20.神魂戦
アレンたちは黒い球体、神魂との戦いで苦戦していた。神魂はその異様な速度と攻撃力でアレンたちを圧倒していた。アレンの魔法もその迅速な動きに対しては有効打を与えることができず、次第に焦りが募っていった。
「くそっ、このままじゃ…」アレンは剣を構え直しながら息を整えた。
「しょうがねぇ、おいアレン!なんかデカい魔法使え!」テッチが叫んだ。
アレンは一瞬躊躇した。彼の魔法は強大だが、その分、外したときの災害は計り知れない。周囲に影響が及ぶことを危惧し、アレンは即座にその提案を実行に移せなかった。
「アレン、何も魔法だけが全てじゃない。他に策があるはず!」リリアンが焦る声を上げた。
その言葉にアレンは再び考えを巡らせた。何か、何か他に方法はないか。アレンの目に映ったのは、水の鏡だった。フフルスル海域で手に入れた透明な指輪だ。どんな効果があるかはわからないが、今は試してみる価値があると感じた。
「これしかないか…」アレンは水の鏡を指にはめ、深呼吸して魔力を込め始めた。
最初は何も起こらず、アレンは一瞬の絶望に襲われた。しかし次の瞬間、指輪から発せられた光が洞窟全体を照らし、大量のうねる水流が現れた。
「何だこれは…!」アレンは驚愕の表情を浮かべた。
水流は神魂を包み込み、神魂はその力に抗うことができず、次第に動きを封じられていった。
「今だ、テッチ!」アレンが叫ぶ。
「おう!」テッチが応じ、鋭い光を放ちながら神魂に突進していった。
テッチは神魂の中心部を狙い、深く突き刺さった。神魂は激しく震え、一瞬の静寂の後、爆発的な光と共に消滅した。
アレンたちは息を切らしながらその場に立ち尽くした。しばらくして、リリアンがアレンの肩に手を置いた。
「やったわね、アレン」
「ああ…何とか、なった」アレンは息を整えながら答えた。
テッチは剣に戻り、アレンの手元に収まった。「よくやったぜ、アレン。あの神魂を倒すなんてな」
アレンは微笑みを浮かべ、指にはまった水の鏡を見つめた。「これも、みんなのおかげだ」
アレンたちは神魂を倒し、試練の洞窟からエルダー塔へと帰還した。アレンは深い息をつきながら塔の冷たい石畳を歩き、目の前の広間へと向かった。テッチを鞘に収め、次の目的地を確認しようとした。
「次の試練はどこだ、テッチ?」アレンは真剣な表情で問いかけた。
しかし、テッチは予想外の答えを返してきた。「おいおいアレン、俺たちもう6つも試練をこなしたんだぞ?残る試練はあと4つだ。そろそろ本腰入れて休憩しても良いんじゃねーの?」
アレンは驚きとともに少し戸惑った。確かに、ここまでの試練はどれも苛烈であり、彼らの体力と精神力を大いに消耗させていた。しかし、次の試練を早くこなしたいという焦りもあった。
「でも、次の試練に進まなければ…」アレンは言葉を続けようとしたが、テッチに遮られた。
「無理して進んでも良い結果にはならねぇよ。休む時は休むのが賢明ってもんだ」テッチは鞘の中で音を立てながら続けた。
リリアンもテッチに同意するように頷いた。「アレン、テッチの言う通りよ。私たち、ちょっと休んだ方がいいかも。身体も心も休めてから次の試練に挑んだ方がいいわ」
アレンは二人の意見を聞き入れ、次の街カガビダで休暇を取ることに決めた。
カガビダは賑やかな市場と美しい景観で知られる街だった。アレンたちは街に到着すると、まずは宿を探した。街の中央にある宿にチェックインし、荷物を置くと、それぞれ自由に街を散策することにした。
「さあ、何から始めようか?」リリアンが嬉しそうに微笑みながらアレンに尋ねた。
「まずは食事をしよう。まともな食事も久しぶりだしな」アレンはそう答え、二人は市場の方へと向かった。
市場には色とりどりの果物や新鮮な魚介類、香ばしい肉の香りが漂っていた。アレンたちは適当な屋台で美味しい料理を堪能し、次に温泉へと足を運んだ。
温泉に浸かりながら、アレンは疲れ切った身体をゆっくりと癒した。「これで少しは疲れが取れるかな」
「そうね、温泉は最高の癒しよ」リリアンも同意しながら温泉の湯を楽しんでいた。
…あれ?




