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スプーンで世界はすくえますか?  作者: 木林森
第一章 イスト編
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「バトルロイヤルですか?」24

「使うと思ったか? 残念だったな」


 直前で『逆転』をキャンセルされた。

 いや、そうじゃない。バースはこの瞬間を狙っていたのか?

 急いでその場を離れようとするが、腕を掴まれていて離れる事が出来ない。


「くっ!」


「⋯⋯俺が『逆転』を使えば、俺に雷撃が当たる。ということは、俺が使わなかったら⋯⋯どうなる?」


 バースの後ろの怪物達は一撃を食らわせた後、二度目の攻撃を仕掛けていた。

 が、攻撃が届く前に、無数の雷撃が怪物達を、そして俺を襲う。


「ぐああああ!」


 四、五発の雷撃を受け、その場に膝をつく。

 さらに、一回戦で見た追加効果の麻痺。それが俺の体にも起きていた。

 それだけではなく、


「⋯⋯どうやら今のが最後だったみてぇだな」


「エル!」


 エルはライトニングを放った後、力尽きるように地面に倒れこんだ。


「さて、これでお前達の策はつきた⋯⋯っと」


 ロマンがバースに杖を振り下ろしたが、あっけなくいなされてしまう。

 そのまま前屈みに体勢を崩したロマンはバースの足払いによって転ばされる。


 痺れて動けない俺。

 倒れこんだエル。

 そしてロマンは相性が悪く、体術でも敵わない。

 ⋯⋯状況は最悪だ。

 バースはこちらに視線を戻すと、俺の腕がかすかに震えているのを見て、麻痺だと感じ取ったのだろう。


「終わりだな。まぁ、そこそこ楽しませてもらったぜ」


 と、一言勝利宣言。

 そして、


「まあでも、所詮は父親の実績で過大評価されてるだけだった⋯⋯か。俺はそういうのが大っ嫌いだ。実力もないのに、親の七光りでチヤホヤされるようなやつがな」


 と言葉を続ける。


「なっ!」


 俺は思わずその言葉に驚いた。なぜ俺が父、ユウシの息子だとバースは知っている?

 疑問に満ちた中、俺はバースに尋ねる。


「お前は一体⋯⋯」


 するとバースは、ため息まじりに答えた。


「仕方ねぇから教えてやる。俺は⋯⋯⋯⋯お前と同じ『勇者』だ」


「『勇者』だと⋯⋯」


「そうだ。年は一つ上のな。だから、お前より早く旅に出た。そして俺は待っていた。お前が旅に出るのをな」


「なんで⋯⋯」


「お前がユウシの息子だからだ。俺は一番強ぇ勇者になる。だったらまずは名の知れた勇者の息子に勝たねぇとな。まぁ、杞憂だったみてぇだが」


 膝をついた俺を見下ろしながらバースは話していた。

 今までの言動や性格からするととても勇者とは思えないが、間違いなくバースは勇者らしい。嘘でこんなこと言うやつはいないしな。

 それからバースは、屈んで話を続ける。

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