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スプーンで世界はすくえますか?  作者: 木林森
第一章 イスト編
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「バトルロイヤルですか?」20

 二人で、こちらへ向かってくるバースの正面に立つ。


「また何かあんのか? いいぜ、どっからでも来いよ」


 笑みを浮かべてバースは言った。

 俺とロマンはその言葉が合図だったかのように、直後、攻撃を始める。

 ロマンは大量の怪物を召喚し、俺は、


「リバース。⋯⋯っ!」


 消される前に怪物達に紛れてバースの近くへ。

 互いの距離は短かったため、既にバースは目の前。俺の拳ももう放たれていた。


「ちぃっ!」


 その拳を掴むようにしてバースの腕が伸びる。

 それを確認した俺は、「ライトニング」と唱えた。

 その瞬間、体に電気が走るのを感じる。

 が、


「甘ぇ! リバース!」


 まもなくして、その感覚は失われた。

 そのままあっけなく拳は捕まれてしまう。

 今度はそこから上段蹴りを放つが、これも防がれる。


「残念だったなぁ」


 にやりと笑ってみせるバース。

 その周りをすぐさま怪物達が囲う。


「何度やっても無駄だ、リバース」


 ただ、滞在時間は短く、すぐにその姿は見えなくなる。

 それを見て、つくづくロマンには相性が悪い相手だ。などと、心の片隅で思いながらも、俺は次の行動を起こしていた。

『逆転』を使わせた直後、この僅かな隙で今まで消された分の仕返しを。


「ライトニング!」


「ーーっ!」


 その瞬間、バースは咄嗟に受け止めていた拳と足を放そうとしたが遅かった。

 俺の体に発生した電気は既にバースの体にも伝わっている。


「つっ!」


 だが、惜しむらくはその威力。

 エルのようなものだったなら、今頃、一回戦のように痺れて身動き停止だろうに、俺のは静電気レベル。一瞬バチっとするだけだ。そう、一瞬だけ。


「くそっ。地味に痛ぇな、これ」


 直撃を与えたバースには、もうライトニングのダメージは残っていない。

 一番直撃であったろう拳を受け止めた右手も、数回揺らして元通りのようだ。


「だが、数回受けて分かったこともある。お前、これが最大出力だな?」


 正確には最大出力ではない。その気になればもう少し威力は上げれるが、それは今の威力に蚊が刺す痛みを増やした程度のもの。ただ、これは魔力消費に合わない(消費しすぎる割に威力がほとんど変化しない)ため、使う価値はゼロに等しい。いや、ゼロだろう。

 だから、バースの言っていることはほとんど合っていると言える。


「ったく、こんな手品レベルで俺を倒そうなんて呆れるぜ。それに、あの妖精エルフ。撃てる場面はいくつかあったのに撃たなかった。フードのやつも攻撃というよりは撹乱って感じだしな。てめぇ、一体何を狙ってやがる?」


 鋭い視線が俺の体を突き刺した。

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