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究極のカオスリング   作者: I.A. Janovit
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レイヤー4

俺とアルヴィナは、アスリートたちが利用するトレーニング用の食堂で話し合うことにした。

今そこにいるのは、俺たち二人だけ。

ほとんどの人は、まだ練習に戻っている。

「なんだか、荒唐無稽な話に聞こえるけどね。」

アルヴィナは、注文した温かい紅茶を一口すすった。

「信じにくいのは分かってる。

でも……妙なんだ。

俺を狙ってるあいつ、どう考えても“別の世界”の存在に見える。

身体能力も、人間の平均を完全に超えてる。」

「で、どうするの?

正直、信じるのは難しい。

実際に見ないと、納得できないかな。」

アルヴィナがカップを置いた、その瞬間――

ガンッ!

三日月のように湾曲した二枚の刃を持つ円盤が、

俺とアルヴィナの間のテーブルの中央に突き刺さった。

二人とも、言葉を失うほど驚いた。

幸い、直撃は免れた。

「……やはり、ここにいたか。」

低く響く声。

殺気を纏いながら、

ルンが優雅な足取りで歩み寄ってくる。

「今度こそ、逃がさない。

――あなたは、私のものよ。」

テーブルに突き刺さっていた円盤は、

まるで意思を持つかのように回転し、

誰にも触れられることなくルンの元へ戻った。

これで、彼女の手には二つの円盤。

すれ違う瞬間、俺は刃に刻まれた文字を見た。

三日月型の刃に刻まれていた言葉――

『虚無は、すべてを呑み込む』

「……で、この子が噂の相手?

もしかして彼女、あんたの彼女?

完全にヤンデレ系だけど。」

アルヴィナが、まさかの軽口を叩く。

「違うに決まってるだろ!」

即座に否定した後、俺は気づいた。

「……待て。

今の会話、理解してるのか?」

驚いてアルヴィナを見る。

「え?

普通に、私たちと同じ言葉を話してるでしょ?」

「……面白い人間たちね。」

ルンは微笑んだ。

だが、その笑みは人を安心させるものではなく、

むしろ背筋が凍るようなものだった。

「待て!

どうしてそこまで、この指輪を欲しがる!?

殺そうとするほどの理由は何だ!」

足が震えながらも、俺は叫ぶ。

制止するように手を伸ばした瞬間――

ルンの脳裏に、何かの“光景”が流れ込んだ。

「……うるさいッ!!

説明する理由なんて、存在しない!!」

ルンが叫ぶと同時に、

両手の円盤が高速回転を始める。

そして――

双子の円盤が、こちらへと投げ放たれた。

「避けて!!」

アルヴィナは即座にアクロバティックな動きで回避。

俺は反射的に、鉄の盾を出現させた。

――ガンッ!

一つの円盤は弾かれ、

もう一つは遠くへと飛んでいく。

「……まあまあね。」

アルヴィナは余裕の表情で呟いた。

「アルヴィナ。

賭けに出るしかない。

君はルンを引きつけてくれ。

その間に、俺がどこにでも行ける扉を作る。」

ルンに聞こえないよう、低く囁く。

「正直、まだ信じ切れてないけど……

分かった、あんたの作戦に乗る。

でも、制限は大丈夫なの?

無理すると、気絶するんでしょ?」

アルヴィナは構えを取る。

「大丈夫だ。

今日は、これを含めて三回しか使ってない。

あと九回はいける。

――そして、四回目は……」

俺は想像に集中した。

ポンッ!

突如として、

恐ろしい姿の“幽霊”が出現する。

かつて観たホラー映画に登場した、首のない亡霊だった。

「ゴーストさん。

ここにいる全員を、外へ出してくれ。」

首なしの幽霊は、音もなく高速で消えていった。

「……何をコソコソ話してる!?」

「別に?

あんたのこと話してただけよ。

性格最悪のヤンデレ女って。」

アルヴィナが適当に返す。

「……ますます腹が立つ!」

ルンの顔が赤く染まり、

双円盤が再び彼女の手に戻る。

彼女は、そのうち一つから

三日月型の刃を二本、引き抜いた。

「後悔することになるわ。

下等な人間風情が……

この場所も、地のクランも、あまりに哀れ。」

「地のクランですって?

地球は惑星よ、クランじゃない!」

アルヴィナは一気に距離を詰め、

得意のテコンドーの蹴りを放つ。

だが――

ルンの反応は、それ以上に速かった。

軽くかわし、

そのままアルヴィナへ突きを放つ。

――キィン!

俺は間一髪、

鉄の盾を出現させ、刃を防いだ。

「これを使え!」

ルンは怒りに声を上げ、

残った円盤を俺に向かって投げる。

だが、それも――

盾で弾き返した。

――ドンッ!

隙を突いたアルヴィナの拳が、

ルンを数歩後退させる。

「……くっ!」

ルンが呻いた。

二人の少女による戦い。

勝つのは――

アルヴィナか。

それとも、月の王女・ルンか。

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