表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

002 本当には無かった話-01

「どちらか、といえば、信じていない。いや、いなかった。」

僕は、心霊現象などは、基本的に信じる。

信じている、のではなく、信じる。

信じさせられる、といった方が、さらに正確か。


「お前は騙しやすい」と言われた。

誰に言われたのかは忘れたが。


「だから、悪い奴に気をつけろよ。」

とも言われた。


栞は、本棚に本―――心霊スポットがどうとかいう、さっきまで読んでいたもの―――を戻し、つつつ、と人差し指を横に動かし、同じ列の本の背表紙をなぞりながら、本を物色している。さっきの本は、もう読み終わったのだろうか、付箋を挟んでいたようだけど。


「ふぅん。意外と、リアリストなんだね。君なんかは、眠れない夜を幾つも超えているもんだと思ったんだが。」

ふふ、と薄く笑い、動かしていた指を止めた。

本棚から新たに一冊を取り出し、それを僕に渡しながら、栞は続ける。

「ほら、コレを読んでみるといいよ。」


差し出された本には、【本当には無かった怖い話】と書かれている。

誰が読むんだよ、これ。どういう層の読者を狙ってるんだ。本当には「無かった」って。


「いや、面白いの?これ。」


「それなりにね。最初から作り話と分かっている分、興ざめだが。」


「なんだか面白く無さそうなんだけど。」


「何故?」


「だって、作り話なんだろ?どうせだったら、【本当にあった怖い話】の方をくれよ。」

一冊だけ抜かれて、何だか不恰好になってしまった本棚。

その歯抜けの部分の隣りにあるタイトルを、僕は読みあげた。


「それは違うよ、茉莉君。だいたいね、【本当にあった怖い話】が【本当にあった】保障がどこにあるんだい?」


「どこにって、そういうタイトルなんだから。」


「馬鹿だね、君は。そう銘打った方が売れるから、そういう名前なんじゃないか。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ