22.戦争の前触れ
カガビダでの休暇を終え、次の試練に向けて旅立とうとしていたアレンたち。しかし、街を出る寸前に、突然の出来事が彼らを待ち受けていた。
街の門を抜けようとしたその時、アレンたちの前に大量の兵士が現れた。彼らはフフルスル海域で見た兵士と酷似しており、同じ紋章が刻まれた鎧を身にまとっていた。
「これは…」アレンは警戒しながらその場に立ち止まった。
「おいおい、またかよ」テッチは不満そうに声を上げた。
兵士たちは整然と並び、指揮官と思しき人物が前に出てきた。「貴様ら、ここで何をしている?」指揮官は鋭い目でアレンたちを睨みつけた。
「フフルスル海域での騒動から逃げ出したのは貴様たちか?」指揮官の問いに、アレンは内心で緊張を高めながら答えた。「その件については誤解がある。俺たちはただ…」
「言い訳は無用だ!」指揮官はアレンの言葉を遮り、周囲の兵士たちに命令を下した。「包囲しろ!」
兵士たちは素早くアレンたちを取り囲み、逃げ道を完全に塞いだ。その中には、明らかに戦闘に慣れた者たちも混じっており、アレンは一瞬の油断も許されない状況に置かれた。
「戦うしかなさそうだな」アレンは剣を構え、戦闘態勢に入った。リリアンもその隣で魔法の準備を整え、テッチはいつもの調子で笑みを浮かべた。
「やれやれ、仕方ねぇな。アレン、準備はいいか?」テッチは言った。
「いつでもだ」アレンは強く頷き、兵士たちとの戦いが始まった。
兵士たちは次々と襲いかかってきたが、アレンたちはその攻撃を巧みにかわしながら反撃した。アレンは剣技と魔法を駆使し、リリアンは支援魔法でアレンをサポートする。テッチも鋭い動きで敵を翻弄し、次々と兵士たちを倒していった。
「リリアン、援護を頼む!」アレンは敵の攻撃を受け流しながら叫んだ。
「わかった!」リリアンは素早く魔法の詠唱を始め、周囲の兵士たちを吹き飛ばす強力な魔法を放った。
激しい戦闘の中、アレンたちは次第に指揮官の元へと迫っていった。指揮官は他の兵士たちとは一線を画す強さを持っており、その戦闘技術は卓越していた。
「ここまで来るとはな。しかし、これ以上は進ません!」指揮官は大剣を振りかざし、アレンに襲いかかってきた。
アレンはその攻撃を受け止め、反撃の一撃を放った。「君たちを倒してでも、俺たちは次の試練に進む!」
激しい一騎打ちの末、アレンは指揮官の一瞬の隙を突き、大剣を弾き飛ばした。指揮官は驚愕の表情を浮かべ、次の瞬間には地面に倒れ込んだ。
「やったか?」アレンは息を整えながら確認した。
指揮官を倒したアレンたちは、ほっと一息ついていた。しかし、彼らの安堵もつかの間、周囲の兵士たちの残骸や倒れた指揮官の体が突然動き出した。
「何だこれは…」アレンは驚きながら後ずさりした。指揮官や兵士たちの残骸が集まり、一つの巨大な塊となり始めた。
「また会ったな…」塊は不気味な声で呟き、漆黒の目がアレンたちを睨みつけた。
その瞬間、塊は鋭い動きを見せ、リリアンに向かって一撃を放った。リリアンは反応する間もなく吹き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
「リリアン!」アレンは叫びながら駆け寄ったが、塊は更なる攻撃を仕掛けようと迫ってくる。
「アレン、あれは前に見たあの肉塊と同じだ!」テッチが鋭く警告を発する。「また、生贄の盃の力か。奴を倒さない限り、何度でも甦るぞ!」
「分かってる!」アレンはリリアンを守るため、塊の前に立ち塞がった。剣を構え、再び戦闘態勢に入る。
塊は多くの兵士たちの剣や鎧を纏い、異様なまでの強さを発揮していた。アレンはその攻撃を必死にかわしながら、反撃の機会を窺う。
「テッチ、どうすれば倒せる?」アレンは焦りながら尋ねた。
「アイツは魔法に弱い。だが、無駄な魔法を使うと逆効果だ。正確な一撃を狙え!」テッチの声が響く。
アレンは深呼吸し、集中力を高めた。塊の動きを見極め、一瞬の隙を狙って魔法を放つ。「炎の槍、発動!」
強烈な炎の槍が塊に直撃し、瞬時にその表面を焼き尽くした。塊は痛みを感じるように蠢いたが、まだ完全には倒れない。
倒れたままのリリアンも、気力を振り絞って立ち上がった。「私も戦う…アレン、援護するわ!」
リリアンは回復魔法を自分に施し、再び戦闘に加わった。彼女の魔法はアレンの攻撃を補完し、塊に対して効果的なダメージを与える。
アレンはリリアンの援護を受けながら、塊の中心部を狙った。「これで終わりだ!」強力な魔法剣を振り下ろし、塊の中心を貫いた。
塊は激しく震え、次第にその形を失っていった。「また、負けたか…」不気味な声が消え、塊は完全に崩れ去った。




