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究極のカオスリング   作者: I.A. Janovit
24/27

レイヤー23

「いいだろう。選択しろ……自ら差し出されるか、それとも俺が力ずくで奪うか?」

タムズは不気味な表情を浮かべた。

「私たちは闇になど屈しない。今ここで、あなたを消し去る!」

アルヴィナの母が構えを取り、アルヴィナの父も同じく杖をタムズへ向ける。

「この世界は、闇が消え去った方がよほど良くなる!」

「子どもたちはポータルへ入りなさい。私たち二人で——」

「三人だ。」

ベニーの父が口を挟み、超高度な兵器――レーザーピストルを構えた。

「私たち三人でタムズを引き受ける。君たちは急いでALLAMクランへ向かえ!」

アルヴィナの母が叫ぶ。

「お母さん! お父さん! 嫌よ、あなたたちを置いていけない!」

アルヴィナは必死に叫んだ。

「人間というのは、本当に無駄口が多いな。」

タムズの腕にはめられた巨大な輪が回転し始め、薄く、黒い煙が立ち上る。

「本当の闇というものを見せてやろう。」

タムズの姿が消えた。

――シュッ!

次の瞬間、タムズはベニーの父とアルヴィナの両親の前に現れた。

「絶望の霧――スモーク・グレイブ!」

タムズの手から大量の煙が噴き出し、三人を包み込む。毒の霧だ。

ベニーの父とアルヴィナの両親は激しく咳き込み始めた。

少し後方で、アルヴィナは強い不安に駆られ、両親のもとへ駆け出そうとしたが、ベニーが彼女を止めた。

「ダメだ! 僕たちじゃ敵わない!」

「俺が……力を使う!」

怒りに歯を食いしばり、拳を強く握る。しかし力を解放しようとした瞬間、頭に激しい痛みが走り、俺は膝をついた。

「無理をするな、カエリン。お前の力には本来限界はないが……今のお前は、すでに限界に達している。」

ベニーが言った。

くそっ……!

俺は硬い床を思い切り叩いた。

「俺の霧の中で死ね!」

その時、煙の中心から淡い緑色の光が現れた。

根のようなものが突如タムズへ襲いかかるが、彼は軽々とかわす。

煙が徐々に晴れ、三人の大人の姿が再び現れた。

しかし彼らの目は赤く充血し、血を吐くほど咳き込んでいた。

「お父さん! お母さん!」

アルヴィナが叫ぶ。

「なぜ……まだ行っていないの……」

アルヴィナの母は、言葉を発するのも苦しそうだった。

「まだ生きているのか?」

タムズは笑った。

「ならば敬意を表してやろう。お前たちは、我が主ルグレス解放計画における、最重要の“資産”となるのだから。」

タムズは流れるような美しい動きで武術の型を始める。

やがて濃い青色のオーラが彼を包み込み、巨大な輪は青い光を放ち始めた。

俺は息を呑んだ。

その濃紺のオーラは、見えない重圧となって胸を押し潰す。

タムズの腕の輪はさらに高速で回転し、低い唸りが耳鳴りを引き起こす。

「カエリン!」

アルヴィナの母の声は震えていたが、力強かった。

「よく聞きなさい。あなたたち三人は、今すぐ行くの!」

「お父さん、お母さん、私は——」

アルヴィナは一歩前に出る。目には涙が溢れていた。

父は即座に振り向き、厳しくも愛情に満ちた眼差しで言った。

「アルヴィナ、意地を張るな。君たちがここに残れば、私たちの犠牲が無駄になる。」

ベニーの父も前へ出て、赤金色に輝くレーザーピストルを構える。

「ベニー、一度でいい、父の言うことを聞け。皆を守れ。ポータルのことを一番理解しているのはお前だ。」

ベニーは歯を食いしばり、震える手で頷いた。

「……わかった。」

俺は叫びたかった。

まだ戦えると、ここに残ると。

だが再び頭痛が走り、体は言うことを聞かなかった。

彼らは、それを分かっていた。

「行きなさい!」

アルヴィナの母が叫ぶ。

「あなたたちの命の方が大切なの!」

タムズは薄く笑った。

「感動的な別れだ。だが——時間切れだ。」

一瞬で、彼はまた消えた。

「今だ!」

アルヴィナの父が怒鳴る。

三人は同時に動いた。

父の自然の杖が地面を打ち、根と岩の壁がそびえ立つ。

母は両手を掲げ、緑の風が渦となって防壁を作る。

ベニーの父は正確無比な光弾を放ち、タムズを強制的に前方へ引きずり出した。

最初の衝突は、雷鳴のような音を立てた。

ベニーに引かれ、俺たちは光を放つポータルへ向かう。

アルヴィナは何度も振り返り、前を向こうとしなかった。

視界の端で、三人が全力でタムズを食い止めているのが見える。

光と闇が激突し、残されたカエリンの家は激しく揺れた。

一瞬だけ——

彼らは伝説のように、圧倒的に強く見えた。

だが、タムズの輪がさらに強く輝いた。

「抑圧のオーラ。」

青い衝撃波が放たれる。

根の壁は砕け、風の渦は裂け、レーザーは弾き飛ばされた。

三人は後方へ吹き飛ばされる。

肺から空気を無理やり吐き出されるような、押し殺した悲鳴が聞こえた。

「お父さん! お母さん!!」

アルヴィナは錯乱したように叫ぶ。

俺は走り出そうとしたが、ベニーが両手で俺を止めた。

「カエリン、ダメだ! 今行けば……本当に死ぬ!」

三人は、満身創痍で立ち上がった。

血がこめかみや腕を伝い、服は裂け、息は荒い。

それでも彼らは立っていた。

俺たちとタムズの間に。

「……もう、振り返らないで……」

アルヴィナの母は、かすかな笑みを浮かべた。

「お願い……」

ベニーの父は一瞬こちらを見て、再び銃を構えた。

「命令だ。」

タムズが一歩踏み出し、その影が光を飲み込む。

「勇敢だな。」

「だが、勇気では結果は変わらない。」

最後の衝突が起きた。

誰が先に仕掛けたのかは分からない。

光が視界を覆い尽くす。

眩しさが収まった時、三人は倒れていた。

生きてはいる。だが、床は血で染まっていた。

「……ベニー……」

父のかすれた声。

背後のポータルが震え、閉じ始める。

アルヴィナは声も出せず、ただ涙を流していた。

俺は最後に一度だけ振り返る。

彼らの姿を、心に深く刻み込むために。

――俺たちが生きて去るために、立ち続けた人たち。

ポータルの光が、俺たちを飲み込んだ。

そして世界が回転する中、ひとつの想いが胸に焼き付いた。

この血の借りは——

いつか、必ず俺が返す。

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