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10.剣の名前

道具屋に向かう途中、リリアンがふと剣を指差して言った。「そういえば、この剣の名前は何?」


その瞬間、剣は勢いよく鞘から飛び出し、空高く舞い上がった。「俺は天地の剣、五十の試練の内の一つ、『呪術禁忌の祠』の守護者だ!」高笑いをしながら宣言する剣に、アレンは頭を抱えた。


「本当に、こいつは…」アレンは溜息をつきながら言った。「いちいち騒がしいんだよな。」


リリアンは興味深げに剣を見つめていた。「でも、名前がないと不便じゃない?何か名前を付けてあげたら?」


アレンは考え込んだ。剣の派手な登場や威勢のいい言葉を思い返しながら、適切な名前を探した。


「うーん…天地の剣か。五十の試練とか呪術禁忌の祠とか、そんな大層な名前じゃなくて、もっと親しみやすい名前がいいな。」


リリアンは微笑んで言った。「確かに。もっと可愛い名前がいいかもね。」


アレンは少し考えた末、閃いた。「そうだ、テッチにしよう。」


剣は空中で一瞬静止し、その後ゆっくりと降りてきた。「テッチ…ふむ、悪くないな。今後はテッチと呼べ、アレン。」


アレンは苦笑しながら頷いた。「分かった、テッチ。これからもよろしくな。」


テッチは再び鞘に収まり、今度は静かにしていた。リリアンも満足げに微笑んだ。「これで少しは落ち着くといいけど。」


アレンはリリアンと共に道具屋に向かいながら、新たな決意を胸に抱いた。テッチという名前を得た剣と共に、彼らの旅はこれからも続いていくのだ…。


道具屋に到着すると、アレンは早速道具屋の主人に尋ねた。「済まない、マーシャンポーションは無いか?」


道具屋の主人は申し訳なさそうに首を横に振った。「悪いな、マーシャンポーションは売れ切れちまったんだ。彼奴らが全部買い占めちまったんでな。」


アレンは主人の視線を追い、その先に目をやった。そこには約10人程度のパーティが見えた。彼らは豪華な装備に身を包み、明らかに熟練の冒険者たちのようだった。彼らの中には、様々な種族や職業の者が混じっており、一見して強力なチームであることが窺えた。


アレンは少し苛立ちを感じつつも、冷静に対応することにした。


アレンは目線に写ったパーティに声を掛けた。「済まない、少し良いか」


アレンの手がパーティの内の一人に触れた瞬間、鋼が擦れる音が響いた。気付けばアレンの目の前にはテッチが飛び出し、相手の剣を受け止めていた。「お前、何者だ」相手の戦士が剣を構えながら問いかけた。


アレンとその戦士は互いに剣を鞘に収め、殺気を漂わせつつも、一触即発の状況を回避した。アレンは冷静に言葉を選びながら答えた。「勘違いしないでくれ。ただマーシャンポーションが欲しいだけなんだ。それが無いと海を渡れないんだ。」


パーティのリーダーらしき人物が一歩前に出て、厳しい目でアレンを見据えた。「マーシャンポーションだと?それを手に入れてどうするつもりだ?」


アレンは正直に事情を説明した。「マーシャンポーションとは別名、海渡の加護と呼ばれている。暫くの間、海の中でも呼吸ができるんだ。今回の試練は海の中にある。そのポーションがなければ、我々は試練に挑むことができない。」


リーダーは一瞬考え込んだ後、仲間たちに視線を送った。彼らも何か考え込む様子を見せたが、リーダーは最終的にアレンに向き直った。「我々も同じく海の試練に挑むつもりだ。マーシャンポーションは貴重な物資だ。もしお前が我々に協力するなら、分け合うことも考えられる。」


アレンはその提案に驚きつつも、すぐに冷静さを取り戻した。「協力だと?具体的にどういうことだ?」


リーダーは頷いて説明した。「我々のパーティは戦力に自信があるが、未知の試練に挑む以上、リスクは常に存在する。お前の力が加われば、成功の確率が高まる。互いに力を合わせれば、試練を乗り越えられるはずだ。」


アレンはリーダーの言葉に耳を傾けつつ、仲間たちの顔を一人一人見渡した。リリアンも慎重な目でパーティのメンバーを見つめていた。彼らが信用できるかどうかを見極める必要があったが、今の状況では協力が最善の策かもしれない。


「分かった。協力しよう。」アレンは決意を固めた。「お互いに力を合わせて、この試練を乗り越えよう。」


リーダーは満足げに頷き、手を差し出した。「よろしく頼む。私はカイン、このパーティのリーダーだ。」


アレンもその手をしっかりと握り返した。「アレンだ。共に頑張ろう。」


こうして、アレンとリリアンは新たな仲間たちと共に、海の試練に挑むための準備を始めた。しかし、その刹那…テッチはカインの首を無惨にも跳ね飛ばした。


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