表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼春  作者: 白宮 安海
青春となにか
3/27

3話

「あんたには教えないよーだ」

律が舌を出して言うと、海斗はポリポリと髪をかいて、眉を下げた。

「いいけど、そろそろ日が落ちる頃だぞ。帰った方がいいんじゃないか?」

「げっ、もう6時過ぎてるじゃん!私、今日習い事あるんだった。また鬼ばばに怒られる」

律は右腕の黒い腕時計を見て叫んだ。僕は、まだここに居たかった。黒い空が街を覆い尽くす様を、この目で見届けたかった。

「俺、送っていくよ。律のこと」

先に言い出したのは海斗だった。海斗の言葉を聞いて、僕は焦って口走った。

「僕が送っていくよ。律とは家が近いから」

律は困ったように眉を寄せて、僕と海斗を見眺めていた。それから笑顔で、「ありがとう。でも、一人で帰れるからいい」と、言って律は三歩前へ大きく進み出て、振り返り歯を見せた。

「校門までは送って貰おうかしら、執事さんたち」

腰に手をつき、わざと鼻につくような声を出していた。そんな律の態度を見て、海斗はやれやれとため息をつく。

「まったく、調子に乗るな」

律は反省する気もなく、ただ、へへっと照れ笑いを浮かべていた。

僕らは三人で校舎の門まで歩いた。三人とも自転車通学だった為、両手にはハンドルを掴んでいた。律は一足先に門を出ると、自転車にサドルに跨った。

「送ってくれてありがと。二人も気をつけてね。ばいばい、海斗、謙一!」

風が吹き抜けるように、自転車を漕ぐ律の背中を海斗と見送る。

「またな、律」

僕は静かに言った。

「じゃあな、律。また明日学校でな」

海斗は叫んだ。

続けて自転車に跨がると、軽く掌をあげて海斗にも別れの挨拶をした。

「じゃ、また」

「謙一も気をつけてな」

海斗は僕の肩を叩くと、後から自転車に乗って僕の横についた。海斗は、律とは別の道へ自転車を走らせていった。僕も同じくペダルを踏んでアスファルトを滑り、家路へと帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ