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究極のカオスリング   作者: I.A. Janovit
21/24

レイヤー20

いつ、意識を失ったのかは分からない。

覚えているのは、胸を押し潰すような激痛と、激しい衝突音――

そして、闇。

それでも、かすかに……音だけは聞こえていた。

爆発、また爆発。

大地が揺れ、まるで世界そのものが頭上から崩れ落ちてくるかのようだった。

黒い炎。風。根。

木材とコンクリートが砕ける音が、混ざり合って響く。

……目が、開けられない。

身体が重い。床に縛りつけられているようだ。

呼吸は浅く、指にはめた指輪は冷たい……空っぽだ。

光はない。反応もない。

俺は……役立たずだ。

「俺を止められると思ったか!?」

ハドの荒々しい声が響く。

「俺は……すべてを殺す!!」

起き上がりたい。

動きたい。

だが、身体が言うことを聞かない。

その時――

悲鳴が聞こえた。

聞き覚えのある、あまりにも大切な声。

「か……かくぁ……!」

心臓を、強く握り潰されたような感覚。

……妹だ。

薄く目を開けると、視界はぼやけていた。

震えながら床に倒れ込む、小さな身体。

その目前へ――黒い炎が一直線に放たれる。速く、致命的な一撃。

「やめろ――!」

叫びたかった。

だが、声は出なかった。

――ドォォン!!

突然、大地が盛り上がる。

妹の前に、巨大な土の壁が出現し、黒炎を寸前で食い止めた。

そこに立っていたのは、アルヴィナの父だった。

荒い息。全身に刻まれた傷。

手は震えている。それでも、一歩も退かなかった。

「……もう十分だ」

冷たい声で言い放つ。

「その子に、指一本触れさせはしない」

アルヴィナの母が怒りの叫びを上げる。

緑の風が荒れ狂い、床と壁から巨大な根が飛び出し、

ハドの身体を四方から絡め取った。

ハドが咆哮する。

黒炎に包まれながらも――初めて、後退した。

「ぐあああああ!!」

最後の絶叫と共に、ハドの身体に亀裂が走る。

――崩壊。

黒い炎は消え、

その身体は形を失った土人形のように、床へと崩れ落ちた。

……静寂。

俺は荒い息を吐く。

視界が、再び揺らぐ。

終わった……のか?

だが、胸を刺すような嫌な予感が消えない。

「……何かがおかしい」

アルヴィナの父の呟きが聞こえた。

崩れたハドの残骸に、再び亀裂が走る。

俺は残った意識で、それを見つめる。

亀裂が……広がる。

そして――

何かが、出てきた。

それは、さらに高く。

さらに大きく。

さらに重い存在だった。

放たれる圧が、胸を押し潰し、呼吸すら困難にする。

焼けた鉄のように黒い皮膚。

両腕には、三つずつ――

分厚く巨大な腕輪が巻かれていた。

奇妙な紋様が刻まれ、低く脈打っている。

その怪物は、瓦礫の中に堂々と立ち上がった。

「ハドは、ただの人形だ」

低く、耳鳴りを引き起こす声。

「――俺が、本体だ」

周囲を見渡し、

そして、その視線が俺に止まる。

「俺の名は……タムズ」

アルヴィナの父母の顔色が変わった。

蒼白。

「……あり得ない……」

父が震える声で呟く。

「三つの腕輪……あれは――」

「無理よ……」

母が遮るように言う。

声が震えていた。

「今の私たちじゃ、勝てない」

タムズが片手を上げた。

その瞬間――

空気が、重くなる。

大地が激しく震え、

次の瞬間――

――ドォォォン!!

家が、消えた。

壁も、屋根も、床も。

すべてが瓦礫となって吹き飛ぶ。

衝撃波が俺の身体を投げ飛ばし、

再び、闇が訪れる。

消えゆく意識の中、

誰かが俺を抱き上げる感覚があった。

「行け!! 今すぐだ!!」

アルヴィナの父の叫び。

慌ただしい足音。

妹の泣き声。

抑えきれない息遣い。

そして――最後に。

タムズの声。

静かで、落ち着いていて――

それでも、恐ろしく冷たい声。

「逃げるがいい……

遊びは、まだ始まったばかりだ」

その後――

俺は完全に意識を失った。

意識が途切れる直前、涙がこぼれ落ちる。

両親は、もういない。

この指輪と、この力は――

俺を救うどころか、

ゆっくりと俺を追い詰めていく。

溢れ出す感情を、

まるで糧にするかのように――

指輪は、静かにそれを吸い込んでいた。

私の作品を愛読されている皆様!作者として、この作品が多くの人に議論されるよう、コメントや評価をいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。•́‿,•̀

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