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15話
僕は悩むことなく、一番最初に目に入った蛍光色の手持ち花火を掴んで引っ張った。
それぞれが選んだ花火を持つと、海斗は持参したチャッカマンで自分の花火に火をつけた。シャワーのように金色の火花が溢れ出してくると、僕と律は海斗の花火から火を着けてもらった。
「わあ、綺麗!」
律は声を上げた。花火に照らされる律の笑顔は、輪郭がくっきりと浮かび上がって美しかった。魔法使いみたいだな。そう思った。僕は、魔法でもかけられたかのように、律を目で追いかけていた。
徐々に勢いを失いながら、光は枯れていく。いつも始まりではなく、最後に散る火花を見る方が、僕は好きだった。
「次、線香花火したいな」
律は息つく暇もなく、袋から三本の線香花火を取り出して、僕と海斗へ差し出した。
チャッカマンで火を着けると、三つの小さな球体が、弾けるように光を放つ。僕達はその生き様に魅了されるように、しゃがみこんで見詰めた。
「こんなに小さな光なのに、どうしてこんなに綺麗なんだろう」
と、律。
「線香花火って一生懸命だよな。可愛くて悲しくて愛しいって思う」
僕は、思ったままを呟いた。いつも反応を返す海斗は、その時だけは黙り込んで真剣に、夜に小さく灯るハナウドを眺めていた。何かを考えているかのように。




