表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

3人目の対象者 美桜 p.1

 あいつを救うために、また俺は、タイムリープをした。


 もうこれ以上は無理だ。これ以上は、対象者が思いつかない。今回がラストチャンスだ。俺は、必ずあいつを守る。


 焦る気持ちをなんとか押さえて、俺は、待ち合わせ場所である、遊園地へと急いだ。


 遊園地入口の大門の端で、3人目の対象者が、所在なげに俺の事を待っていた。


「お待たせ」


 俺は、軽く手を上げ、美桜に挨拶をする。


「いえ。あの、こんにちは。今日はよろしくお願いします」


 ペコリと頭を下げた美桜は、淡いピンク色のワンピースに、白の靴下、白のパンプスとハンドバッグを合わせ、肩ほどの髪は、三つ編みおさげに纏めていた。


 いつも清楚で可憐な感じの子だが、今日は、一段とお洒落をして来たようだ。


 サークルの後輩である美桜が、俺に好意を抱いているようだと、先日、悪友が揶揄(からか)い混じりに、俺に報告をしてきた。俺は気がつかなかったが、奴の話によると、美桜はいつも俺の事を見ているらしい。その情報を元に、俺は、美桜をデートに誘った。


 今日の正午までに、あいつの運命を変えられなかった時は、俺は、美桜の唇を奪い、最後のタイムリープに挑むつもりだ。


 だが、俺は、美桜に対しては、全く恋心を抱いていない。美桜の心を弄ぶようで、本当は心苦しい。だから、できれば、美桜を傷つける事なく、俺の目的が達成される事を願うばかりだ。


 時刻は10時半を少し過ぎたあたり。


 事が起こるにはまだ時間もある。美桜は知らないとはいえ、俺の身勝手に巻き込んでしまうのだ。少しは、美桜にいい思い出を作ってもらおう。


「じゃあ、行こうか」


 俺は2人分の入園券を購入すると、美桜を園内へと(いざな)った。


「すみません。入園料お支払いします!」


 小走りに駆け、俺の横へと並んだ美桜は、ハンドバッグを開けると、財布を取り出す。しかし、俺は、それをなるべく爽やかに見える笑顔で制した。


「これくらいいいよ。今日は、俺が誘ったんだから。気にしないで」

「でも……」


 困惑顔の美桜は、どうすれば良いのかと、財布を仕舞わずに、オロオロとする。きっと、こういう事に慣れていないのだろう。そんな態度が初々しく、美桜に対して、恋心など無くとも、ついつい口元が緩んでしまう。


「本当にいいよ。気にしないで。たくさん楽しんでくれれば、それでいいから」

「……分かりました」


 美桜は、渋々という感じで頷き、財布をハンドバッグへと仕舞う。


 それから、美桜は少し言いづらそうに口を開いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ