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第17話 真面目な優等生ほど実は凄まじいドスケベって法則があることを蓮は知らないのか?

「楓姉はかなり挙動不審だと思うけどコミュ障と人見知りを拗らせてるだけで誰に対してもこんな感じだから」


「そうなんだ、私もあんまり社交的じゃないから気持ちは分かるな」


 そうつぶやく伊丹さんだったが楓姉よりは全然マシだろう。伊丹さんが想像しているよりも楓姉の社交性は遥かに低いレベルにあるはずだ。

 伊丹さんの場合はネガティブ過ぎる部分こそあるものの、普通に周りとはコミュニケーションは取れるし、あまり多くはないが仲の良い友達もクラスにいると聞いている。それに対して楓姉は周りとまともにコミュニケーションが取れずぼっちだ。

 楓姉は容姿がめちゃくちゃ整っているおかげで喋らないぼっちなキャラでも以外と様になっていてクラスメイトからいじめを受けるようなことはないらしいが、少しでも何かが違えば悲惨なことになっていたに違いない。そんなことを思っていると楓姉は恐る恐る口を開く。


「……ところで蓮とはどういう関係なんだ?」


「実は勉強がめちゃくちゃ苦手なので鶴海君に昼休みと放課後に教えて貰ってるんですよ。放課後は週に二回くらいですけど」


「なるほど、蓮から勉強を教えてもらう関係なのか」


 一体伊丹さんに何を言うのかと思ったら俺との関係性を尋ね始めたためちょっと驚いている。ほぼ初対面の相手に対して何の脈絡もなくいきなりそんなことを聞くってある意味凄い。すると楓姉は続いて俺に話しかけてくる。


「まさかとは思うが勉強を教える対価として体を求めたりなんかしていないだろうな?」


「いやいや、そんなことする訳ないから」


 この前水しぶきをかけられたため柚月さんの家でシャワーを浴びて帰ったが、その時も俺の体からシャンプーとボディーソープの匂いがしたという理由だけで女子と一線を超えたと勝手に勘違いしていたし、楓姉ってマジで頭の中が濃いピンク色だよな。

 まあ、楓姉は昔から成人向け漫画を隠れて読むようなむっつりスケベだったので仕方がないか。無駄に容姿だけは良いので大学生になって体目的の悪い男に騙されないか普通に心配だ。


「大丈夫です、鶴海君とは今はまだそんな関係じゃないので」


「ん、今はまだ……? ちょっとどういうことなのかを蓮の口から説明して貰いたいんだが」


「今のは多分言葉の綾で、そんなに深い意味はないはずだ。そうだろ?」


「鶴海君がそうして欲しいならとりあえずそういうことにしておくよ」


「……やはり私には言えないような何かがあるのか?」


 伊丹さんが意味深な発言ばかりするせいで楓姉はますます俺に対して疑念の目を向けてきた。普段の伊丹さんならネガティブな反応しかしないはずなのに一体どうしたっていうんだよ。

 それからすぐに伊丹さんは自分の試合が近いということで俺の前から去っていく。俺もそろそろ試合なので楓姉と別れようとするのだが何故かそのまま後を着いてくる。


「何で着いてくるんだよ?」


「蓮が性犯罪者にならないように姉としてしっかりと監視するためだ」


「楓姉も知ってると思うけど、俺は学校だと超が付くレベル優等生だから」


「真面目な優等生ほど実は凄まじいドスケベって法則があることを蓮は知らないのか?」


「知らないしそんな法則があること自体完全に初耳なんだけど」


 いくらなんでもそれは真面目な優等生に対する偏見が過ぎるだろ。確かに世の中にはそういう奴もいるかもしれないが、それはほんの一部の人々に違いない。

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