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第11話 俺は全裸で髪を乾かす派だから

 それから俺は柚月さんの家でシャワーを浴び始める。他人の家でシャワーを浴びるのはちょっと変な気分だ。そんなことを思っていると脱衣所の方から声が聞こえてくる。


「鶴海、タオルとパパの服を扉の前に置いておくわよ」


「ああ、ありがとう」


 今俺がシャワーを浴びている扉の向こうに柚月さんがいることを考えるとほんの少しだけドキドキさせられてしまう。やはり俺も健全な男子高校生のようだ。

 もっとも、変な気を起こすようなつもりはさらさらないが。しばらくしてシャワーを浴び終わった俺は脱衣所に置かれていたドライヤーで髪を乾かし始める。すると突然脱衣所の扉が開く。


「ちょっと取りたいものがあるから失礼するわ……って、あんた何でまだ裸なのよ!?」


「わ、悪い。俺は全裸で髪を乾かす派だから」


「知らないわよ、そんなこと」


 俺の全裸を思いっきり見てしまった柚月さんは顔を真っ赤にしながら脱衣所から出て行った。なるほど、ドライヤーの音が聞こえたから俺がもう既に着替えていると思ったらしい。

 他人の家にも関わらず完全に油断していたため俺も反省しなければならないだろう。ひとまず髪を乾かし終えて脱衣所を出た俺は再度柚月さんに謝罪をする。


「さっきはマジですまなかった」


「私が心の広い女子で良かったわね、じゃなきゃ今ごろおまわりさんのお世話になってたと思うわ」


「ありがとう、柚月さんが寛大でマジで助かる」


「分かればいいのよ」


 ノックもなしにいきなり脱衣所に入って来た柚月さんにも問題があったとは思っていたがそれは口に出さなかった。こういう場面だと男子は圧倒的に立場が弱いのだ。それにこんなところで柚月さんの機嫌を損ねて今の関係を悪化させたくない。


「それにしても女子に裸を見られたのは生まれて初めてだから俺もめちゃくちゃびっくりした」


「ふーん、私が初めてなんだ」


「そうだな、今まで誰とも付き合ったこともないし」


「へー、そっか。鶴海は恋愛経験もないんだ。確かにあんたと付き合いたいような物好きなんて中々いないでしょうね……まあ、鶴海がどうしてもって言うなら考えてやらないこともないけど」


 後半は小声で過ぎて何を言っているのか聞き取れなかったが、どうせ辛雑な内容に違いないのでわざわざ聞く気はなかった。ちなみに楓姉にも裸を見られたことはあるがこれに関してはカウントしていない。小さい頃の話であり、楓姉は身内枠だし。


「それよりあんたの制服だけど、乾くまではもうしばらくかかりそうよ」


「水しぶきのせいであれだけガッツリ濡れたんだからやっぱりそうだよな」


 乾燥機では乾かせないため部屋に吊るして扇風機の風を当てていたが、まだしばらくは時間がかかってしまうに違いない。


「だから特別にもう少しだけうちにいるのを許してあげるわ」


「助かる、制服がないと普通に困るしな」


 ひとまずリュックサックから数学の問題集を取り出した俺は椅子に座り解き始める。制服が乾くまでは明日の授業で提出する課題をここで進めるつもりだ。


「やっぱり鶴海は課題も真面目にやるタイプなのね」


「まあな、内申点とかも意識してるし」


 もっとも、柚月さんの目があるこことは違い家にいる時はかなり手を抜いて課題をやっているので真面目にやっているとは言えないかもしれないが。


「逆に柚月さんは真面目にやってないのか?」


「私は出さないとやばそうな課題だけ必要最低限やる感じかしら、正直そもそも課題なんてやる意味がないと思ってるから」


「確かに授業を受けるだけで理解できるんなら課題なんてやる必要すらないよな」


「そういうこと」


 前々から柚月さんはあまりうるさく言わない教師の課題ついては全然出していなったがそういう理由があったらしい。

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