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スプーンで世界はすくえますか?  作者: 木林森
第一章 イスト編
32/55

「バトルロイヤルですか?」13

「はぁっ!」


 ロマンが杖を構えると、その周りにはあの怪物が五体現れ、そのうちの三体がバースに向かって襲いかかる。


「だから、それは効かねえって言ってんだろ!」


「いえ、その三体は囮です」


「あぁ?」


 残りの二体は何をしていたかというと、ロマンの前で腰を落とし、互いに手のひらを上に向け、手を組んでいる。

 あの構えは多分、


「いきますよエルさん」


「ええ。って、きゃあ!」


 エルをお姫様抱っこしたロマンは、勢いよく二体の怪物に向かって走り出す。


「なにがしてぇんだ⋯⋯」


 その後、怪物達の手のひらの上に片足で飛び乗ると、二体の怪物はそのタイミングと同時に、組んでいた手を思いっきり上に持ち上げた。


「リバース!」


 バースのその声とともに五体の怪物は一瞬で消え去る。

 が、すでにロマンのやりたいことは遂行されていた。

 先程の構えは二段ジャンプの構えとでもいうべきだろうか。

 ロマンはエルを抱えたまま、バースのはるか頭上を通過する。


「今です、エルさん。あの雷撃を」


「え、ええ、分かったわ! ライトニング!」


「ちっ、そういうことか!」


 頭上から繰り出されるライトニング。

 しかし、それは例外なくバースには当たることはない。

 はずだったのだが、バースはその雷撃を、今までとは違って回避するのだった。

 バースのいた辺りにはその後無数の雷撃が降りかかる。

 が、俺の見立てでは、おそらく今回のライトニングは立ったままでも当たらなかったように思えた。


 高く跳んだロマン達はというと、バースにライトニングを放ってから、少しずつ降下して、俺のいる場所へと降り立つ。

 地面に降り立った後、ロマンはエルを地面に下ろした。


「もう、大丈夫なのか?」


「はい、エルさんが回復魔法をかけてくださいましたから」


「そうか、回復魔法を⋯⋯ってそうだった! エル、お前、何で俺には使ってくれないんだ!」


「あの時は色々あって頭が混乱しちゃって⋯⋯」


「はぁ⋯⋯お前は絶対サポートには向かないタイプだな」


「うるさいわね! ほら、これでいいでしょ! ヒール!」


 俺の体を微かな白い光が包み込む。

 そして、その光が薄まっていくと共に俺の痛みも、おさまった。


「⋯⋯どう?」


「ああ、エルにしちゃ上出来だ」


「ちょっと、それってどういう⋯⋯」


「そんなことよりお話が」


「ちょっと!」


「ああ、そうだな。でも、エルはともかく、俺の痛みもそんなことで済まされちゃ、少し悲しい気もするな」


「ちょっとってば!」


「それで、話ってのは俺からもあるんだが⋯⋯もしかして同じか?」


「今までの戦いから違和感を感じているのなら、同じだと思います」


「ふっ、どうやら同じみたいだ」


「ねぇ、ちょっとってば!!」


「じゃあ始めようぜ。あいつの⋯⋯バースの種明かしをな」

次回、種明かし回です。

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