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第5話 夜狩り

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夜狩(やが)り】とは──

主に魔物の発生を抑えるために年に数度ギルド側が主催し行われる合同のクエスト。


森の各地に設置した観測ミラーに異常な発光現象と一定水準を超える異常数値が見られた時に、危険を予測して行う日程とその段取りを決める。


都市の光へと向かう恐れのある不浄な森の怒りを鎮める、そんな代々執り行われてきた儀式的な意味もあるものだ。


ここでギルドへの信頼を勝ち取り威信を示すために、クラン単位での参加となることが多い。有名クランはほぼこの名誉ある夜狩りに、ベストメンバーを揃えて参戦している。

⬜︎




 ミラーの織りなす彩光煌めく美しきシロツメの街を背に、闇に沈む森の入り口へ集う色とりどりのマントと甲冑。鉄の音と、靴の音が入り乱れる。冒険者たちは今夜はまだ眠れないようだ。


 今宵、夜の森の前にぞろぞろと影を重ね集まったのは、彩光都市シロツメに拠点を置き活動する様々なクランの面々。

 ise会シロツメ支部の冒険者たちも参加したこの【夜狩り】に向けた最終の編成を整えている。


 そして先に待機場所で待っていたタイキとリリスの班の元に少し遅れて現れたのは、あの男。


「おーい、こっちだアキトぉ〜!」


 大声で手を振り旗を振り、ソメイが今悠然と歩いて現れた黒い三つ編みの彼のことを呼ぶ。


「アハは、君もそこにいたかソメイちゃん、僥倖だ。そして──やぁ、待たせたねタイキとイチゴちゃん」


「アキトさんっ!」


「て遅いわよっ、もう支部長からのブリーフィングも終わったって言うのに!」


 タイキが笑顔で手を振り、対照的にリリスがご挨拶とばかりに遅刻したアキトに、ちくりと苦言を呈した。


「ブリーフィングか? んー、それならどうせ簡易なものだろう。ならジブンが出なくても問題はそれほどないだろう? 君たち戦闘班は戦闘に集中するように、あの支部長ならたぶんそう気遣ってくれているよ」


「え、そうなのっ!?(あれで簡易!?)」


「うむっ! より詳しい作戦とこれから挑む行軍ルートについては、旗手を務める私が支部長から伺っているぞ!」


「そゆこと、ふふふ」


 夜の森の前でクラン員を集め、支部長のミタライから一度された簡易なブリーフィング。それより詳しい作戦内容は、タイキやリリスのような戦闘班ではなく、ソメイたちのようなバックアップメンバーに叩き込まれていた。一班に一人当てがわれた行軍ルートを指揮する旗手を務めるのが、タイキたちのいる第二パーティーでは今回はソメイになっていた。


「それに遅刻はジブンだけじゃないみたいだ」


 遅れてきたのはアキトだけではない。アキトの横顔の先を居合わせた皆が振り返ると──。


「あれっ、アジバさん?」


「おぉー、君たち奇遇だなぁ? ははは」


 見慣れた小麦色のスーツを着た者が、そこには一人歩き近づいて来た。今タイキの声に応えた暢気な声の主は、一本の戦斧を背負い、どこか白々しく笑うギルド職員のアジバだった。


「なぁんで職員がここにいるのよぉー?」


 場違いな場所に現れニヤつくアジバに、リリスは早速その理由を問う。


「まぁ、夜狩りをやるってんで不正がないよう公正な記録係が必要だろ? ise会と言えばバークローズ王国でも三大超大手クラン、その支部もシロツメでも大手だ。それに今や飛ぶ鳥を落とす勢いである君たちの活躍ぶりも、レポートにびっちり書かせてもらいたいからな」


「わ、分かったけど、なんでそれであんたが自らなのよぉ?」


「そこは担当だからなっ! 普段尽くしているんだ、観戦チケットぐらい貰えてもいいだろ?」


「観戦チケットって……はぁ呑気。って普段尽くしてるってどこがよーっ! ……まったく」


 話は分かるが人選には首を傾げたくなるものだ。リリスは相変わらずのこのギルド職員の男の調子に呆れる。


「普段の口ぶりから職員向きではないと思っていたよ」


 二人の他愛無いやり取りを見ていたアキトが、皮肉か事実か分からないことを言った。


「ははは、あいにく〝それ〟よく注意される! まぁ、そういうことだから頼んだぞ期待のルーキーたち」


「そこはルーキーじゃないでしょっ!」


 アジバ職員が話をいい感じに締めようとしたが、締まらない。リリスが男の「ルーキー」呼びに噛みついた。


「ああっ失礼した。AAA級のフミ、BB級冒険者タイキとアキト。それにご存知……B級のリリス・アルモンド女子、だったかな?」


「ふんっ、そうそうっ。……って女子は要らないっ!(なんで今度は私だけフルネームっ!?)」



第二パーティー(ise会シロツメ支部)

BB級 タイキ・フジ

B級 リリス・アルモンド

BB級 アキト

AAA級 フミ・ソメイ

記録係 アジバ


 以上のメンバーが第二班として今回訪れた夜狩りに挑むことになった。

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