表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂女王フアナ〜我、女王〜  作者: ところがどっこい
10/15

放浪

Juana(フアナ) la() Loca(ロカ)=Juana(フアナ) de() Aragon(アラゴン) y() Castilla(カスティーリャ)→本作の主人公。レオン=カスティーリャ女王。レオン=カスティーリャ女王イサベル1世とアラゴン・マヨルカ・バレンシア・ナポリ・シチリア国王フェルナンド2世の第3子次女。ブルゴーニュ公フィリップ4世と婚姻して6人の子を儲けた。本来は王位を継承する予定は無かったが、兄姉とそれぞれの子が夭逝・死産した為に両親が持つ称号や所領をほぼ全て引き継ぐ事になった。母イサベル1世の死によってカスティーリャ王位を継承した。


Felipe(フェリペ) el(エル) Hermoso(エルモーソ)=Felipe(フェリペ) de() Austia(アウストリア) y() Borgoña(ボルゴーニャ)→主人公の夫で本作のヒーロー。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と最初の后でブルゴーニュ女公マリーの長子。ブルゴーニュ公国の君主。

落馬が元で死産・死去した母の後を継ぎ、3歳でブルゴーニュ公に即位した。母の共同統治者だった父はブルゴーニュ国内での立場をなくして追放されたので、成人するまで貴族による寵臣政治を敷いていた。

貴族にフランス寄りの教育を施された所為で、周囲の思惑とは裏腹にフランス贔屓。身勝手な行動や政治的な野心が元で屢々(しばしば)妻や官僚達と対立していたが、志半ばで亡くなった。


Fernando(フェルナンド) el(エル) Católico(カトリコ)→主人公であるJuanaフアナの父でアラゴン・マヨルカ・バレンシア・シチリアの国王。バルセロナ伯爵でもある。

妻イサベルは同じ家の出身で又従姉に当たる。

妻と共にGranadaグラナダ王国制圧に力を注ぎ、レコンキスタを完了させる。更にフランスと対立してナポリを、妻の死後はナバラを征服した。1496年にローマ教皇アレクサンデル6世によって妻と共にカトリック両王(Reyes Católicos)の称号を賜った。1503年に妻イサベルが崩御したのに伴って共治王の地位を退き、娘フアナがカスティーリャに到着して即位するまでは摂政を務めた。

異母姉ナバラ女王レオノール1世の孫ヘルマーナを後妻に迎えてフアン王子を儲けたが、フアン王子は幼くして亡くなった。

男性優位の時代で息子や内孫(死産)に先立たれ、王位が他家に乗っ取られる事に悩んでいる(いわゆる後継者問題)。

娘フアナ1世が政務を執れる状態ではないのを受けて再びカスティーリャの摂政を務めた。


Francisco(フランシスコ) Jiménez(ヒメネス) de() Cisneros(シスネロス)

→トレド大司教。元の名はゴンサーロだったが、フランシスコ会に入るのに伴って改名した。ストイックさを買われて、カトリック女王イサベル1世の聴罪司祭を務めた。イサベル1世の死後は新たに即位したフアナ1世の代役を務める程、王家から信頼を寄せられている。

フェリペが亡くなった時、フアナは懐妊していた。

この頃から彼女の言動は狂気を帯び出した。


フェリペの葬儀は亡くなってから数日後に行われた。

そしてカスティーリャ王国内の修道院に埋葬する手筈だった。


だが、フアナは埋葬を中々承諾しなかった。

オーストリアに遺体を取られると思っていたのか、フェリペの父で神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の使者や妹でネーデルラント総督マルガレーテ・フォン・エスターライヒの使者がお悔やみの挨拶に来ているにも関わらず使者の応対(謁見)もせずに棺の蓋を開けさせて遺体に接吻したのだ。


秋になったとはいえ残暑が厳しい9月だ。

ただでさえ遺体の防腐処理が充分ではなかったこの時代、埋葬を速やかに行われず、尚且つ高い頻度で棺の蓋を開けると著しく進んだ遺体の腐敗臭がせり上がってくるのは当然の事だ。


だが、既にフアナはそれすら感じられなくなる程に無気力となっていた。夫フェリペの死は彼女の心に大きな穴を開けたのだ。カスティーリャ国内にいる第4子フェルナンドは同名の祖父フェルナンドが養育し、それ以外の子どもは叔母マルガレーテが養育していた。

手元に残ったのはシスネロス大司教に数々の代役を押しつけたカスティーリャとフェリペの忘れ形見である胎児だけだった。


フアナは自分の紋章がデザインされた女王のドレスから修道女に似た黒衣を纏った。

そして決まって夜中に棺に伴ってカスティーリャの荒野を放浪した。

先に亡くなった配偶者の棺に同伴するという事態は一介の王族ですら異例の事だが、国王となれば尚更だ。

ハプスブルク家が最早遺体となった彼を欲している筈が無いのに夜中に共の者を連れて、当てもなく歩くのだった。


征服したばかりのナバラに滞在していた父王フェルナンドが駆けつけてフアナを説得しようにも、彼女は頑として応じない構えだった。

(娘より若い妃を迎えたお父さまに何が分かると言うの!)


其処からフアナはフェリペの棺に付いてカスティーリャ中を彷徨い旅し続けた。

女王不在のカスティーリャは女王の父フェルナンドとシスネロス大司教が代わりに治めた。だが民を混乱させない為に表向きはフアナが国内にいてフェルナンドとシスネロスを実質的な摂政の地位に就け、政務を執っているように見せかけた。


2年後に女王フアナは王宮に帰還した。

だが、これによってカスティーリャは更に混乱を極めるのであった。

次回予告


フアナはGranada(グラナダ)から帰還し、Palencia(パレンシア)Torquemada(トルケマーダ)で末子を出産した。

だが、既にカスティーリャは彼女の物ではなくなっていた。


そして…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ