「バトルロイヤルですか?」24
「使うと思ったか? 残念だったな」
直前で『逆転』をキャンセルされた。
いや、そうじゃない。バースはこの瞬間を狙っていたのか?
急いでその場を離れようとするが、腕を掴まれていて離れる事が出来ない。
「くっ!」
「⋯⋯俺が『逆転』を使えば、俺に雷撃が当たる。ということは、俺が使わなかったら⋯⋯どうなる?」
バースの後ろの怪物達は一撃を食らわせた後、二度目の攻撃を仕掛けていた。
が、攻撃が届く前に、無数の雷撃が怪物達を、そして俺を襲う。
「ぐああああ!」
四、五発の雷撃を受け、その場に膝をつく。
さらに、一回戦で見た追加効果の麻痺。それが俺の体にも起きていた。
それだけではなく、
「⋯⋯どうやら今のが最後だったみてぇだな」
「エル!」
エルはライトニングを放った後、力尽きるように地面に倒れこんだ。
「さて、これでお前達の策はつきた⋯⋯っと」
ロマンがバースに杖を振り下ろしたが、あっけなくいなされてしまう。
そのまま前屈みに体勢を崩したロマンはバースの足払いによって転ばされる。
痺れて動けない俺。
倒れこんだエル。
そしてロマンは相性が悪く、体術でも敵わない。
⋯⋯状況は最悪だ。
バースはこちらに視線を戻すと、俺の腕がかすかに震えているのを見て、麻痺だと感じ取ったのだろう。
「終わりだな。まぁ、そこそこ楽しませてもらったぜ」
と、一言勝利宣言。
そして、
「まあでも、所詮は父親の実績で過大評価されてるだけだった⋯⋯か。俺はそういうのが大っ嫌いだ。実力もないのに、親の七光りでチヤホヤされるようなやつがな」
と言葉を続ける。
「なっ!」
俺は思わずその言葉に驚いた。なぜ俺が父、ユウシの息子だとバースは知っている?
疑問に満ちた中、俺はバースに尋ねる。
「お前は一体⋯⋯」
するとバースは、ため息まじりに答えた。
「仕方ねぇから教えてやる。俺は⋯⋯⋯⋯お前と同じ『勇者』だ」
「『勇者』だと⋯⋯」
「そうだ。年は一つ上のな。だから、お前より早く旅に出た。そして俺は待っていた。お前が旅に出るのをな」
「なんで⋯⋯」
「お前がユウシの息子だからだ。俺は一番強ぇ勇者になる。だったらまずは名の知れた勇者の息子に勝たねぇとな。まぁ、杞憂だったみてぇだが」
膝をついた俺を見下ろしながらバースは話していた。
今までの言動や性格からするととても勇者とは思えないが、間違いなくバースは勇者らしい。嘘でこんなこと言うやつはいないしな。
それからバースは、屈んで話を続ける。




