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究極のカオスリング   作者: I.A. Janovit
26/27

自然 2

そよ風が前髪を優しく撫でる。

目の前に広がる光景は、思わず口を開けたまま見惚れてしまうほど、美しかった。

「ベン! ヴィナ! 早く、これを見てくれ!」

……返事がない。

俺は背後を振り返った。

嫌な予感は的中した。

二人の親友の姿が、どこにもなかった。

「ベニー! アルヴィナ! ふざけるなよ! 全然笑えないぞ!」

背後に広がる深い森に向かって叫ぶ。

「……本当に、いないわね」

ルンが静かに言った。

「どういう意味だ?」

「ポータルに入る時は闇しか見えないけど、不安定なポータルだった場合、目的地よりも遠くに飛ばされることがあるの」

俺は意味もなく頭を掻いた。

妹はルンをじっと見つめ、興味津々といった様子で、その美しさに見惚れている。

「そんなはずないだろ。ポータルって、正確なんじゃないのか?」

「本当にバカね」

ルンは肩をすくめる。

「これは魔法じゃないの。コードで制御されている装置よ。

それに、並行世界には、もっと常識外れなことがいくらでもあるわ」

妹がルンの服を引っ張った。

ルンが視線を落とすと、妹は両手を上に伸ばす。

短い仕草。

「……テン?」(抱っこ?)

ルンが尋ねると、妹はこくりと頷いた。

「え、俺が言ってること、分かってるのか……?」

「さあな。ただの聞き間違いかもしれない」

俺は首を傾げる。

「でも、妹は普段、他人にあんなことしないんだ」

妹は必死に、可愛すぎる上目遣いを向けていた。

「そんな顔されたら、断れないじゃない!」

ルンは苦笑しながら、妹を抱き上げた。

妹は楽しそうに笑う。

「……で、俺は君を信用していいのか?」

俺は真剣な声で尋ねた。

「どういう意味?」

ルンは妹をあやしながら答える。

「君はまだ、ルグレスの配下で、タムズの仲間だと思われてる。

指輪を狙って、いずれ俺を殺す可能性だってある。

だったら、今のうちに別れた方がいいんじゃないか?」

俺は大きな岩に腰を下ろし、続けた。

「……君の気が変わる前にさ」

ルンの表情が曇る。

「……正直に言うわ。

タムズについて行ったのは、私の意思じゃない。

理由は話せないけど……今の私は、もう帰る場所すらないの」

その言葉に、俺はしばらく黙り込んだ。

目の前の美しい景色を見つめる。

風が再び吹き、心を静かにしてくれる。

脳裏に浮かぶのは、過去の記憶——

そして、両親がフッド……いや、タムズに殺された、あの暗い光景。

「……帰る場所、か」

俺は深く息を吐いた。

「じゃあさ、一緒に旅をしないか。

君がいつ俺を殺すかは……その時に考えればいい。

今日から、俺たちは仲間だ」

俺は手を差し出した。

その瞬間、気づかぬうちに、ルンの瞳がわずかに輝いた。

「……いいわ」

柔らかな笑みが浮かぶ。

妹を抱いたまま、ルンは俺の手を握った。

「まずは、二人を探そう」

俺は立ち上がる。

「この大陸を全部歩くことになるかもしれないけど、必ず再会する」

森を指差す。

「まずは、あの森だ。

今は食料と水の確保が最優先だ」

「ふーん。

てっきり、無謀なだけのバカな少年かと思ってたけど?」

ルンがからかう。

「うるさい! 俺のこと、まだ何も知らないくせに! コメント禁止!」

少しムッとする俺。

「怒ったわね」

ルンは妹と一緒に笑う。

「ほら、怒ってるお兄ちゃんだって」

二人の笑い声が重なる。

「ルーラまで真似するな」

俺はため息をついた。

こうして俺たちは、巨大な木々が立ち並ぶ森へと足を踏み入れた。

見上げるほどの高さで、俺が知る木の二倍、三倍はある。

——そして、俺たちの知らない森の奥で。

誰かが、俺たちを待っていた。

「さすがだな、オッキー。情報は正確だった」

白く波打つ髪の謎の人物が、小さく笑う。

その隣で、猿のような相棒が楽しそうに跳ね回った。

「少し……教育してやる

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