「バトルロイヤルですか?」20
二人で、こちらへ向かってくるバースの正面に立つ。
「また何かあんのか? いいぜ、どっからでも来いよ」
笑みを浮かべてバースは言った。
俺とロマンはその言葉が合図だったかのように、直後、攻撃を始める。
ロマンは大量の怪物を召喚し、俺は、
「リバース。⋯⋯っ!」
消される前に怪物達に紛れてバースの近くへ。
互いの距離は短かったため、既にバースは目の前。俺の拳ももう放たれていた。
「ちぃっ!」
その拳を掴むようにしてバースの腕が伸びる。
それを確認した俺は、「ライトニング」と唱えた。
その瞬間、体に電気が走るのを感じる。
が、
「甘ぇ! リバース!」
まもなくして、その感覚は失われた。
そのままあっけなく拳は捕まれてしまう。
今度はそこから上段蹴りを放つが、これも防がれる。
「残念だったなぁ」
にやりと笑ってみせるバース。
その周りをすぐさま怪物達が囲う。
「何度やっても無駄だ、リバース」
ただ、滞在時間は短く、すぐにその姿は見えなくなる。
それを見て、つくづくロマンには相性が悪い相手だ。などと、心の片隅で思いながらも、俺は次の行動を起こしていた。
『逆転』を使わせた直後、この僅かな隙で今まで消された分の仕返しを。
「ライトニング!」
「ーーっ!」
その瞬間、バースは咄嗟に受け止めていた拳と足を放そうとしたが遅かった。
俺の体に発生した電気は既にバースの体にも伝わっている。
「つっ!」
だが、惜しむらくはその威力。
エルのようなものだったなら、今頃、一回戦のように痺れて身動き停止だろうに、俺のは静電気レベル。一瞬バチっとするだけだ。そう、一瞬だけ。
「くそっ。地味に痛ぇな、これ」
直撃を与えたバースには、もうライトニングのダメージは残っていない。
一番直撃であったろう拳を受け止めた右手も、数回揺らして元通りのようだ。
「だが、数回受けて分かったこともある。お前、これが最大出力だな?」
正確には最大出力ではない。その気になればもう少し威力は上げれるが、それは今の威力に蚊が刺す痛みを増やした程度のもの。ただ、これは魔力消費に合わない(消費しすぎる割に威力がほとんど変化しない)ため、使う価値はゼロに等しい。いや、ゼロだろう。
だから、バースの言っていることはほとんど合っていると言える。
「ったく、こんな手品レベルで俺を倒そうなんて呆れるぜ。それに、あの妖精。撃てる場面はいくつかあったのに撃たなかった。フードのやつも攻撃というよりは撹乱って感じだしな。てめぇ、一体何を狙ってやがる?」
鋭い視線が俺の体を突き刺した。




