悲劇のBurgos(ブルゴス)
・Juana I(1世) de Castilla=Juana de Aragon y Castilla→本作の主人公。レオン＝カスティーリャ女王。レオン＝カスティーリャ女王イサベル1世とアラゴン・マヨルカ・バレンシア・ナポリ・シチリア国王フェルナンド2世の第3子次女。ブルゴーニュ公フィリップ4世と婚姻して多数の子を儲けた。本来は王位を継承する予定は無かったが、兄姉とそれぞれの子が夭逝・死産した為に両親が持つ称号や所領をほぼ全て引き継ぐ事になった。母イサベル1世の死によってカスティーリャ王位を継承した。
・Felipe IV(4世) de Borgoña=Felipe de Austia y Borgoña→主人公の夫で本作のヒーロー。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と最初の后でブルゴーニュ女公マリーの長子。ブルゴーニュ公国の君主。
落馬が元で死産・死去した母の後を継ぎ、3歳でブルゴーニュ公に即位した。母の共同統治者だった父はブルゴーニュ国内での立場をなくして追放されたので、成人するまで貴族による寵臣政治を敷いていた。
貴族にフランス寄りの教育を施された所為で、周囲の思惑とは裏腹にフランス贔屓。
美男だが女癖が悪く、真面目な妻を精神不安定に追い込んでしまう。
今回で死亡フラグが立った人物。
・Francisco Jiménez de Cisneros
→トレド大司教。元の名はゴンサーロだったが、フランシスコ会に入るのに伴って改名した。ストイックさを買われて、カトリック女王イサベル1世の聴罪司祭を務めた。イサベル1世の死後は新たに即位したフアナ1世の代役を務める程、王家から信頼を寄せられている。
Burgosでフェリペが倒れてからというもの、フアナは彼を献身的に看護した。執務や議会の招集が終わると必ずフェリペの元に来た。
いくら美男で、機智に富んだ話術を持っていて、女にモテても、病に倒れて苦しんでいては周囲の女たちがチヤホヤしに寄ってくる筈もなく、政治どころではない状態で政治的に対立する事もなくなった。
フアナはそんなフェリペが何故だかしおらしく可愛く見えた。
(フェリペが初めて自分だけを見てくれる)
フアナは政務の合間を縫って、時には議会を早抜けして甲斐甲斐しく世話をした。
ところが、下痢と発熱でまともに食事もできず、フェリペは次第に痩せ衰えていった。
更に床から離れられないので、風呂にも入れず、腹の痛みでのたうちまわった時の傷跡は化膿していた。
フアナは政務を早めに切り上げ、議会をすっぽかして(議会は女王不在でシスネロス大司教を代わりに立ち会わせて開かれた)甲斐甲斐しく世話をした。食べ物を摂れないフェリペに安全と分かっている王宮の水を飲ませ、身体を拭き(本来は侍女の仕事)、溜まっている膿まで吸い出した。
ブルゴーニュ・カスティーリャ双方の家臣・侍女たちが膿を吸い出すフアナを見て唖然とした。(女王陛下は狂ってしまわれたのか)
しかしフアナの看護の甲斐なく1506年秋、残暑厳しい中でフェリペは亡くなった。
フアナの中で何かがプツリと切れた。
次回予告
フアナはフェリペの棺を母イサベル1世の棺が安置されているGranadaの修道院まで運ぶよう命じるが、その間に奇妙な行動が目立つ。
元々精神不安定だった彼女は次第に狂気を帯びてくる。
そんな彼女を虎視眈々と陥れる存在が…
