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ポイント入ってるもの

助けた少女は魔女でした

作者: 末吉

ジャンル不安定により変わることがあるかと思いますが、ご了承ください。


あと、『続編書きやがれテメェ』とか思われている皆様、すいません。

 ここは特に科学が発展したわけでもなく、歴史が中二病をこじらせて魔法が発達した世界でもない。

 極々平凡で、何の変化もなく、世界中のどこかで紛争やら問題が発生しその対応に追われているという、ファンタジーどころかSFでさえ舞台に使えないこの世界。


 そんな世界の日本という国ののどかな田舎道を散歩していたところ――――僕は出会った。


 黒い三角帽子をかぶり、箒で飛んでいた、昔のヨーロッパでイメージされていたであろう『魔女』と。
















「おーーい亮太朗ぉ!」

「なにぃーーーー?」


 命芽吹く四月。朝日が昇っていない中見える咲き始めた山桜に『花見の季節だなぁ』と思いながら学校へ向かう途中、僕こと二宮亮太朗は、通学路の脇で畑の世話をしている元気なおじいさん――源蔵さんに呼び止められた。


「お前ももう高校生かー、頑張れよぉ!」

「分かってるよーー!」


 そんなあいさつを交わしながら、僕は学校へ向かうために再び歩み始めた。


 みなさん、はじめまして。僕の名前は二宮亮太朗と申します。

 僕は生まれも育ちもここ――神谷村というところです。


 神谷村というのは、ここ数十年で合併されて別な名前になっているそうですが、皆さん愛着があるようでそう呼んでいます。

 人口は二百人ほど。そのうちの子供が僕と他数人ぐらいしかいないので、大多数の人が大人。しかも、そのほとんどが六十代以上の方々。

 少子高齢化と言われていますが、まさしくその通りですね。

 話を戻します。この村に家は四十棟ぐらいありますが、村の敷地のほとんどが畑ですので秋になると黄金色の絨毯や野菜を収穫する光景、猟をしてきたのか猪を持ち帰ってくる姿が見れるんです。

 それに、山に囲まれているので春は山桜、夏はセミの合唱、秋は紅葉、冬は雪景色が見れるので面白いです。

 ですが、この村には学校がありません。それに、バスが一日二本しか通っておらず、さらにはお金などの金銭感覚が少し疎いです。

 ……一応、水道や電気、ガスといったライフラインは通っているんですけど。

 あと、郵便屋さんがバイクで荷物とか送ったり届けてくれたりするんですけど。

 一応診療所もあるんですけど。

 基本的に自給自足生活をしている村の人たちは水道だったら川の水、ガスだったら焚火、ご飯を炊くなら釜戸といった考えですので、ライフラインの意味がありません。

 郵便屋さんなんて月に二度来るかどうか。診療所だってたまに病気になった人が来るぐらいですので、学校なんてありません。

 ですので、僕たち子どもは小・中と村を降りて通っていました。

 高校にもなると僕だけ。金銭上の理由やほかの理由で入学できなかった彼らに代わり、僕が行くことになりました。

 まぁお金はありましたし、おじいちゃんたちも嬉しそうでしたので構わないんですが。

 でも受かった高校が少し遠いんですよね。同じ市内にあるんですけど。


 公立仙達高校。偏差値の関係上一番近かったのがここなので文句は言えないのですが、片道四時間ぐらいかかります(前計ったときに驚きました)。

 それだったら一人暮らし……したかったのですが、いくらお金があるとはいえそこは村の中で。


 市内の家賃などを見たらどう考えても払えず。

 かといってお金を借りても返すことができないだろうから考えず。

 奨学金制度というのがあったけど、審査で落ちるだろうから止め。


 最終的に家から通うことになった、ということです。


 さて。舗装されていない道を下っています。

 大変なんですよね、この道。全長一キロなうえに砂利が多いという、足に負担がかかる道ですので。

 そのあとも大変なんですよね。学校まで村の入り口から二十キロぐらいあります。これらも徒歩ですので、恐ろしくつらいです。


 バスなんて使えませんよ。教材代なんかで全部なくなってしまうんですから。


 こんな苦労してなんで高校入学したんでしょう、僕。今更ながらに首を傾げてしまいますが、「きっとかわいい子がいるんだろうなぁ」という同級生の希望を叶えるため、そして僕自身のけじめのためなんだと考えたら、すんなりと納得できました。


 朝日が昇り始めたころ。ようやく太陽の光が木洩れ日となって地面に当たり始めて嬉しいんですが。


「中腹あたりから木々の茂りがなくなり始めるので、あってもなくても変わらないんですよね」


 何度も確かめているのでよくわかっています。本当、不便ですね。


 不便というのは、生い茂っているのが村から出て中腹までですので早朝は日のあたりがなくて暗い、という意味です。

 なれればそうでもないのですが、子供の頃はびくびくしながら歩いたものです。


 トコトコと歩いていくこと約一時間。ようやく麓まで来れました。

 ここからまた歩くだけ……なのですが、朝食をここらのベンチで食べます。

 さすがに朝四時から朝食を食べたら昼までもちません。まぁ歩いていくので、結局学校に着いたらお腹が空いてしまうでしょうが。


 朝食の中身は笹の葉に包まれたおにぎり二個にたくあんのみ。

 お昼も似たようなものです。


 まぁ作ったの僕なんですけどね。さすがにおじいちゃんたちを起こす気にはなれません。


「いただきます」


 笹の葉の弁当箱を膝に置いて両手を合わせてそう言い、僕は一つ目のおにぎりをぱくつきました。


 ……形は綺麗ではありませんが、相変わらずおいしいです。

 そんなことを考えながら一つ目を食べ終え二つ目へ取り掛かろうとしたら、一台の車、しかもやけに長い車が僕の前で止まりました。

 頬張ろうとしていたので動きが止まってしまいましたが、入学式の時にもこのようなことがあったのを思い出しましたので、僕は構わず頬張ることにしました。……今度は塩味が効きすぎてました。


 おじいちゃんたちのように上手く出来ないなぁと思いつつたくあんを食べていると、


「あらぁ? どこかの誰かかと思ったら山奥に住んでいらっしゃる田舎人ではありませんか。こんなところで朝食だなんて、さすが田舎人は違いますわねー」


 僕の目の前に外国人と見間違えるほど日本人離れした綺麗な女の人が立っていて、そんなことを言ってきました。

 この人の名前は…………そうでした。エレナ=大楽=クラシリアさんです。


 学校は違うのですが、ごくまれにこんな風に出会います。

 最初の出合い方の印象が残っていたので何とか覚えていましたが、人の名前を覚えるのは苦労します。村より人が多いので。


「おはようございます、クラシリアさん。今日は学校ではなく、お仕事ですか? 大変ですね。頑張ってください」

「えぇ。私にかかればプロジェクトの一つや二つちょちょいのちょ……なんてことは関係ないですわ! 今日は普通に学校に行きますのよ」


 ちなみにクラシリアさん、すごいお金持ちの人。そして、自分から会社を手伝っているんだって。親孝行な娘さんです。

 ですので仕事に行く時間帯ぐらいしかこうして会う機会などないのですが……今日は普通に学校に行くみたいですね。どうしたのでしょう?


 さすがに不思議に思ったので、僕は失礼ながら質問してみます。


「? それだったら僕と鉢合わせする時間に会いませんよね? 何かあるんですか?」


 そう聞いただけなのに、なぜかクラシリアさんは顔を赤くして視線をそらし、ごにょごにょと何か言いました。

 少しだけ聞いてみたい気がしましたが詮索するのはかわいそうだと思った僕は、「御馳走様」と両手を合わせていい、笹の葉を丁寧に丸めて学生服のポケットに入れてから立ち上がりました。


 その時にはすでに戻っていたクラシリアさん。僕のその行動を見るとどうしたいのか察したのか、「よろしければ乗ってかまいませんわよ」と自分が乗っていた車を指さしながら提案してきました。

 僕としてはありがたい申し出なのですが、学校が別々なのがかえって申し訳なく思えるので丁重にお断りをし、僕はさっさと学校へ向かうため歩き始めました。


 後ろでなぜか残念そうにしているクラシリアさんを見たのですが……悪いことをしましたかね?















 午前八時ごろ。携帯電話というすごく便利な機器を持ち合わせていないし、腕時計なんていう高級品も持ち合わせていない僕は、学校に着いたときに校門から見える大きな時計で時間を知ります。


 それにしても今回は早かった気がします。これもクラシリアさんに出会ったおかげなのでしょうか?


 まぁそれはともかく。僕の学校での一日はこうして……


「よぉ二宮! 元気か!?」

「あの、桐谷君? いつも肩を組むのはやめてくれませんか?」

「別にいいだろ? ……ていうか、その口調本当に昔っぽいんだよなぁ。直したらどうだ? お前割とモテるタイプなんだからよ」


 こんな風に始まります。


 桐谷道也君。入学式に知り合った人で、同じクラスになった縁でこうして仲良くなりました。明るく元気な人で、クラスのムードメーカーみたいな人です。結構告白されるらしいです。

 ちなみに。僕が遠くから来ているのは皆さん知っていますが、僕がどこからきているのか知っている人は先生方ぐらいしかいません。

 理由は、『田舎暮らしという理由で差別させたくないから』だそうです。

 なので僕は出身地を正確に言っていません。合併したので関係ないのでしょうが、言っていません。


「僕がモテるなんて誰が言ったんですか? 告白されたことなど一度もありませんよ?」

「マジでかっ!? う、嘘だろっ!? お前、自分の顔鏡でよく見てもう一度そのセリフ言ってみろ!」

「毎日顔を洗うのでその時に鏡を見ますが……別段一般人みたいな顔ですよ?」

「……そうだな! よく見りゃ平凡だよ、お前は!!」


 ??? なぜこうも投げやりで返ってくるのかわかりません。桐谷君は何を荒れているのでしょうか。


「大丈夫ですか?」

「お前のその変わらない態度はいったいなんなんだーー!!」


 声をかけたら絶叫されてしまいました。そんなにまずかったのでしょうか?

 ここは刺激したら大変なことになりそうでしたので、僕はおとなしく校舎へ向かいました。




「あ、おはよう二宮君! いつも一緒に来る道也は?」

「おはようございます、浪江さん。桐谷君は……あそこです」

「? なんか鬼の形相で校舎へ向かってるけど? 何かした、二宮君?」

「いえ、僕自身覚えがないのですが……」


 席に着いた僕を待っていたのか挨拶をしてきたのは、浪江留美さん。活発で元気な女の人で、桐谷君とは幼馴染だそうです。

 彼女を見ていると、村にいる京子ちゃんを思い出します。男勝りの活発さで、いつも僕たちと一緒に遊びまわっていたのはいい思い出です。

 そんな風に昔のことを思い出していたら、乱暴に扉が開けられ、その開けた張本人が息を荒げながら近づいてきました。


 僕はそれに少し戦きながら挨拶しました。


「おはようございます、桐谷君」

「テメェ二宮! 勝手に教室行くから赤っ恥かいちまったじゃねぇか!!」

「それはすいません」

「謝らなくていいんじゃないかな? いつも通りスルーされただけでしょ?」

「うっせ留美!」

「朝からいつも通りだな、お前たち」

「あ、竜崎さん。おはようございます」

「うむおはよう」


 そう言って腕を組む女の人――竜崎カレンさん。

 とてもきれいな人で、家が武家という古風な人です。武士道精神を体現しています。

 剣道部に所属しているそうで、女子のファンが多いとのこと。苦労しているそうです。


 竜崎さんの登場で冷静になったのか、桐谷君はため息をついてからこう言いました。


「……本当、天然だよな、お前」

「僕、ですか?」


 思わず首を傾げてしまいます。

 確かに自然の中で育っていますので天然でしょうけど……ニュアンスが違う気がするのは気のせいでしょうか?

 そういえば村の人たちからも似たようなことを言われた気がしなくもないですが……


「僕は別に変っていませんよ?」


 僕がそう言うと、桐谷君はなぜか額に手を当て、浪江さんは苦笑し、竜崎さんは「気付かないものなのか……?」と呟いていました。

 はて? なんて思っていますと先生がいらっしゃったので、皆さん各々の席に戻り、僕は授業の準備をし始めました。















 お昼休み。購買や学食を利用する人が多いこの学校ですが、お金のない僕にとっては一度でいいから行ってみたい場所であり、これからも利用する機会がないだろう的な場所です。

 はっきり言って早弁したい衝動にかられながらも我慢してここまで待ちましたので、僕の行動は迅速です。


 ヒュッ、「いただきます」 パクッ、ムシャムシャムシャ……


 授業が終わった瞬間に鞄から朝食と同じ笹の葉弁当箱をほどいて、おにぎりを一個食べ始めます。

 授業の後のご飯は畑仕事がひと段落した後と同じでおいしいです。でも形は綺麗にいかないんですよね……ハァ。


「相変わらず食べるの速いな、お前」

「ていうか、お前の家どんだけ金ないんだよ」


 少し気落ちしながら食べていると、桐谷君と中池君が弁当箱を持って僕の席の近くに来ました。


 中池君は僕と同じ普通でおとなしい人ですが、野球部で四番を張っているそうです。すごいですね。

 そんな彼らの弁当箱は僕と違い豪華。ここまで来ると時代の壁を感じます。


 僕は二個目のおにぎりを食べ始めながら、弁当を食べ始めた彼らを見て「いいですねぇ」と呟いてしまいました。


「本当のんびりしてるよな、お前」

「だからモテるんじゃないか? ほんのり癒し系っぽく見えるから」

「ケッ」

「御馳走様でした」


 ふぅ。お腹一杯……なわけありませんが、多少膨れたのであとは寝ましょう。午後の授業もありますし。後、学校行くのまでに疲れましたし。


「というわけで僕は寝ます。授業が始まったら起こしてください」

「何がというわけだよ。って、本当に寝るなよ!」

「しかし気持ちよく寝るなぁ、二宮の奴。これ見てると眠くなりそうだ」

「それは分からなくもないが、なんか納得いかん」

「お前だってモテるんだろうが。嫉妬するなよ、おい」

「うるせぇ! 高校入ったらモテると思ったのに邪魔された俺の気持ちがわかってたまるかぁ!」

「「「「静かに!!」」」」

「…………はい」




















 学校が終わりました。何とか起こしてもらえましたが、なぜ殴られたのか理解できません。


 それで僕は歩いて帰るところです。


「二宮~! 今帰りか?」

「桐谷君。バイトじゃないんですか?」

「そうだけどよ。まだ時間あるし、道的には一緒だから」

「そうでしたね」


 僕は部活に入っていません。帰りが遅くなると家に帰れませんので。

 桐谷君もバイトだからということで部活に入っていない一人です。


 僕もバイトというものをしたいのですが、時間が時間ですので……。

 なんて思っていると、後ろから最近よく聞く声が聞こえました。


「イェイ、二宮君! 今帰り? 僕もなんだけど一緒にどう?」

「イェイ、でいいんですよね。別に構いませんよ、宮野さん」

「そう? じゃ、お言葉に甘えて!」


 そう言って桐谷君を押しのけ僕の隣へピタリと並びました。

 宮野沙耶さん。どこの学校だかわかりませんが、入学式の帰りでちょっと知り合って以来偶にこうして一緒に帰る間柄です。

 そのたびにこうして肩と肩が触れ合いそうな距離になっていますが。同い年があまりいなかった僕としてはとても緊張しますが。慣れてしまって何とも思えないのですが。というより、押しのけられた桐谷君が朝と同じような形相で僕を睨んでいるので怖くて何も考えられないのですが。


 僕のせいではないのですが……などと思いながら、上機嫌な宮野さんを挟んで桐谷君に聞いてみます。


「大丈夫ですか?」

「なんでテメェの周りは可愛い女子ばっかいるんだよ!? しかもこの人すごい有名な人だろ!?」

「そうなんですか?」


 僕は思わず宮野さんに聞きますが、彼女は「いやだなー。そこまで有名な人じゃありませんよ」と答えたので、桐谷君に言いました。


「だ、そうですよ?」

「ウソだっ! この人は今ブレイク中の…ヘブシッ!」

「あー、ごめんなさい! 鞄がすっぽ抜けちゃいましたーー!!」


 ? 桐谷君は何を言おうとして宮野さんに攻撃を受けたのでしょうか? ブレイク……何かを破壊する人で有名なんでしょうかね?

 まぁそんなことないでしょう。自分で立てた仮設を否定した僕は、顔を抑えている桐谷君に手を差し伸べながら言いました。


「大丈夫ですか?」

「くそ……まさかこんなところに今話題の女」

「あーすいません靴が抜けましたーー」

「うぉっ!」

「わっ」


 再び桐谷君の発言に、今度は靴が飛んできたので僕たちは飛びのきました。


「今完全に棒読みだったろ!?」

「えー、なんのことですかー?」

「そんなことより宮野さん。靴を履いてください。片足だけですと靴下が汚れますよ」

「はーい!」


 そう言ってケンケンの要領で靴を取りに行く宮野さん。こうしてみると村でやった遊びを思い出します。

 桐谷君はこんな光景を見て、何故か知りませんが呆然と呟きました。


「なんでお前のいう事聞くの……? かたや超有名人だぜ……?」


 そう言われましても僕にもわからないんですが。ただ気付いたら、といった感じなんですがね。


「二宮く~ん! 僕ちょっと用事あるから!! またね!」

「はい。また会いましょう」


 前を歩いていた宮野さんが両手を振ってそんなことを言ったので僕もそう返すと、笑顔で踵を返してそのまま走っていきました。嵐のような人です。


「さて。僕も帰ります。桐谷君もバイト、頑張ってください」

「お…………おぉ!? やばい、遅刻する!!」


 こちらも走り去っていった桐谷君。せわしない人ですね。


 そして気付いたら僕一人。


「さぁ、帰りますか」


 残り少しだと気合を入れ、僕は歩き続けました。
















「ただいまです」

「お帰り亮太朗。お風呂沸いてるぞ?」

「わかりました。部屋に戻ったら入ります」


 時刻は午後八時。辺りはすでに真っ暗で、村までの道にフクロウやらの鳴き声が聞こえてたので少し怖かったですが、なんとか家に帰って来れました。

 疲れたので荷物を置いてさっさと風呂へ入りましょう。そんな風に思い寝巻と下着を持って風呂場へ向かいました。


 我が家――というより、この村のお風呂は薪を燃やして風呂を沸かす五右衛門風呂になってます。底に何か敷かないと火傷するという恐ろしいお風呂ですが、結構気持ちいいです。

 今では温めになってるかもしれませんがそれはそれで良さそうです――なんて思いながら更衣室の扉を開けましたら。


「…………え?」

「あれ?」


 体にタオルを巻こうとしていた、僕と同じような年齢なのにとても発育が良い女の人が固まっていました。


「「……………………」」

「あ」

「キャ、キャーーーーーーーー!」


 そう叫ぶや否や、彼女は身近にあったを持って僕の脳天めがけて振り下ろしてきました。

 当然、悲鳴によって固まった僕に受け止めるすべなどなく。

 ゴン、と鈍い音をしたと思ったら、僕の意識が途切れました。






 先ほど僕の事を殴った女の人の名前はニーナ=キャロット。春休み中にこの村に落ちてきた、彼女いわく『魔女』だそうです。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろい!続編希望!
2013/05/22 14:27 退会済み
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