「バトルロイヤルですか?」23
「じゃあ次だが⋯⋯」
攻撃を回避し、後方へ下がった俺は再びロマンと話していた。
「わかりました」
そして、会話が終わると再びバースへ攻撃を。
初めはさっきと同じ。ロマンによる撹乱だ。
「リバース!」
ただ、毎度のごとく、それはあっさり消されてしまう。
怪物に紛れていた俺はというと、前回と同じく直進だ。
「また同じ手かぁ? おい」
バースの言う通りそこから先の展開も変わらない。
直進して殴りかかる。さっきと一緒だ。
だが、それは体を横向きにして回避されてしまう。
しかし、これは一連の流れの一つ。気にする必要はない。
回避された直後、俺はバースとは逆方向に横っ跳びする。
それと同時に、俺の後ろの怪物は逆サイド、バースの方へ横っ飛び。
バースの視界の斜め後ろに入り込んだ怪物であったが、
「リバース」
あっという間に消滅。
それでも、一瞬、バースの気をひくという役目を怪物はしっかりと果たしてくれた。
その間に俺は地面に着地し、低い姿勢のままでバースの方へ走り出している。
斜め後ろからこちらへ視線を戻したバースもそれに気付いたが、視線の逸れていた一瞬で、バースとの距離は縮まっていた。やつはもう、目の前にいる。
俺は、次の一歩を前に大きく踏み出すと、その勢いで後ろにバク宙。
俺が跳んだ場所からは怪物が足払いをしている。
「⋯⋯リバース」
ただ、怪物の攻撃は不発。
だがまだ、攻撃は終わっていない。
バク宙した後は、再びバースの方へ走り出した。
「ったく、何考えてるか知らねぇが、見えなくとも消しちまえばいい話だ。リバース!」
そう唱えるバースだったが、俺はお構いなしに拳を放っている。
まるで、
「なっ! もしかして、お前⋯⋯」
最初から後ろに怪物などいなかったかのように。
これまで数度、怪物のパターンを見せてきた。
その後にフェイクを入れればその効果は絶大。
驚くバースだったが、その後ろには二体の怪物。
これも、フェイクに一度『逆転』を使わせることで出来た隙を利用した。
そして、
「っ! ちっ! リバ⋯⋯」
使うなら、このタイミングしかない。
「やれ!」
「はぁ⋯⋯ライトニング!」
バースの頭上に広がる大きな黒雲。
その雲が光り輝き、今にも落雷を落とそうとした時だ。
「⋯⋯なーんてな」
「ーーっ!」
俺の攻撃を受け止め、そして、怪物達の攻撃を防ぎも躱しもせずその身に受けたバースは、不敵に笑っていた。




