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究極のカオスリング   作者: I.A. Janovit
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レイヤー10

「なぜそこまでしてこの指輪を欲しがる? それに、どうしてそんなに頑固なんだ?」

俺はゆっくりと後退した。

書架番号201――それをベニーの拠点へ転送することは、結局できなかった。

くそ……。

頭がくらくらし始める。視界がにじみ、輪郭が曖昧になっていく。

力を使いすぎた。俺は思わず頭を押さえた。

「答える必要はないわ」

ルンの双月輪が、さらに速く回転し始める。

「その指輪を手に入れた時、私の“目的”は成就する。それだけよ」

「これを味わいなさい!」

鋭い殺意を帯びた精密な軌道で、月輪が俺に向かって投げ放たれた。

「クソ女が!」

俺は咄嗟に鉄の防壁を展開し、間一髪で二つの月輪を弾き返す。

「まだ私の本当の力を知らないようね。――よく見なさい!」

紫と黒が混じり合った異質なオーラが、ルンの身体を包み込む。

それは、これまでとは明らかに違う気配だった。

ルンは宙に浮かび、銀色の髪がふわりと舞い上がる。

瞳は黄金色に輝いていた。

「――MOON AURA!」

その名の通り、月のオーラ。

圧倒的な力と威圧感を放ちながらも、使用者の容姿をより美しく、あるいはより端正に見せる力。

「理由が何であれ、今回はお前と正面から戦う!

アルヴィナ――私の親友の敗北、その借りを返す!」

俺は考える間もなくルンへと走り出した。

「計画なんて知るか! 今はとにかく倒すだけだ!」

暗殺者のような小型の双剣を顕現させる。

「耐えろ、俺! 十五分だけでいい!」

見えない足場があるかのように、俺は空中を跳び回る。

ベニーの言葉が脳裏をよぎった。

――想像とは、“可能”と“不可能”の境界を曖昧にするもの。

そう考えるなら、

“不可能”こそが、俺の力だ。

どんな不可能だろうと、俺ならやれる。

跳躍の速度を上げ、一気にルンとの距離を詰める。

「ふふ……力の使い方が、少しは効率的になったみたいね」

ルンは素早く、片方の月輪から二本の刃を引き抜いた。

同時に、もう一方の月輪が高速回転し、俺へと放たれる。

――だが、これは違う。

「MOON ILLUSION・DOUBLING!」

投げられた月輪は、飛行中に次々と分裂し、瞬く間に数十へと増殖した。

「今回は生き延びられないわよ!」

「やってみなきゃ分からないだろ!」

俺は軌道予測機能を持つ高性能ゴーグルを展開する。

「その程度の数、通用するかよ!」

――カンッ!

一枚の月輪を、双剣で正確に弾く。

「じゃあ、これはどう?」

ルンが指先を動かすと、月輪の軌道が一斉に変化した。

今度は俺を中心に、高速で旋回を始める。

ゴーグルですら、どれが次に襲いかかってくるのか判別できない。

「苦戦してるみたいね?」

ルンが嘲笑う。

「死になさい!

月輪――DEATH ATTACK FORMATION!

MOON AURA!」

月輪の回転速度はさらに増し、俺の視界にはもはや光の軌跡しか映らない。

やがてその色は、ルンを包むオーラと同じ色へと染まっていった。

月輪同士が衝突し、甲高い金属音を響かせながら、軌道はより狂暴になる。

――ズリンッ!

一枚が猛スピードで迫る。

――キンッ!

弾いた。だが、衝撃が違う。

身体が数歩後退し、双剣には焼けつくような熱が伝わる。

――ズリンッ!

今度は二枚。

一枚は防いだ。

だが、もう一枚は完全には弾けなかった。

薄く軌道をずらした月輪が肩を掠め、服を裂き、皮膚を切り裂く。

血が滲み出す。

俺はごくりと唾を飲み込んだ。

……きつい。

まだ“月輪”だけだというのに、これほど苦戦するとは。

接近戦になれば、もっと危険だ。

それ以上に――

頭痛が、限界に近づいていた。

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