25話
誰もいない屋上はやけに広く、小さく連なる建物は遠く感じる。僕は喉が壊れるくらい大声で叫んだ。自分が嫌で嫌で堪らなかった。涙が止まらず、ここから飛び降りたかった。
僕は何度も何度も、柵に頭を打ち付けた。自分に罰を与えるかのように。そしてその場から崩れると、自分が嫌いという感情だけが残った。酷く孤独だった。
僕らは卒業までの間、口を聞くことも顔を合わせる事も無かった。海斗も律に続いて、学校へ来なかった。僕は第一志望の大学へ合格した。
海斗と律には、何度も連絡をとろうとしたが、繋がらなかった。繋がった所で、僕は自分の罪を打ち消す自信などなかった。ただ、あの頃に戻りたい。三人で夕陽を眺めた。何でもない頃に。
卒業の日。卒業証書を受け取り、仰げば尊しを全校生徒で歌う。そこに海斗と律はいない。華やかに飾り付けをされた校門を出れば、桜と共に、大人への道が続いている。
クソ喰らえ。
僕は、記念写真も撮らずに自転車に乗って土手を転がった。退屈なJPOPを歌って、がむしゃらに漕いだ。空は身勝手に青く清々しい。
大人になっても、あの頃の思い出は永遠に忘れないだろう。酒の席で、上司と笑いながら語るのかもしれない。
その時、僕の顔は歪んでいるに違いない。
土手は新しい緑を携えて、所々に春を咲かせていた。僕は満開の桜を追うようにして、あのプレハブ小屋へと走った。




