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12話
「二人ともありがとう。紙コップとかはあるから自由に使ってな」
二人に向かってそう告げると、僕の隣に律が座った。
「海斗はそっち」
向かい側のテーブルを指さしながら、律は笑った。
「わかったわかった」
律が指をさす方の側に、海斗は腰を下ろして荷物を置いた。ドサ、と重みのある音が底から響く。
「まずは何からやる?数学?」
「僕は数学でいいよ」
「俺も」
三人の意見が合致し、僕達はまず数学から手をつける事になった。数学は最も僕の苦手とする教科だ。反対に、一番得意なのは国語だった。
僕は隣に座っている律の事が気になって気になって、仕方なかった。いつもこんな近くにいても、妙な意識はしてこなかったはずなのに、今日に限って律から放たれる女性的なオーラが圧迫してくる。短く切り揃えてある髪の先から微かに花の香りがして、筋肉の上から脂肪のついた二の腕が、とても綺麗だった。ただ、その先の手首には、誰にも知られたくない律だけの秘密を守っていた。




