16/27
16話
花火が散った後にようやく、夜の静けさと火薬の匂いに気がついた。
役割を終えて色褪せた花火は、飲み終えて水を入れたペットボトルの中に刺さっている。
後片付けをしながら、僕達は再びプレハブに戻った。プレハブの中は、置いたままの教科書や空の缶ビールがそのまま放置してあり、幻想的な夜の出来事から一気に現実感に戻される。
「眠い」
目を擦りながら、律は言った。続いて僕も欠伸をしながら「うん、同じく」と頷く。普段よりも使い過ぎた頭が重かった。水を含んだスポンジのようだ。
律は何も言わずに、机の側の床に寝転んだ。僕と海斗はそれを見て、さっきと同じ位置に腰を下ろした。
肘を立てて頬杖をつきながら、海斗は律を眺めていた。
「律って、好きな人いると思うか?」
僕は律の方を見た。そう言えば、律の口から恋人とかそういう話を聞いた事はない。長く一緒に居たのにも関わらず、僕は律の内心などまるっきり分かっていなかった。
「さあ……」
「だよなー」
「でも、居ると思う」
僕は、律が好きなのは海斗だと思っている。海斗も多分、律の事が好きなのだろう。時々、海斗は律の事をじっと眺めている時がある。もしも二人が付き合ったら、僕達はいつも通りの関係でいられるのだろうか。
「謙一かな」
海斗は言った。
「え?」
「律が好きなの」




