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第18話 せっかく誘ってあげてるのに何で遠慮するのよ?

 どこまでも着いてきそうな雰囲気を醸し出していた楓姉を何とかして撒いた俺は真面目にバレーボールの試合に取り組んでいた。

 運動部に所属している同級生達はオーバーハンドサーブやフローターサーブを相手コートに叩き込んでいく中、俺はアンダーハンドサーブで確実に相手コートにボールを入れている。

 難易度の高いサーブを行って失敗するよりも確実に点を入れることを優先したのだ。格好を付けて失敗してチームの足を引っ張ると俺の好感度が下がりかねないため、わざわざそんなリスクを冒すつもりはなかった。


「鶴海、そのままトスだ」


「ああ、任せろ」


 チームメイトがレシーブしたボールが俺の方に飛んできたため指示された通りに動く。そして俺がトスしたボールをまた別のチームメイトがそのまま相手コートにスパイクする。

 だが残念ながら相手チームも簡単には点を取らせてはくれずレシーブされてしまった。まあ、俺としては与えられた役割を問題なくこなせたわけなのでそんなに悔しさはない。

 そんなことを思っているとどこからか強烈な視線を向けられていることに気付く。コートの外を見渡すとクラスメイト達の中にいた柚月さんと目が合った。

 だが柚月さんの視線はそこまで強くなかったため恐らく違う。今度は先程の反対側を見た俺の視界には無表情で俺を見つめる楓姉の姿があった。

 間違いなく強烈な視線の主は楓姉だ。念入りに撒いたはずなのに俺を見つけ出したらしい。流石に執念深過ぎるだろと思っていると誰かの叫ぶ声が聞こえる。


「鶴海、危ない!?」


「えっ……?」


 その声に反応して前を向くと俺のいる方向にボールが飛んできていた。反射的に手を出す俺だったが、次の瞬間人差し指に痛みが走る。

 この感じは恐らく突き指をしてしまったに違いない。これは試合中にも関わらずよそ見をしていた俺が一番悪いと思うが、楓姉にも何パーセントかは責任があると思う。


「ちょっと鶴海、試合中によそ見をするなんて何やってるのよ。大丈夫なの?」


「ただの突き指だから心配するな」


 試合が一時中断すると柚月さんが俺のそばに駆け寄ってきた。普段はツンツンしている柚月さんだが普通に俺のことを心配してくれているらしい。これも普段からコツコツと関係を構築してきたおかげだろう。


「とりあえず保健室に行くわよ、特別に私が付き添ってあげるわ」


「いや、一人でも行けるから別に大丈夫だ」


「せっかく誘ってあげてるのに何で遠慮するのよ? 私が一緒に行こうって言ってるんだから大人しく従いなさいよね」


 あまり迷惑はかけられないためひとまず断る俺だったが、柚月さんは意見を曲げず粘ってきた。これ以上断るとむしろ好感度が下がる可能性があるためお言葉に甘えようとしていると横から口を挟んでくる存在が現れる。


「ま、待て。蓮は私が保健室に連れていく」


 それはいつの間にか俺の近くに立っていた楓姉だった。こういう目立ちそうな場面では絶対に動かない楓姉がよりにもよって何でこんな時に限って首を突っ込んでくるんだよ。


「すみませんがあなたは誰ですか? 今は私と鶴海で話しをしているんですけど」


「ああ、この人は……」


 体操服に書かれた学年の数字を見て楓姉を三年生と認識して一応敬語で話す柚月さんだったが、その表情には警戒や苛立ちの色が現れていた。だから俺は説明しようとするわけだが、その前に楓姉はとんでもないことを言い始めてしまう。


「私は蓮の人生のパートナーだ」


 何と楓姉は柚月さんに対して堂々とそう言い放ってしまった。

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