表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂女王フアナ〜我、女王〜  作者: ところがどっこい
4/15

幸せの終わり(不幸せの始まり)

Jeanne(ジャンヌ) d'Aragon(ダラゴン)Juana(フアナ) de() Aragon(アラゴン)→本作の主人公。イスパニア王女でブルゴーニュ公妃。レオン=カスティーリャ女王イサベル1世とアラゴン・マヨルカ・バレンシア・シチリア国王フェルナンド2世の第3子次女として生まれた。対フランス同盟の一貫として、ブルゴーニュ公フィリップ4世に嫁いだ。


Philippe(フィリップ) IV(4世) de() Bourgogne(ブルゴーニュ)→主人公の夫で本作のヒーロー(?)。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と最初の后でブルゴーニュ女公マリーの長子。ブルゴーニュ公国の君主。

落馬が元で死産・死去した母の後を継ぎ、3歳でブルゴーニュ公に即位した。母の共同統治者だった父はブルゴーニュ国内での立場をなくして追放されたので、成人するまで貴族による寵臣政治を敷いていた。

貴族にフランス寄りの教育を施された所為で、周囲の思惑とは裏腹にフランス贔屓。美男だが、女好き。


Juan(フアン) de() Aragon(アラゴン) y() Castilla(カスティーリャ)→主人公であるJuana(フアナ)の年子の兄でカスティーリャ王太子(アストゥリアス公)兼アラゴン王太子(ジローナ公)。両親(両王)の1人息子として生まれたが、生まれつき身体が弱い。


Margarita(マルガリータ) de() Austria(アウストリア)=Marguerite(マルグリット) d'Autriche(ドートリッシュ)→本作では主人公の義理の姉妹(お互いに夫の妹・兄の妻)。

神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と最初の后でブルゴーニュ女公マリーの次子。母の死・父の失脚を経て半ば拉致される形でフランス王太子シャルル(後のフランス国王シャルル8世)に嫁ぐ。ところがフランスは国王シャルル8世と父の再婚相手だったブルターニュ女公アンヌを強制的に結婚させてしまう。この為マルグリットとの婚姻は無効にされたが、フランス側が持参金返還を渋って中々帰国できなかった。この屈辱的な経験から兄とは違って父娘共々フランスを憎むようになった。その後対フランス同盟の一貫としてイスパニアの王太子フアンと結婚する。

故国では珍しい容貌に惹かれ合ったジャンヌとフィリップは直ぐに仲良くなった。そしてブルゴーニュ公国の豊かさを物語るかのような豪華な結婚式が執り行われた。

そして初夜についてはフィリップが女性慣れしていたからなのか、男女関係はフィリップが初心(うぶ)なジャンヌをリードし、滞りなく終えた。


ジャンヌはふと隣で眠る夫の整った寝顔を盗み見た。

蝋燭の灯りに反射するそのブロンドの髪をそーっとかき上げ、そしてまた戻した。


ヘントで挙式し晴れてブルゴーニュ公妃となったジャンヌは、自分と同じように海路で嫁ぐ事になった義妹マルグリット公女の身を心配した。

マルグリット改めマルガリータは嵐に巻き込まれたが、イスパニアに無事到着しBurgos(ブルゴス)で挙式したという報せが後日ヘントに届いた。

両王始めイスパニアの人々は病弱な王太子フアンに健康で美人で賢い妃が出来た事に大層喜んでいるに違いない。


フアンとマルガリータの夫婦仲も円満のようだ。当時の身分の高い男性にしては珍しくフアンは妻以外の女性と性交渉した事がなかった。まあ要するに童貞だったわけだ。

きっと初夜はお妃教育をみっちり叩き込まれたマルガリータがリードしたのだろうと、ジャンヌは思った。


1年違いで結婚した2組のカップルはほぼ同じ時期に懐妊した。女好きと言われているフィリップも今は浮気していないようだ。

さらにフアンとジャンヌ(フアナ)の姉でポルトガル王太子アフォンソの未亡人だったイサベル王女がポルトガル新国王マヌエル1世(前夫の叔父)に再嫁する事が決まった。


おめでたい事が続くジャンヌの身辺。

全てが順調かのように思えた。



1497年秋、姉イサベル王女のお祝いにポルトガルへ向かう途上、王太子フアンは結核と思しき病に倒れ、Salamanca(サラマンカ)で急死した。


「父上、私はもう無理です。妻と子を頼みます。」


自分の無念さを伝え、父フェルナンドに看取られて亡くなった。19歳の若さだった。


不幸は更に続く。


翌年、未亡人のマルガリータ妃は第1子を死産した。

死産した子は祖父母になるはずだった両王(特にフェルナンド国王)が強く望んでいた男の子だった。


時を同じくして、ヘントにいたジャンヌは無事第1子を出産した。元気な女の子だ。

女の子は曽祖母の神聖ローマ皇后エレオノーレ・フォン・ポルトゥガルのフランス読みで、エレオノールと名付けられた。第1子に恵まれたフィリップ・ジャンヌ夫妻は幸せいっぱいだ。


だが、この時からフィリップの女癖の悪さが徐々に出てくるようになった。

ジャンヌが床上げしても(おさま)らず、彼女は1人で夜を明かす事が多くなった。

お産の間に彼の心が既に別の女性に移ったことは明白だった。

次回予告


フアンとマルガリータのお腹の中にいた胎児が死亡した事で、王位継承権はポルトガルに再嫁した姉イサベル王女に回ってくる。


だが、…


フアナ(フランス読みではジャンヌ)とその周囲を取り巻く者たち、それぞれの運命の歯車が動き出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ