「バトルロイヤルですか?」8
笑みを浮かべてこちらへ向かってくるバース。
ロマンの攻撃が効かない? いや、そんなはずは⋯⋯
「もう一回だロマン!」
「わかりました」
そう言って再び杖を構えるロマン。
そして、バースの足元からはまた手が現れた。が、
「リバース」
バースがそう言うとまたもや手は消えてしまった。
「くそっ! エル!」
「任せて! フレイム!」
放たれるフレイム。だが、バースは進路を変えることなくまっすぐこちらへ歩いてくる。
「当たらねぇもん撃って何がしてぇんだ?」
その言葉通り、エルのフレイムは全く違う方向へ逸れる。
見破られていたのか。エルのコントロール能力を。
「もう一回だ! 次は当てろよ!」
「分かってるわよもう!」
再び放たれるフレイム。
そして、なんと今度は真っ直ぐバースの方へ向かっていった。
「やった! やったわユウ!」
「ああ、そうだな! これであいつも⋯⋯」
「⋯⋯リバース」
が、真っ直ぐ向かっていたフレイムはバースに当たる直前に進路を変えた。
「なっ!?」
突然の出来事に俺はすかさずエルの方を見る。
「ち、違うわよ! 私じゃない!」
そんな中、フレイムを回避したバースが向かってくる。
「へっ、全部が全部当たらねぇってわけじゃないみてぇだな」
その言葉に俺は違和感を覚えた。
全部が全部当たらないわけではない?
ということは今のは当たっていた? じゃあ、なんで⋯⋯
「ユウ!」
「何ぼーっとしてやがんだおらぁ!」
「⋯⋯っ!」
しまった、つい考え事に集中していて⋯⋯
俺は咄嗟に、殴りかかってきたバースの拳を避けた。
「ちっ!」
あっぶねぇ。持ち前の身体能力があって助かったな。
なんて考えてる場合じゃない。バースはもう目の前だ。
しかし、俺達の攻撃はことごとくこいつに通用してない。
これは非常にまずい状況だ。こんな時はまず⋯⋯
「もう一回攻撃だ! 一旦距離を取るぞ!!」
「えっ、でも⋯⋯」
横からエルが口を開く。
「当たらなくたっていい! とりあえず牽制するんだ! ロマンも頼んだぞ!」
「わかりました」
俺達は後方へ下がりながら牽制を開始する。
その最中、うちの一番の戦力、ロマンも攻撃するのだが、
「ワンパターンじゃいい加減飽きてくるぞ? リバース!」
やはり通用しない。
だが、そんなことは百も承知だ。
俺がやろうとしていたのは、
「おいエル!」
「なによ!」
ロマンが牽制している僅かな時間で、俺はエルに一つの作戦を伝えた。
「え! でもそれって⋯⋯」
「大丈夫だ! お前ならできる!」
「でも⋯⋯」
「自分を信じろ! 俺はお前を信じてるから言ったんだ!」
「ユウ⋯⋯わかったわ!」
「よし、頼んだぞ!」
後ろでは相変わらずロマンが時間を稼いでいた。
「どうだロマン」
「駄目です。何をやっても全く通じません」
「そうか、なら次は⋯⋯」
次いで、ロマンにも作戦を伝える。
「⋯⋯わかりました」
「おいおい! こんなもんかよお前はよぉ!」
そんな中、相変わらずバースは歩いてこちらへと向かってくる。
さっきから一度も走っていないのは、きっと、余裕の表れだろう。
俺の方が強い。という強者の余裕。
だが、そんな余裕がいつまで続くかな?
ここからはーーーー俺達の反撃だ!
「じゃあ⋯⋯いくぞ二人とも!」
「はい」
「ええ!」




