勇魔転生
「キンッキン」
「ほほぅ…お主も何度も懲りずによくここまで登ってくるわ」
「お前も懲りずによく耐え忍ぶいい加減死ねばいいものを」
凄まじい剣技の最中魔王と勇者のいつも通りの会話が聞こえる
「では本番といこうか、ヘルフレア」
ゴゴゴゴゴと凄まじい炎が辺り一面を立ち込める
そこは生命を維持できることはないまさに地獄の空間となる
「ふ…なんだその温ま湯は、絶対聖域」
勇者はあたかも涼しそうな顔をしながら顔を手で仰いでいる
地獄のような空間にも関わらず勇者の周りには淡い防御結界が貼り巡る
「ふむ……やはりワシとお主未だに勝負はつかぬか」
「俺は天才で史上最強の勇者なのだがどうにもお前の知略、謀略、策略は俺に詰めの一手を打たせてくれない、お前の攻撃で滅びることはないのだがな」
「ふ、相変わらず一言多いの、お前がワシを打たぬ限りお前に勝ちはない」
そう言うと魔王はおもむろに両手を上げ呪文を唱え始めた
「空間掌握」
「時空掌握」
「魔力掌握」
「さあ、これでお前の周りのありとあらゆるものは封じた」
封じられた勇者は余裕綽々でこう答えた
「封じてどうするつもりだ?俺と真っ向勝負でもするつもりか?」
「ふ…攻めではお前には勝てぬ、なに少し話をしようとおもってな」
魔王がニヤリと笑いこう告げた
「儂の名は魔王アルガス、このままでは勝負もつかぬ、武の勝負ではきりがないみたいやのぉ」
「それは俺も思っていた、」
「あ、俺の名前は勇者デレシスだ、そして魔王、では一体何の勝負をするつもりだ?」
魔王は正に獣のような笑みを浮かべこう答えた
「そもそも魔王と勇者?なんだこの立場は?、そして魔王と勇者と言う立場だけでお互い優秀なこの才を殺し合いによって無駄に散らすのか?儂達はなぜお互いに魔物と人間という理由で戦わねばならない?なぜこうも才を無駄にしなければならない?」
「?お前は何が言いたい?しかし俺も争いは好きではない魔族といいつつも心は通える者はいるはずだ」
「そうだろ?悪いのはこの時代だ魔族と人族との確執、そして殺し合いでしか武の証明ができない、だからこそ一度儂とお前で協力し殺し合いではない武の証明がしたいと思ってな」
「?俺はお前ほど頭はよくない、単刀直入に言え」
「ふ…儂とお主の才を無駄にせず合わせて他国と戦いたい、しかしこの時代では立場上絶対にそれは叶わぬ、儂は転生術にも長けておる、儂は魔王だが…争いは嫌いだ、」
「お前と俺の才を合わせる?お前の知略と俺のこの万能さをか?それはまた面白そうだな、俺もこの時代には飽き飽きしていた、そもそも勇者などには興味がないのだ、お前の話に乗ってやろう、だが何をどう協力するんだ?」
「ふふふ…遠い先の時代で生臭い殺し合いではない勝負の………………この時代でいう兵長になろうではないか、お前とお主なら最強の兵団を作れるはずだ」
「んー…まあいいだろ、この世界の理には飽き飽きしていた」
「よし、ではこの場は同士討ちに見せかけて転生しよう、
ここから一万年後の世界にはスポーツというものがあるらしいその時代に転移する」
「ほお、お前はそのようなこともわかるのか、さすがは知略の魔王だな、めんどいことはわかるらぬからあとは任せたぞ」
「では…向かうとするか、」
「転生呪文!! 超新生!!」
目を覆うほどの眩い光と共に魔王と勇者の姿は今から一万年後の世界に向かうべく消えていった