか。心の奥が愚痴をこぼす。


「シーアル」

 プライマル・フォルツェは、シーアルの名前を優しく呼んだ。

 正座したままの、情けない姿だが。プライマル・フォルツェはシーアルの顔を見つめて、心配そうに眉を寄せた。

「どこか、痛いのか?」

 シーアルは返す言葉を失った。

 呆然と、プライマル・フォルツェを見つめ返す。

「辛そうだ」

 プライマル・フォルツェが告げる言葉は短いが、シーアルを本気で心配している気配がする。

 すると思いたかった。


 クリエートオンラインで、プライマル・フォルツェと一緒にすごした時間を、楽しかった記憶を、一人芝居で終わらせたくなかったのかも知れない。


「私の話を聞いていた?」

 意識して、きつい表情でシーアルが問いかけると、プライマル・フォルツェは笑顔を見せた。

「恋人同士でなくても、私がシーアルを愛していることは変わらない」

「その愛が、プログラムの数値計算によるものだったとしても?」


 シーアルは軽く視線を反らす。プライマル・フォルツェを直視できない。

 プライマル・フォルツェは真顔だった。


「一緒にいて優しくされて、その相手を好きになるのは不自然なことなのか?」


 そう言われると。

 困る。

 シーアルは本気で困る。

 できることなら、心の底から抗議をしたい。

 愛がどうのこうのと私に聞かないで。


 こっちが聞きたいわッ!

 

「……そうよね。良く考えたら、悩んでも仕方ないじゃない」

 シーアルはぼそりと口にした。悩んでも何も変わらない。済んでしまったことは、どうしようもない。

 プライマル・フォルツェがNPCであっても、プログラムで動いていようと、それがどうした。

 愛してると言ってくれるなら、愛されようじゃないか。愛されてると信じよう。

 後のことは後で考える。


「あなたの愛は認めるとして、私はあなたを愛しているか分からないの。だから、時間が欲しい。そして、正直に言ってしまうと、私にはあなたの力が必要なの」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ