プロローグ
かつて、世界がまだ境界を知らず、空がすべての命を隔たりなく包み込んでいた時代。
そこには一人の大王が君臨していた。
彼は単なる支配者ではない。
幾度となく闇の彼方から迫る破滅を退けてきた、世界の守護者であった。
その生涯の終わりに、大王は王座ではなく、力を遺した。
七つの指輪が創られ、それぞれ異なる力を宿し、七人の子どもたちへと託された。
―― ゼフ王子(想像力の力)
―— プリンス・リン(影の力)
—— プリンセス・ヴェックス(精神と魂の力)
――ヴェイルの王子
――ダックス王子(巨人の力)
――オリオンの娘(素晴らしい鎧と武器)
――天上の王女(自然の力)
大王の死後、世界は七つの大いなる領域へと分かたれた。
束の間、平和への希望が芽生えた――
だが、闇はその名を得る。
ルグレス。
人と魔の狭間に生まれたその存在は、恐怖と破壊をもたらした。
七人の兄妹は再び集い、栄光のためではなく、世界の存続のために剣を取った。
多大な犠牲の末、ルグレスは誰も辿り着けぬ場所へと封じられる。
しかし、その戦いは、より危険な遺産を残した。
闇の囁きが一つの指輪を通じて忍び寄り、
それは王子リンの心に住み着いた。
彼が操る影は闇と融合し、少しずつその良心を蝕んでいく。
世界は再び危機に晒される――
今度は、王の血を引く者によって。
王女ヴェックスは幽閉され、魂と精神の力を奪われた。
残された五人の兄妹は、リンを殺すことなく止めようとした。
だが、運命は常に希望に微笑むとは限らない。
やがてリンは封印され、ルグレスと同じ場所へと送られる。
世界は救われた――
少なくとも、その時は。
同じ日に、王子ゼヴは二人の兄妹を失った。
癒えることのない傷を抱えた彼は、想像を絶する決断を下す。
世界を分断するという選択だ。
各領域は互いに隔離され、
ゼヴが想像の力によって創り上げたシステムにより守られた。
それは偉大であると同時に、極めて危険な力でもあった。
ゼヴは数百年にわたり、アセラを統治した。
そこでは技術と魔法が共存し、発展を遂げていった。
――しかし、ある日を境に、想像の力は祝福ではなくなる。
それは「欠陥」と呼ばれた。
想像を否定する派閥が台頭し、
クーデターが起こる。
アセラは一夜にして崩壊した。
血と炎、そして裏切りが、その王国の歴史を覆い尽くす。
滅びの中で、ゼヴは一人の子を救い出した。
カエリン。
その子は、想像の指輪と共に、別の世界へと送られる。
ゼヴは信じていた。
その力を真に制御できるのはカエリンだけであり、
そして、いずれ訪れるさらなる災厄に立ち向かえるのも、彼だけだと。
カエリンは、自らの正体を知らぬまま成長した。
地球と呼ばれる世界で、
笑顔と愛情に囲まれ、常に傍にいる二人の親友と共に。
だが、運命は決して消え去らない。
想像の力が目覚めた時、
長きにわたり分かたれていた世界は、再び互いを呼び始める。
――そして、物語は始まる。




